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2017年9月

2017年9月28日 (木)

【ミサイル攻撃の基礎知識08】シミュレーション・X day01(#1342)

【このシリーズ最後は、“その日”のシミュレーション小説形式にしました。登場人物は、過去シリーズで(一部の方には)おなじみのふたりです。言うまでもなく、フィクションです】


異変


201X年X月X日夜、岩城衛は西新宿の高層ビルにあるオフィスで、書類と格闘していた。時刻は午後8時を少し回り、それでも今日はそろそろ切り上げなけりゃなと思った、その時。

オフィスに残っている数人のスマホから、あの不気味な警報音が、一斉に鳴り響いた。でも、今年に入ってからも、もう何度目か忘れるくらいで、すっかり聞き慣れてもいる音だった。だからだれもが「ああ、またか」くらいで気にも留めず、仕事を続けていた。

なにしろ、この『頑丈な』高層ビルにいれば、もし本当に何かが降って来ても 、十分に安全な場所でもある。

しかし、フロアのスピーカーから突然流れ出した、これも聞き慣れてしまった無機質な男性の声に、皆が一斉に仕事の手を停めた。ミサイル発射が常態化した頃から、Jアラート警報が発表されると、自動的に館内放送にリンクされるようになっていたのだ。

その日は、“いつも”と違っていた。

『ミサイル発射。ミサイル発射。この地域に、着弾のおそれがあります』


標的


皆が一斉に、天井を見つめた。すぐに席を立って、窓に駆け寄る者もいる。しかし窓の外には、いつもと変わらない、きらびやかな新宿の夜景が拡がっていた。

衛も、デスクに近い東側の窓から思わず外を見た途端、あんぐりと口をあけたまま、固まった。

かなり離れた場所から、オレンジ色のまばゆい光の筋が、空へ向かって伸びて行ったのだ。最初の光から少し間をおいて、2本目、3本目、4本目と続き、6本目を数えたところで、誰かが叫んだ。

「市ヶ谷のPAC3だっ!」

東京、市ヶ谷の防衛省に配備されたペトリオットPAC3ミサイルが、迎撃射撃を始めたのだ。衛の脳裏に、何かの戦争映画で聴いたセリフがよみがえった。

《これは訓練ではない。繰り返す。これは訓練ではない!》

誰もが、自分の置かれた状況を悟った。東京が、狙われている。衛は、今までに何度も報道を聴いたり、関連のブログを読んだりしているうちに、すっかりと身についてしまった知識で、一瞬のうちに考えた。

『市ヶ谷のPAC3が発射されたということは、イージス艦のSM3ミサイルで撃ち漏らしたミサイルが、東京の中心部に向かっているということだ、PAC3が命中しなかったら、東京にミサイル、もしかしたら核弾頭が落ちてくるかもしれない!』

しかも、PAC3は合計6発も発射されたようだ。ひとつの目標に対して2発が発射されるそうだから、東京を焼き尽くそうとしているミサイルは、1発ではない!

衛は、ズボンのポケットからもがくようにスマホを取り出すと、家にいるはずの妻、玲奈のスマホにかけた。しかし全く無音のまま、繋がらなかった。Jアラート警報の発表と同時に発信が激増して、システムがパイルアップしているのだ。あの、巨大地震の時と同じだ。

それでも、衛にはわかっていた。陸上自衛隊出身の玲奈は、こういう場合の対処法は誰よりもわかっているはずだ。衛とも、折りに触れて“本番”ではどうするかを、話し合っていた。

だから、大丈夫だ。できることは、すべてやるはずだ。でも、状況はあまりにも厳しかった。

東京が、複数のミサイルに狙われている。すなわちこれは脅しではなく、本気の攻撃なのだ。となれば、弾頭も“本気”―おそらく核弾頭―が搭載されていると考えなければならない。


Take cover!


衛はすぐさま同僚に声をかけて、オフィスを駆け出した。

衛のいる高層ビルは、中心部が空洞になっている。何度も繰り返した避難訓練の通り、ビルの最も内側の廊下に駆け込み、空洞部に面した窓ガラスの無い壁に身を寄せると、ジャケットを丸めて頭を覆いながら、べったりと伏せた。

あちこちのオフィスからも皆が駆けだして来て、廊下はパニック状態になった。悲鳴と怒号が飛び交う。伏せる場所が見あたらず、呆然と立ち尽くす者もいる。

一部の者は、オフィスの頑丈なデスクをひっくり返し始めた。天板を窓に向けて、その後ろに伏せることで、爆風と破片から身を守ろうとした。

それができない者は、そのままのデスクの下に潜り込んだり、太い柱の陰に伏せたりして、とにかく窓から死角になる場所を探しては潜り込んだ。

ここは高層ビルの45階だ。かなり離れた場所で核爆発が起きても、強烈な爆風と熱線を受けるのは間違いない。

しかし、最初の爆風と熱線の直射さえ避けられれば、生き残れる確率は大きく上がる。その後の放射線や火災などのリスクも大きいが、とにかく頑丈なカバーをとって爆風と熱線の直射、さらには放射線の直撃を、できるだけ避けなければならない。頑丈な鉄筋コンクリート壁は、そのいずれをも効果的に遮蔽する。

広島と長崎の被害を大きくしたのは、原爆投下時には空襲警報が解除されていて、ほとんどの人が地上に出ていたからだ。もしあの時、皆が防空壕に避難していたら、少なくとも人的被害ははるかに少なくなっていたはずなのだ。

ビルの最も奥にあり、窓も無く外部と最も遮断されている非常階段室には、我を忘れた人々が殺到した。決して広くないドア前は我先に飛び込もうとする人で溢れ、怒号と悲鳴の中で、つかみ合いも始まった。

皆が、文字通り“必死”だった。


記憶


日本人ならば誰もが記憶の中に焼き付いている、広島と長崎の惨状。しかしそのほとんどがモノクロームの印象で、赤い血にまみれた本当のことはほとんど誰も知らないし、現実的なイメージは持てない。

ただ、とてつもなく恐ろしくおぞましく禍々しいことが、ついに我が身にふりかかる、それは世界のどこの人々より、よくわかっていた。


東京が、消滅する。残された時間はおそらく、あと2分もない。果たして我々は、生き残れるのか。


【つづく】


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


2017年9月15日 (金)

【ミサイル攻撃の基礎知識07】我々ができること(#1341)

2017年9月15日早朝。またもや北朝鮮の弾道ミサイルが北海道上空を航過しました。


ちょっと変わった


今回も、Jアラートのミサイル警報が、東日本の広い範囲に発表されました。

ニュースにもなっていますが、その文言が前回と少し変わっていることにお気づきでしょうか。

そのひとつが、『建物の中や地下に避難せよ』という部分。前回までは『頑丈な建物の中や地下に避難せよ』という表現でしたが、『頑丈な』がなくなりました。その理由とは。もちろん頑丈じゃなくても実は大丈夫、という意味ではありません。

要は、周りに頑丈な建物もなければ地下もない、という場所が大半のために、「どこへ避難すればいいんだ?」という声が多かったのです。

現実には、警報の発表から避難する時間はほんの数分しかないわけで、その間に避難場所を探してわざわざ屋外に出てしまうと、かえって危険です。

ですから、たとえ一般的な家屋でも、屋外にいるよりは確実に危険が少ないので、とにかく建物に入れ、という表現に変わったわけです。


その瞬間、どう動くか


ミサイル警報が発表されてからの数分間、私たちには何ができるのでしょうか。

現実には、我が国の領域に向かってミサイルが発射された場合でなければ、危険はそれほど大きくありません。あくまで、万一の場合を想定した予防的避難、と考えて良いでしょう。

しかし、とにかく時間が無い。大地震の際の初動のように、普段から“こう動こう”と考えておかなければなりません。

これまでの記事で触れた通り、最も可能性が高いのは、空中分解してコースを逸れたミサイルの破片や部品が降ってくることと、それを迎撃した場合に、さらに広い範囲に“何か”が降ってくることです。


破片の威力とは


燃料タンクやロケットエンジン、無力化された弾頭などの“大物”が降ってきても、直撃さえ避けられれば、その被害範囲は限定されます。

むしろ、細かい破片やビスなど多数の“小物”が、広い範囲にばらまかれる方が恐ろしい。


一部の民族などには、お祝いの花火代わりくらいの感じで銃を空に向けてぶっ放す文化がありますが、あの流れ弾が人に当たって被害が出ることがあります。

ライフル弾の重量は約20gくらい。それが空に向かって放たれると、上空で一旦ほとんど速度ゼロにまで減速してから、自由落下してきます。

その速度がどれくらいかというと、秒速数百メートルに達することもあるようで、強力な殺傷力を持ちます。

たった20gくらいの物体が、空気抵抗がある中をそこまで加速するわけですから、たとえビス1本でも、超高空から落ちてきたら殺傷力があるだけでなく、車のボディ程度だったら、場所によっては貫通する威力を持つわけです。

それがバラバラと降ってきたら。現実には、それが一番の脅威だと考えて良いでしょう。

ならば、そこで『生き残る』ためにはどうすれば良いかが見えてきます。


『頑丈』に越したことなし


ライフル弾は、直接射撃したとしても、普通は厚い鉄筋コンクリート壁を貫通することはありません。

ましてや、ライフル弾と重量が同じくらいだとしても、不定形で空気抵抗もさらに大きなミサイルの部品や破片が、ライフル弾以上の貫通力を持つことは無いでしょう。

ですから、まずは地下が一番安全。地上ならば、やはり鉄筋コンクリート造りなどのできる限り頑丈な建物のなるべく内側で、爆風と破片を防げる窓の無い部屋、というのが理想です。

一般的な家屋の場合は、二階よりは一階で、窓が無くて壁に囲まれた部屋が、より安全だと言えます。地震避難と同様に、風呂場やトイレも良いでしょう。

ポイントは、自分の上や周りの壁の数をできるだけ多くとること。

家にあるもので、破片などからの防護効果が最も高いもののひとつは、ベッドのマットレスです。真綿の布団も、小さな破片などからの防護効果がかなりあります。ナイロン綿でも、何重にも重ねることで防護効果がアップします。

屋外ならば、頑丈で厚い壁に身を寄せる、橋や高架の下に入ることなどで、かなり安全性が高まります。現実には、爆風や破片がどちらの方向から来るか予測しきれませんが、できればまず上方をカバーして、さらに水平方向を一方でもカバーできれば、被害を受ける方向を局限することができます。

車の中で、窓ガラスより下の部分に伏せるのも、かなり効果があるでしょう。現実には、直撃される可能性はとても低いのです。

くぼ地や溝の中に伏せるだけでも、水平方向からの危険をほとんど避けられます。あとは、自分の上に何か落ちてこないことを祈るだけです。

周りに何もなかったら、とにかく伏せること。地面にべったり伏せていれば、地上で起きる爆発の衝撃波と飛散する破片を、ほとんど受けずに済みます。

このような行動が瞬時に取れるよう、地震避難の初動と同じく、普段から『ここにいたらこうする』という行動を考えておかなければなりません。

それにしても、戦争状態でもないのにこんなことを考えなければならなくなったとは、我々はなんとも凄まじい時代と地域に生きているのだなと。

でも、それが現実です。

次回は、最悪のシナリオを考えます。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

【ミサイル攻撃の基礎知識06】Jアラート警報の意味とは(#1340)

前回記事(#1339)より続きます。

2017年8月に、北朝鮮のICBMが北海道上空を通過した時は、弾道の観測から我が国への直接的な脅威ではないと判断されて『破壊措置』、すなわち迎撃は行われませんでした。

しかしその一方で、北海道から長野県や群馬県までの広い範囲に、Jアラートによるミサイル警報が発表されました。

それは何故なのでしょうか。


何が起こるかわからない


あの状況で想定された脅威は、こういうことです。

それは、制御の失敗などで、ミサイルが正常に飛行しない可能性でした。

その場合には弾道が大きく狂って、場合によっては空中分解して、我が国の領域内に部品が降ってくることも考えられます。

あの場合でも、切り離したロケットエンジンや燃料タンクは、海上に落下するのが正常ですが(宇宙ロケットの発射時には、落下範囲には事前に警報が出され、進入が禁止されます)、例えば切り離しの失敗などで、本来と異なる弾道に入ってしまったら。

その場合は、弾頭部とは形状も重量も空気抵抗も全く異なる物体が弾道のシミュレーションとは全く異なるコースを飛ぶことになり、それが一体どこに落ちるのかは、ほとんど予測不可能なのです。

しかも、そんな場合には落下しながら空中分解したり爆発したりする可能性が高い。それが我が国の領域の手前で起こったら、恐ろしいことになります。

まず、重量や形状が大きく変わるので、さらに落下コースが変わって来ます。

そしてこれが一番恐ろしいのですが、空中分解や爆発によって、『標的』の数がいきなり増えるのです。


対処不可能?


SM3やペトリオットPAC3は、標的をレーダーで捉えて誘導されるミサイルです。

通常、1標的に対して2発のミサイルが発射されて命中の確率を上げるのですが、例えば標的が3つに分離したとしたら、突然6発のミサイルが必要になります。

レーダーは、レーダー波の反射断面積が大きな対象ほど、はっきりと捉えられます。そして弾道ミサイルで一番大きなものは燃料タンクとロケットエンジンであり、弾頭部よりはるかに大型です。

最も破壊が必要なものはもちろん弾頭部ですが、レーダーには、その他の部品の方が捉えられやすいということです。

もちろんそこはただ闇雲に撃ちまくるのではなく、標的の『脅威度判定』、すなわちどれが一番危険か、どれを優先的に迎撃するかをコンピューターが判断するわけですが、そのためのソフトウェアがどの程度の性能や精度を持つのかは防衛機密の範疇であり、わかりません。

ただ言えることは、決して”百発百中”ではない、ということ。そしてその確率は、標的の数が増えるほど下がっていきます。


迎撃成功!しかし


仮に、すべての目標に対して迎撃ミサイルが命中したとしましょう。

でも、前述した通り破片弾頭でシステムを破壊したり、運動エネルギー弾頭で”ぶち壊す”だけです。

現実はSFアニメのように派手な爆発でめでたしめでたしではなく、さらに細かくなった部品や破片が、バラバラと降ってくるのです。

それも、命中の衝撃でコースも形状も変わり、気流の影響も受けて、単体での落下時より広い範囲にバラ撒かれることになります。

そういう前提で見ると、あのミサイル警報の意味が、さらに良くわかってきます。


そういうことです


■東日本の広範囲にミサイル警報が発表された

【理由】発射に失敗した場合など、何らかの理由によって我が国の領域に落下する可能性がある場合には迎撃が行われるが、迎撃に成功した場合には、さらに広い範囲へ破片や部品の落下が想定される。

■頑丈な建物の窓の無い部屋や地下に避難せよ

【理由】落下してくるのはほとんどが破片や部品であり、そういう場所にいれば、直撃でもされなければほぼ安全。落下時の爆発と、超高速での落下による爆風や破片の飛散に備えて、窓が無い部屋でなければならない。

■落下物を見つけても絶対に近寄らずに、すぐに通報せよ

【理由】毒性のある燃料、未発火の爆薬、放射性物質、さらには化学物質や病原体が付着または飛散している可能性がある。

ということです。

でも、ここまでわかれば、身を守る方法も見えてくるわけです。

次回からは『我々に何ができるか』について考えます。


■当記事は、カテゴリ『日記・コラム』です。


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2017年9月11日 (月)

【ミサイル攻撃の基礎知識05】たとえ鉄壁の護りだとしても(#1339)

今回は、誰もが一番気になる点、弾道ミサイルは迎撃できるのかということについて考えます。


たぶんうまく行くけれど


現時点(2017年9月)における我が国の弾道ミサイル迎撃体制は、2段構えです。

まず、日本海に進出している海上自衛隊のイージス艦から発射されるSM3(Standard Missile 3)迎撃ミサイルが、ミッドコース(中間)フェイズでの迎撃を行います。

そこで撃ち漏らしたミサイルに対して、陸上からペトリオット(patriot)PAC3ミサイルが、ターミナル(終末)フェイズでの迎撃を行います。

近い将来には、米国製のTHAAD(サード Terminal High Altitude Area Defence 終末高高度防衛)ミサイルが配備される計画であり、実現すれば3段階の弾道ミサイル迎撃体制となり、さらに確実性が増します。

また、まだ計画が表明された段階ですが、将来的にはイージス艦のレーダーシステムとSM3ミサイルの陸上型、イージス・アショア(Aegis Ashore)も配備される計画で、さらに確実な迎撃が可能になるでしょう。

なお、ミサイル発射の情報は日米の情報収集衛星、日本海付近に進出した日米のイージス艦のレーダー、日韓の地上レーダーや米軍の偵察機などのネットワークによって発射直後に探知され、瞬時に共有される体制です。

弾道ミサイルに限らず、ロケットの発射時には高温ガスの噴射によって大量の赤外線が発せられるので、発射とほぼ同時に探知することが可能です。

弾道ミサイルの場合は、レーダーで弾道を観測することで、落下地域を予測することができます。弾道ミサイルは、ほぼ物理法則に従った放物線を描いて飛行(弾道飛行)するので、ロケットで上昇するブーストフェイズから慣性によるミッドコースフェイズに入った段階で、その落下地点を大まかに計算できるわけです。

これだけの体制なら、ほぼ大丈夫と考えて良いのでしょうか?


航空迎撃とは違う


弾道ミサイルの『迎撃』とは、どういうことなのでしょうか。

相手が爆撃機ならば、爆弾を落とす前に撃墜してしまえば終わりです。低空を飛んでくる巡航ミサイルなども、迎撃ミサイルや対空機関砲が命中すればおしまい。

でも、弾道ミサイルの迎撃は、それで済まないのが怖いのです。

迎撃ミサイルは、ふた通りの方法で弾道ミサイルを破壊します。

SM3ミサイルと将来配備されるTHAADミサイルは、運動エネルギー弾頭です。その名の通り命中しても爆発はせず、固く重い弾頭を超高速で直撃させることで、運動エネルギーによって破壊します。

もうひとつは、近接信管によって敵ミサイルのごく近くで爆発して、破片をまき散らして破壊する方法。ペトリオットPAC3ミサイルは、この爆発破片弾頭と運動エネルギー弾頭を併用しています。

しかし、これらの方法で完全に脅威が無くなるわけではないのです。

命中した場合でも、敵ミサイルの弾頭が爆発するとは限りません。特に核弾頭の場合は、高い確率で起爆システムを破壊して核爆発を防ぐことはできるはずですが、核物質を載せた弾頭部自体は破壊されない可能性も低くありません。

すなわち、弾道ミサイルの迎撃とは、完全に成功したとしても、あくまで弾頭を無力化して当初の目標への落下を防ぐだけ、と言っても過言では無いのです。

その結果何が起きるかというと、無力化された弾頭やその破片、場合によっては燃料タンクやロケットエンジンという大物が、目標地点の手前に“降ってくる”ということになります。

慣性による弾道飛行中に、直撃や爆発によって外部からの力が加わった物体がどのようにコースを変えるか、それも重量も形状も様々な多数の破片がどこに落ちるかは、大体このくらいの範囲という予測しかできません。

そして、ミサイルが破壊される高度が高いほどその範囲が広がり、破壊された場所によって、大きく変わってくるわけです。


あの時のこと


2017年8月、北朝鮮のICBMが北海道上空を通過しました。

あの時は、弾道のレーダー観測から我が国の領域を狙ったものではないとわかっていたことと、北海道上空での高度は500km程と、現有の装備では迎撃できない高度だったため、我が国での『破壊措置』、すなわち迎撃は行われませんでした。

しかし、それでも東日本の大部分、群馬県や長野県にまで、Jアラートによるミサイル警報が発表されました。 それは、なぜなのでしょうか。

あの時の起きたことが、弾道ミサイル防衛の困難さを象徴しているのです。

次回へ続きます。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2017年9月10日 (日)

【ミサイル攻撃の基礎知識04】たぶん、無理。(#1338)

今回のテーマに行く前に、あのことに触れておきましょう。


全然パワーが違う


我が国にとっては原子爆弾(原爆)という言葉だけで忌まわしいものですが、さらに水素爆弾(水爆)までが、遠くない将来に実戦配備されそうな状況です。

ところで、原爆と水爆の違いとは?ざっくりと解説します。

まず原子爆弾とは、ウラン235やプルトニウムなど核物質の原子を『核分裂』させて、莫大なエネルギーを放出させるものです。

そのためには超高温・超高圧が必要なので、核物質を火薬で囲み、中心の一点に向かって爆発させます。これを、エネルギーを外側に放出する『爆発』に対して、『爆縮』と呼びます。

ところがこの方法では、核物質の量を増やしていっても、放出されるエネルギーの量には限界があります。

そこで開発されたのが、水素原子を『核融合』させることで、理論上は無限のエネルギーを放出させることができる水爆です。

しかし、水素原子を『融合』させるためには火薬の爆縮エネルギーだけでは不足です。そこで、小型原爆を起爆装置として、そこで生まれる超高温・超高圧と濃密な中性子線の効果で水素原子の『核融合』の連鎖反応(臨界)を引き起こすのが水爆です。

百万分の何秒という時間内ではありますが、水爆ではふたつの核爆発が起きているわけです。

水爆は、より少ない“燃料”で原爆よりはるかに大きなエネルギーが放出されるために、より小型でより強力な核兵器となります。イメージとしては、原爆の何百倍というエネルギーが、ほとんど同じサイズの、場合によってはもっと小型軽量の兵器から得られるのです。

であれば、北朝鮮が急速度で水爆を開発、実験し、その成果を派手にアピールしている意味もわかってくる、というわけです。


“無力化”は可能か?


ここからが今回の本題。北朝鮮が核弾頭を搭載できる弾道ミサイルを増強するにつけて、いざとなったら先制攻撃してミサイルを“無力化”してしまえ、という論調も存在します。

そのためには、一発も撃ち返されないうちに、すなわちほぼ同時に、すべてのミサイル発射台を潰さなければなりません。

結論から言えば、それはもう不可能です。米国の情報収集力と攻撃能力を以てしても、です。それ以前の問題として、自衛隊にはそのような攻撃ができる装備も、必要な情報を得るための能力もありません。

北朝鮮からの映像を見てもわかる通り、すでに移動式ICBM発射台が実用化されており、その位置は厳重に秘匿されています。

情報収集衛星や無人偵察機などからの情報で一目瞭然というのは素人考えで、相手も見られているのは百も承知で偽装をかけているのです。仮に大半の発射台の位置を把握できたとしても、ひとつでも見落としがあったら、核弾頭による反撃をされる可能性があり、先制攻撃のリスクが大きすぎるのです。

それが、核兵器を保有することの『抑止力』ということでもあります。


アレはあまり使えない?


一方、北朝鮮は潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM Submarine Launch Ballistic Missile)の実用化も近そうです。

SLBMは、仮に国土が全滅しても、命令さえ生きていれば敵に致命的な反撃を加えられる兵器です。しかしそれを実現するためには、潜水艦の位置が完全に秘匿されていなければなりません。

しかし、現時点で北朝鮮が保有する潜水艦は旧式で騒音が大きく、航続距離も長くありませんから、日米韓の警戒網をすり抜けて姿を消すことは、非常に困難と考えられます。

朝鮮半島周辺を含め、世界の主要海域には英米が主体となって運用している潜水艦聴音網(ソーサス SOSUS SOund SUrveillance System)と呼ばれる音響監視ネットワークが設置されており、それをかいくぐり、さらには潜水艦や対潜航空機の追尾を振り切ることは、事実上不可能でしょう。

但し、常識破りの無茶な自殺的、破滅的手段を取れば振り切れる可能性はゼロではありませんが、それはもう最終全面戦争の段階ですから、さし当たって心配することは無いでしょう。


次回は、弾道ミサイルは本当に迎撃できるのか?ということについて考えます。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


2017年9月 7日 (木)

【ミサイル攻撃の基礎知識03】言うほどの脅威ではない?(#1337)

前回に続いて、弾道ミサイルの基礎を考えます。今回は、大気圏突入段階です。


最も困難な段階


弾道ミサイルは、ブーストフェイズでロケットをふかして上昇し、ロケットを切り離してミッドコースフェイズの弾道飛行をしながら次第に高度を下げ、次は大気圏再突入です。

この段階から地表に落下するまでをターミナルフェイズ(terminal phaze)と呼びます。

この段階では、落下角度を非常に精密に制御することが必要です。落下角度が浅すぎれば大気層に弾き飛ばされて突入できず、深すぎれば速度が出すぎて、大気摩擦熱で弾頭が燃え尽きてしまいます。

このため、突入前の最終段階で小型ロケットモーターをふかして正確な方向と角度に制御しなければなりません。これは人工衛星の姿勢制御や、有人宇宙船の大気圏再突入制御と同様の非常に高度な技術であり、それが命中精度も大きく左右します。

但し、原始的な弾道ミサイルではこの制御を行わず、そのまま落下して来るタイプもあり、その場合には再突入に成功しても、目標から数kmから数十kmもの誤差が出ることもあります。

北朝鮮の弾道ミサイルは、複数が発射された場合でも比較的近い範囲に着弾していることが確認されており、それなりの命中精度を実現しているものと見られます。

しかし、キロメートル単位以上での誤差はありますので、現時点では例えば陸上の基地や原発などを直撃できるような精度はありません。戦術的な意味においては、あくまで核弾頭搭載を前提として周囲数kmを破壊できなければ、有効な攻撃とは言えないのです。

しかし、それはどこに落ちるかわからない、もしかしたら核、生物、化学弾頭が搭載されているかもしれない、運が悪ければ人口密集地や重要施設を直撃するかもしれないという恐怖を醸成する、戦略的、政治的な意味合いが大きいものでもあります。

そして、それが弾道ミサイルを保有することの最大の効果、ということができます。


どこまで精度が上がるのか


現代において最高の精度を持つと考えられる米国の大陸間弾道ミサイルは、半数必中界が半径50mと言われます。 これは核弾頭搭載時には全く無視できる誤差で、基地などの施設への直撃さえ可能な精度です。

半数必中界とは、投射型兵器の命中精度を示す指標です。例えば10発発射した場合に、最低でもその半数の5発がその範囲に命中する精度という意味で、CEP(Circuler Error Probable)とも言われます。


なお、米国、ロシア、イギリス、フランス、中国が保有する大陸間弾道ミサイルには、1基のミサイルに弾頭が複数(最大10発程度)搭載されているタイプがあり、それぞれ個別の目標を狙えます。

これは、ミッドコースフェイズの最終段階において、弾頭を搭載した部分(PBV Post Boost Vehicle)を小型ロケットモーターでそれぞれの目標への落下コースへ精密に指向し、一発ずつ切り離して行くという方式によります。それぞれの弾頭は、MIRV(マーヴ Multiple Independent- targetable Reentry Vehicle)と呼ばれます。

これに対し、北朝鮮の弾道ミサイルは現時点では単発弾頭です。しかし、技術的には単発弾頭の方がMIRVより命中精度が上げられるとされており、今後弾頭の小型化と再突入制御技術がさらに向上するとすれば、最終的には半数必中界が50m以下、すなわちほとんどピンポイントに近い精度になる可能性もあるのです。

但し2017年時点においては、まだ発射自体の失敗も発生しており、再突入制御技術もそれほど洗練されてはいないものと考えられます。だからと言って、大した脅威ではないと侮ることもできません。

弾道ミサイル攻撃は、仮に失敗したとしても“どこに落ちるかわからない”ということに、大きな戦略的意味があるからです。

さらには、より多数の目標を狙える、多弾頭タイプのミサイルの実用化も無いとは言えません。 北朝鮮のミサイル技術は、急速に進歩しているのは確かなのです。

次回は、軍事的攻撃で発射を阻止できるかについて考えます。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


2017年9月 5日 (火)

【ミサイル攻撃の基礎知識02】弾道ミサイルってなに?(#1336)

今回は、そもそも弾道ミサイルとは何か?ということについて考えます。


その他はみんな同じ仲間


ミサイルには、大きく分けて2種類あります。

ひとつは、ロケットモーターやジェットエンジンの力で空気中を飛び、翼(空力翼)で自動操縦されて目標に向けて誘導される、誘導ミサイルというタイプ。

大半のミサイルはこのタイプで、空中や地上目標を攻撃するものです。発射される位置と目標によって空対空、地対空、空対地、地対地、地対艦ミサイルなどと呼ばれますが、基本的な原理は一緒です。

我が国で弾道ミサイル防衛のために配備されている、イージス艦搭載のSM3ミサイルや、地上に配備されているペトリオットPAC3ミサイルもこの仲間です。

余談ながら、最近の報道ではPAC3(パックスリー)としか呼ばれなくなりましたが、あれはpatriot(自衛隊では”ペトリオット”と表記)という名称であり、PAC3とはpackage3、すなわち3型を表す型式名です。

航空機迎撃専用のPAC2に、弾道ミサイル迎撃能力を付加したタイプがPAC3といわけです。

また、主にジェットエンジンで長距離を飛行する対地、対艦攻撃用の誘導ミサイル、いわゆる巡航ミサイルというタイプもあり、米国のトマホークミサイルが代表的です。


実はアレと同じ


一方の弾道ミサイルは、我が国にも似たようなものがあります。

弾道ミサイルとは、基本的な技術においては宇宙ロケットとほとんど同じものなのです。要は、宇宙空間まで打ち上げて人工衛星などを地球周回軌道に乗せるためのロケットを、そこまで飛ばさずに重力によって地表に向かって落下させれば、弾道ミサイルとなります。

乱暴に言ってしまえば、先端に人工衛星が乗っているか攻撃用弾頭が乗っているかの違いでしかない、というわけです。

もちろん大気圏再突入のための装備や、そのための制御技術は異なります。でも、基本的には同じものなのです。


『弾道』とはなに?


弾道とは、地球上で空間に物体を射出した際に、重力(加えて空気抵抗)によってしだいに落下してくる軌跡、いわゆる放物線のことです。弾道ミサイルとは、打ち上げられた後に放物線を描いて飛ぶミサイル、というわけです。

野球のホームランボールが描く軌跡がまさに弾道であり、その落下地点は、空気抵抗を無視すれば、打ち出される方向、角度と速度によって決まります。

弾道ミサイルを打ち出す力は、ロケットモーターです。これで宇宙空間にまで打ち上げ、必要な速度に達した段階で方向と角度を制御してロケットモーターを切り離せば、弾頭部は空気抵抗が無く重力も非常に弱い宇宙空間を、弾道飛行をして目標に向かうわけです。

ロケットを噴射する段階(ブーストフェイズ boost phase)を長くすればより長距離に届きますから、数千kmから1万km以上を飛ぶ『大陸間弾道ミサイル』(ICBM Inter Continental Ballistic Missile)は二段式、三段式するなどで搭載燃料を増やし、噴射時間を長くすることで超長距離へ到達させるわけです。

ロケットモーターを切り離し、弾頭部が慣性によって宇宙空間を弾道飛行をする段階をミッドコースフェイズ(mid course phase)と呼びます。

そして、大気圏再突入です。それは次回に。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2017年9月 4日 (月)

【ミサイル攻撃の基礎知識01】弾道ミサイル攻撃から生き残るために(#1335)

無茶苦茶な状況ではあります。すぐ近くの国が、おまえの国をミサイルで火の海にしてやるとか宣言し、実際に撃ちまくっているという。

そこで、久しぶりのシリーズ記事をお送りします。題して【ミサイル攻撃の基礎知識】

政治的や民族的などのことは一切無視して、あくまで軍事的視点と民間防災の観点から、弾道ミサイル攻撃から『生き残る』ための知識と行動をまとめて行きます。

とはいえ、大前提として、たとえ実際の攻撃を受けたとしても、1発や2発の発射では、ある人が被害に遭う確率はごく小さいというか、現実には街中で交通事故に遭う確率の方がはるかに大きい、というくらいなものですから、それほど怖れることはありません。


みんな実感がない


とはいえ、自分の近くに何かが落ちてくる可能性はゼロではありません。でも、どなたもあまり怖いという感覚はお持ちではないかと。

なぜなら、我が国は弾道ミサイルの攻撃を受けた経験は無いから、何が起こるかという実感が無いからです。これが航空攻撃ならば、誰もが太平洋戦争時の『空襲』の記憶や知識がよみがえり、もっと大騒ぎになりそうなものです。

過去に実際に弾道ミサイルの大規模攻撃を受けた国は、第二次大戦時にナチスドイツのV2ミサイル攻撃を受けたイギリスか、湾岸戦争時にイラクのスカッドミサイル攻撃を受けたイスラエルくらいなのです。


弾道ミサイルの恐怖とは


もしミサイルに核弾頭が搭載されるとすれば、我が国はその恐怖を世界のどこよりも良く知っています。でも、現実的には核使用の可能性は排除しても良さそうです。可能性はゼロではありませんが。

北朝鮮の弾道ミサイルには核弾頭も搭載できると考えるべきですが、通常は爆薬弾頭が使われるはずです。一方で、サリンやVXなどの化学弾頭や、伝染性病原体をばらまく生物弾頭も搭載でき、それは現実に存在します。

このように、まず『何が落ちてくるかわからない』というのが、現代の弾道ミサイル攻撃の大きな恐怖のひとつです。


それから、『いつどこに落ちるかわからない』という恐怖。

日本上空をミサイルが通過した時のことを思い出してください。発射から北海道はるか沖の海上に着弾するまで、たった14分間でした。

そして、日本上空を通過する、すなわち我が国の領土や領海に何かが落下する可能性があると警報されたのが、そのたった5分ほど前でした。

もし我が国の国土を狙った攻撃の場合、当然ながら発射から着弾までの時間はさらに短くて、10分以下でしょう。そして、警報されるのは着弾の3〜4分前がせいぜいなのです。

このように、弾道ミサイル攻撃を受けた場合、対処する時間はあまりに短いというより、効果的な遮蔽物の中やすぐ近くにいる場合を除き、有効な防御はほとんど何もできない、というのが現実です。

しかも、少なくとも現時点(2017年)における北朝鮮の弾道ミサイルは、確実に目標付近に落下する可能性はまだまだ低いと考えられます。

発射や制御技術がまだ完全ではないと考えられますし、最も困難とされる大気圏再突入時の制御技術も、まだ完成とは言えない段階のはずです。

弾頭の大気圏再突入時には、わずかに角度が浅ければ大気層に弾き飛ばされ、深ければ速度が出すぎて大気摩擦で燃え尽きてしまいます。

その段階をクリアして目標付近に命中させるには、非常に高度な制御技術が必要であり、北朝鮮の弾道ミサイルは、少なくともまだその段階にはないと考えられるのです。

しかし、それは一方で制御の問題や空中分解などで、目標のはるか手前の広い範囲に破片や部品が落ちてくる可能性があるということでもあり、その場合には、弾道をレーダー観測して予測した着弾地域とは全く違った場所に、何かが落ちてくることになります。

それは小さな破片かもしれないし、ロケットエンジンや燃料タンクなどの大物かもしれない。仮に落ちてきた弾頭が爆発しなくても、なん百kgもある物体が音速の数倍の速度で落下して来るのですから、被害範囲は限られるものの、その破壊力はすさまじいものになります。

この、『いつどこに何が落ちてくるかわからない』というのが、弾道ミサイル攻撃の恐怖の本質、ということができます。

それは、我が国の国土を狙って発射された場合でなくても、上空を通過する弾道の場合には起こり得る事態なのです。

言うなれば、弾道ミサイル攻撃の恐怖とは、いつどこでどんなことが起こるかわからないという、巨大地震への恐怖と似ていなくもありません。

少なくとも、日米韓の警戒システムは、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した直後に探知することが可能であり、その情報は瞬時に共有される体制ではありますが、その後どうなるかは、完全に予測するのはほとんど不可能なのです。

北海道上空をミサイルが通過した際に、Jアラートのミサイル警報が東日本の非常に広い範囲に発表された(長野や群馬まで!)ということからも、それがわかります。


基礎から知っておこう


『敵を知り己を知れば百戦危うからず』というわけではありませんが、弾道ミサイル攻撃やその余波から自衛するために我々はどうすべきか、をれを考えるにあたり、まず弾道ミサイルとは何か、どのような脅威なのかということから、改めておさらいすることにします。

ところで、直近のニュースで、我が国がレーザー光線による弾道ミサイル迎撃システムの研究を始めると報じられました。

詳しくはまた後で触れますが、それが実現すれば防御力は飛躍的に高まるものの、管理人としてはあまり期待していません。

その最大の理由は、20年以上の時間と莫大な予算をつぎ込んで開発している米国でさえ、未だ実用化できていない技術だからです。


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