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2017年9月15日 (金)

【ミサイル攻撃の基礎知識06】Jアラート警報の意味とは(#1340)

前回記事(#1339)より続きます。

2017年8月に、北朝鮮のICBMが北海道上空を通過した時は、弾道の観測から我が国への直接的な脅威ではないと判断されて『破壊措置』、すなわち迎撃は行われませんでした。

しかしその一方で、北海道から長野県や群馬県までの広い範囲に、Jアラートによるミサイル警報が発表されました。

それは何故なのでしょうか。


何が起こるかわからない


あの状況で想定された脅威は、こういうことです。

それは、制御の失敗などで、ミサイルが正常に飛行しない可能性でした。

その場合には弾道が大きく狂って、場合によっては空中分解して、我が国の領域内に部品が降ってくることも考えられます。

あの場合でも、切り離したロケットエンジンや燃料タンクは、海上に落下するのが正常ですが(宇宙ロケットの発射時には、落下範囲には事前に警報が出され、進入が禁止されます)、例えば切り離しの失敗などで、本来と異なる弾道に入ってしまったら。

その場合は、弾頭部とは形状も重量も空気抵抗も全く異なる物体が弾道のシミュレーションとは全く異なるコースを飛ぶことになり、それが一体どこに落ちるのかは、ほとんど予測不可能なのです。

しかも、そんな場合には落下しながら空中分解したり爆発したりする可能性が高い。それが我が国の領域の手前で起こったら、恐ろしいことになります。

まず、重量や形状が大きく変わるので、さらに落下コースが変わって来ます。

そしてこれが一番恐ろしいのですが、空中分解や爆発によって、『標的』の数がいきなり増えるのです。


対処不可能?


SM3やペトリオットPAC3は、標的をレーダーで捉えて誘導されるミサイルです。

通常、1標的に対して2発のミサイルが発射されて命中の確率を上げるのですが、例えば標的が3つに分離したとしたら、突然6発のミサイルが必要になります。

レーダーは、レーダー波の反射断面積が大きな対象ほど、はっきりと捉えられます。そして弾道ミサイルで一番大きなものは燃料タンクとロケットエンジンであり、弾頭部よりはるかに大型です。

最も破壊が必要なものはもちろん弾頭部ですが、レーダーには、その他の部品の方が捉えられやすいということです。

もちろんそこはただ闇雲に撃ちまくるのではなく、標的の『脅威度判定』、すなわちどれが一番危険か、どれを優先的に迎撃するかをコンピューターが判断するわけですが、そのためのソフトウェアがどの程度の性能や精度を持つのかは防衛機密の範疇であり、わかりません。

ただ言えることは、決して”百発百中”ではない、ということ。そしてその確率は、標的の数が増えるほど下がっていきます。


迎撃成功!しかし


仮に、すべての目標に対して迎撃ミサイルが命中したとしましょう。

でも、前述した通り破片弾頭でシステムを破壊したり、運動エネルギー弾頭で”ぶち壊す”だけです。

現実はSFアニメのように派手な爆発でめでたしめでたしではなく、さらに細かくなった部品や破片が、バラバラと降ってくるのです。

それも、命中の衝撃でコースも形状も変わり、気流の影響も受けて、単体での落下時より広い範囲にバラ撒かれることになります。

そういう前提で見ると、あのミサイル警報の意味が、さらに良くわかってきます。


そういうことです


■東日本の広範囲にミサイル警報が発表された

【理由】発射に失敗した場合など、何らかの理由によって我が国の領域に落下する可能性がある場合には迎撃が行われるが、迎撃に成功した場合には、さらに広い範囲へ破片や部品の落下が想定される。

■頑丈な建物の窓の無い部屋や地下に避難せよ

【理由】落下してくるのはほとんどが破片や部品であり、そういう場所にいれば、直撃でもされなければほぼ安全。落下時の爆発と、超高速での落下による爆風や破片の飛散に備えて、窓が無い部屋でなければならない。

■落下物を見つけても絶対に近寄らずに、すぐに通報せよ

【理由】毒性のある燃料、未発火の爆薬、放射性物質、さらには化学物質や病原体が付着または飛散している可能性がある。

ということです。

でも、ここまでわかれば、身を守る方法も見えてくるわけです。

次回からは『我々に何ができるか』について考えます。


■当記事は、カテゴリ『日記・コラム』です。


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