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2018年3月

2018年3月25日 (日)

【東京くらし防災02】どこかで見たような、でも違うような(#1353)

そんなわけで、今回から『東京くらし防災』の内容について、あれこれとつついていきます。


基本コンセプトというか


表紙にも書いてあるひとこと。

『わたしの「いつも」がいのちを救う』

これがこの本のコンセプトというわけですが、このスタイルでは、すでに『地震イツモノート』という有名な本があるわけで、なんかモロ被りだなと。まあ、民業圧迫と目くじらを立てる人もいないでしょうが。まさか、ひらがなとカタカナの違いがあるとは言いますまいw

さておき、巻頭には本文のインデックスとなる15の項目がイラスト入りで並んでいるわけですが、その15番目にこんなのが。
Kurasi_pic01_2
これ、笑うところですかねw

さておき、その他の14項目を列記してみます。

1・外出先では非常口を確認
2・カーテンは閉めて寝る
3・食器の重ね方を変えてみる
4・包丁は使ったらすぐしまう
5・寝転んで危険を探してみる
6・日用品を多めに買い置きする
7・行けるときにトイレは済ませておく
8・生理用品はもう一周期分買っておく
9・災害時の集合場所を決めておく
10・公衆電話の使い方を子供に教えておく
11・地域の行事に参加してみる
12・災害時のペットの預け先を探しておく
13・ママバッグは使った分だけ足しておく
14・チョコレートやキャラメルをカバンに入れておく

という感じです。こんな項目をメインに持ってくるとは、従来の防災本とはけっこう違いますよね。あくまで、日常生活でふつうにできることに特化しているようです。


お約束のアレがない


その一方で、この手の情報にありがちな、アレがほとんどありません。

曰く、今後何年間にでかいのが来る確率が何パーセントとか、震度いくつとか津波なんメートルが予想される地域がこれだけあるとか、いわゆる『専門家』が大好きな数字ネタです。

そういうもので恐怖感をアオれば、みんな災害対策を進めるだろうというのが、まさにオッサン発想ではないかと。

この点は当ブログでも何度も指摘していますが、女性目線でなくとも、そんなマクロ視点はどうでもいいんですよ。大切なことは、自分の居場所にでかいのが来るのか、その時自分の周りに何が起きるのか、それを効果的にヘッジするにはどうするか、これだけなのです。

そして、1995年の阪神大震災以来、我々はもう知っているのです。日本中、どこででかいのが起きてもおかしくないと。

しかも地震だけでなく、豪雨などの気象災害はそれこそどこでも起きて、それがしばしば過去の尺度が通用しないほどの規模で襲いかかってくることも増えました。

そういう現実を前に、数字ネタは何を今更というだけでなく、実感に乏しい小難しいことを羅列されるだけで、なんだか面倒くさくなってしまうだけではないかと。

そういう数字ネタを知識として押さえておこうと考えるのは、管理人も含めた防災ヲタくらいでしょう。少なくとも、大災害に対して漠然とした恐怖感を抱きつつも、具体的にどうすれば良いかわからない人々にとっては、ほとんどどうでも良い情報なのです。

そういうのをごっそりカットした構成は、本来必要な情報に集中するためにも、ある意味で必然とも言えるのです。


面白くないかもですが


これも当ブログでよく使う表現なのですが、災害対策に完璧はあり得ません。でも、やったらやった分だけ、『生き残る』確率が確実に上がって行くということです。

だから、できることから少しずつという現実的なコンセプトが必要なのです。この『東京くらし防災』は、そういう点でも、まず一読をオススメしたいなと。

なんだかのっけからホメすぎかもしれませんねw次回から、本文の内容についてあれこれ考えて行きます。

■当記事は、カテゴリ【『東京くらし防災』ってどうよ】です。

2018年3月 6日 (火)

【東京くらし防災01】ピンク色のニクイ奴w(#1352)

妙なタイトルで恐縮です。当ブログ読者の方から情報を頂戴した、”あの本”を入手いたしました。
Img_1151

当ブログでさんざんツッコませていただいた、『東京防災』の続編とも言える、『東京くらし防災』です。

なんでも女性目線での防災本ということで、装丁はピンク色でイラストもかわいらしく、言われなくても「これは女性向けを意識したな」とわかります。


ちょっと違うぞ


管理人は、あの『東京防災』に散々ツッコんだわけですが、今度もまあ似たようなものかな、女性目線と言っても、所詮はオッサンが「女性向けですよ」と宣って、女性の意見もちりばめたそれっぽい情報をまとめたものだろうよという、偏見に満ち満ちた視線でページをめくりはじめました。どんなツッコみネタが現れるかなと、正直ワクワクしながらw

でも、ひと通り目を通して、かなり見方が変わりました。これ、かなりいいじゃんと。

もちろん、細かい部分にはツッコみたいところもありますが、基本的なコンセプトと情報の選択や表現方法など、あの『東京防災』よりは、はるかに実用的だと感じてしまったのです。

そこで奥付を見てみると、監修者が全員女性なんですね。それも、エラそうに受け売りの理屈を宣うメディア芸者みたいな『防災の専門家』じゃなくて、現場で実際に活動されている方が大半のようで。

こういう企画が持ち上がった時、旧来の『防災の専門家』はメシのタネだと群がったでしょうが、そういう手合いを排除して、『女性目線』に純化したコンセプトを実現したことを、まずは素直に賞賛したいと思います。


ユニバーサルということ


もっとも、大半の災害対策は性別とは関係ありません。しかし、一方で女性特有の対策や、女性が共感しやすい情報もあり、それが自然な形でかなり網羅されているように感じます。これ、オッサンがやると「女性はこうだ、私は知っている」みたいな、上から目線になりやすいんですよね。

それ以前に、我々の約半分を占める女性のための情報が、従来の防災情報ではなぜかマイノリティ情報というか、おまけやトリビア的な扱いになっていることがあまりにも多かったわけで、当ブログでもその点を何度も指摘してきました。

ともかくも、大半の情報は性別を超えて共通です。それを理屈優先ではなくて、生活の中での場面に応じた平易な表現でまとめられている『東京くらし防災』は、男性にもオススメできるかと。いやむしろ、”本当は役に立たない”理屈ばかり気にしている男性にこそ、一読をオススメしたいと感じる防災本です。

要は、一般論として『弱者にやさしい』ものは、誰にでもわかりやすく使いやすいというユニバーサルデザインが、かなり実現されているかと。

あ、女性が必ずしも災害弱者だと考えているわけじゃないですからね。いらん反感を買わないために、念のため付け加えておきます。


毒は少なめです


これまで、世間の防災情報に対して散々ツッコんできた管理人がこんなにホメるなんて、我ながら実に気持ち悪いですねwでも、ホメ殺しじゃありません。

これからのシリーズ記事、縦横無尽にぶった斬る記事を期待されている方には、実に面白くないシリーズになるかとは存じますが、おかしなコンセプトや内容をぶった斬るのは、本来望むところではありません。

あくまでも情報を吟味し、過不足を指摘し、批判だけでなく提案もしながら、『本当に役に立つ』情報を見いだして提示して行くことが、管理人が当ブログをやっている本来の目的です。その点『東京防災』は、枝葉のツッコみどころが多すぎたw

『東京防災』へのツッコミは、こちらの過去記事をご覧ください。
■カテゴリ【『東京防災』ってどうよ】


手前味噌と言われようとも


もうとつ、管理人がホメたいというか、単純に喜ばしいことがあります。

管理人は、当ブログの1300本を超える記事の中で、折りに触れて『防災の専門家』は言わないけれど、本当はこうじゃないか?という現実的な災害対策を、たくさん提示してきました。

この『東京くらし防災』には、そんな管理人の考えと共通する、このことは皆に知っておいて欲しいなと考えている内容が、かなり見受けられるのです。

でも、当ブログ記事内でよく書いているように、そんなもの、本来は「ちょっと考えればわかること」なのです。今まで、理屈優先でちっとも現実を考えていない輩が多すぎた、ということですよ。

そういう点もピックアップしながら、改めて解説して行きます。例によって、別に自慢したいわけじゃありません。誰が出した情報だろうと、正しいものは正しく間違いは間違いだということです。

それでは、シリーズ記事を始めます。もちろん、ツッコむべき部分はしっかりやりますよw

とりあえず、主に東京都民や都内に通われている方になってしまいますが、『東京くらし防災』、実際にご覧になってみてください。 本書についての詳細や、ウェブ上での閲覧はこちらから。

■東京都防災ホームページ

なお、当シリーズは、専用新カテゴリ【『東京くらし防災』ってどうよ】にまとめることにします。


■当記事は、カテゴリ【『東京くらし防災』ってどうよ】です。

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