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2018年12月

2018年12月18日 (火)

《再掲載》【防災の心理03】誰がヒーローだ?(#1363)

状況1
大地震直後、倒壊しかけた家から火が出て、急速に燃え広がって行く。その時、中から助けを呼ぶ子供の声が聞こえた。周りの人は火と煙の勢いにたじろぎ、助けに行けない。その時、ある男が身を挺して突入し、自らやけどを負いながらも、間一髪で無事子供を救い出した。

状況2
真冬の大地震後、大勢の人が避難している避難所に、大火災が1kmほどに迫ったが、避難所ではその危険を認識していない。その時、ある男が避難所に駆け込み、大声で叫びながら渋る人々を説得して、近くの河川敷に移動させた。移動が完了した1時間後、避難所を火災旋風が襲った。

状況3
深夜、直下型の震度7に襲われた新興住宅街では、全壊こそ無かったものの、建物の損傷や家具類の転倒などで、多くの負傷者が出た。犠牲者も少なくない。ほとんどの家で大きな被害が出る中、ある男の家は多少損傷したものの、十分な対策によって家具類の転倒や散乱は無く、寝ていた家族は全員無傷だった。その後、備蓄してあった水と食品などで、支援が届くまでの1週間、自力でしのぐ事ができた。


・・・突然ですが、3つの事例を挙げました。これらはすべて架空の設定ですが、管理人の事だから、このうちどれが一番望ましいかなんて聞くんじゃないかと思われるかもしれませんが、違います。

ここに登場した3人の「ある男」(もちろん女でもいいんですが)、の「ヒーロー度」を、直感的にランキングしていただきたいのです。極端な例えをすれば、もしあなたが監督として映画を撮るなら、どの事例が一番「画になる」と思われるでしょうか。

多くの場合、上から1・2・3位となるのではないかと思います。女性、特にママさんだと3番目を1位とする方もあるかと思いますが、正直、あまり画になりません。それに、もし倒壊家屋や避難所から助けられたのが自分の子供だったとしたら、やはり上から順番ということになる事が多いかと。

では管理人はどうかというと、やはり上から順番です。それではいかんなどと言うつもりは微塵もありません。一般的なヒーローと言えば、やはり冒した危険度、言うなれば「危機一髪度」に比例するというのが普通でしょう。世のヒーローもの映画では、主人公はいつも命の危険を冒して他を救うのです。そして特に男性の場合、できることならそんな「活躍」をしたいという意識を、少なからず持っている方が多いかと思います。

余談ながら、現実には猛火の中から人を救おうとしたら失敗する、つまりどちらも生還できない例の方がはるかに多くなりますし、避難所の人を移動させた後、避難所に何も起きなかったら、「ある男」は針のむしろです。「寒いのになんて余計なことしてくれたんだ!」と、ヒーローどころか狼少年扱いです。いくら「最悪のケースを想定して」という正論を言っても、納得してくれる人は少ないでしょう。上の2事例は、あくまで「結果論のヒーロー」に過ぎません。

さておき、なぜヒーロー度ランキングが災害対策と関係するかということですが、実は、他者のために大きな危険を冒す者をヒーローとし、さらに自分が危機に陥った時にヒーローに救って欲しい、ヒーローになりたいと望む感覚は、ある心理と深い関連があるらしいのです。

それは一体なんだという話は、また次回に。


■当記事は、カテゴリ【防災の心理】です。

スプレーを侮るなかれ(#1362)

札幌市で、大規模なガス爆発事故がありました。あの規模の爆発で死者がゼロだったことは、まさに奇跡としか言いようがありません。


ご存じでしたか?


あの爆発の原因は、なんと室内で100本以上のスプレーのガス抜きをしたためという、なんとも呆れかえるようなものでした。それに関連して、これは今でもすごく勘違いされている方が多いのではないか、ということについて。

スプレー製品は、内容物にガスの圧力をかけて噴射させるものです。圧力をかけるために充填されるガスは、かつてはフロンガスが主流でした。

このフロンガス、いわゆる『不活性ガス』という奴で、無色・無臭で一般に毒性も低く、化学変化しずらくて火をつけても燃えないし爆発もしないという、とても使い勝手が良いものです。

しかしこのフロンガス、大気中に放出されると高層大気層までゆっくりと上昇してオゾン層を破壊するという効果がわかり、使用や取り扱いが厳しく規制されるようになったのはご存じの通り。

当然、スプレー製品もフロンガスから他のガスに変わっているわけですが、現在主流となっているガス、なんだかご存じでしたか?

すごくざっくりと言ってしまえば、都市ガスやプロパンガスと同じなのです。すなわち、火をつければ燃えるし爆発もします。

ちなみに、都市ガスやプロパンガスは、いわゆる『玉ネギが腐ったような』臭いがします。これは、漏れだしたことがすぐわかるように、敢えてつけられている臭いであって、ガス本来の臭いではありません。

スプレー用のガスには臭いはつけられておらず、ガス本来の臭いです。


缶に穴をあけるべき?


その昔のフロン時代は、スプレー缶を廃棄する時には、缶に穴をあけてガスを抜くのが普通でした。

でも今は、ガス自体が可燃性なので、缶に穴を空けること自体に危険が伴います。近くにある火気だけでなく、金属製の缶に穴を空ける際に飛ぶ火花や、作業に伴う静電気の火花でも発火・爆発の危険があるのです。

しかし現実にはそのような事故はあまり発生していないようなので(皆無ではないはず)、自治体などのスプレー缶廃棄方法指針でも、缶に穴を空けろというものと、ガスが無くなるまでスプレーボタンを押してガスを出し切って廃棄しろ、というものが混在しています。

とりあえず、一番安全確実な廃棄方法は、近くに火気が無い風通しの良い屋外で、スプレーボタンを押し続けてガスが出なくなってから廃棄という方法です。

何にしろ、屋内ではやらないことです。いかなるガスでも、密閉空間に溜めるなど絶対に避けなければなりません。一酸化炭素など毒性があるガスならば、気がつかないうちにあの世行きです。

換気扇を回していても、空気より重いガスは下の方にたまるので、確実に排出できるとは限りませんし、ガスが溜まってから換気扇をつけると、電気火花で爆発することもあります。


ガス爆発とは?


ガス爆発とは、どんな状況でも起きるわけではありません。

例えば、密閉した広い部屋の中でスプレー缶を数本ガス抜きした程度では、まず爆発は起きないのです。スプレー缶から噴出するガスに火を近づければ激しく燃焼しますが、爆発はしません。

ガス爆発とは、その空間のガスと空気がある一定の比率になった時に、なんらかの火気に触れた際に発生します。その比率は、空気に対してガスが5〜15%程度とされます。

今回の札幌の事故は、室内で100本以上という異常な数のスプレー缶をガス抜きした結果、室内の空燃比(空気と燃料の比率)が、大規模爆発に『理想的な』比率となり、その時に湯沸かし器のスイッチを入れたために起きたものです。

爆発のための火種は、どこにでもあります。電気製品の通電時にはほぼ必ず火花が出ますし、服や人体で起きる静電気の火花でも、爆発の火種には十分です。

家庭のガス爆発事故で良くあるケースは、ガスが漏れている中で、冷蔵庫のモーターが自動的にオンになる時の火花で爆発する、というものです。

中には、ガスが漏れていることに気づいて窓を開けようとしたら、金属製の窓枠がこすれて発生した火花で爆発した、というようなケースさえあります。


実はすごい危険物なんですよ


というわけで、身近にあふれているスプレー製品は、フロンガス時代よりずっと危険なものなのだ、という認識をしなければなりません。

フロン時代を知っている人ほど(管理人もその年代ですが)、認識を改めてください。ガスコンロで燃えているガスと同じものが、そこらに転がっているスプレーのボンベに詰まっているのですから。

言うまでもないことですが、中身が入ったまま火の中に放り込んだりしたら、すさまじい爆発を起こす危険物なのです。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2018年12月 7日 (金)

《再掲載》【防災の心理02】あなたはどちら側?(#1361)

2014年の連載記事再掲載の2回目です。


前回の記事で、「災害対策をしっかりやっても、感心されても尊敬されない」と書きましたが、言うまでも無く誰もが尊敬されたくて対策しているわけではなく、ただ災害から「生き残りたい、苦しみたくない」という純粋な気持ちから生まれる行動です。そして、そんな気持ちは誰もが持っているはずです。では、なぜそうなるか。

いくつか実例を挙げましょう。これらはすべて管理人の知人の実話です。

幼稚園と小学校のお子さんを持つ主婦の方。日頃から水、食品の備蓄や防災グッズの装備に努め、家の中の対策はもちろん、周辺の危険要素や避難経路もしっかり調査されています。しかし旦那さんはそのような行動を全く理解せず、いつも「そんな無駄なことするな」と不機嫌になるどころか、新しい備蓄や防災グッズを用意すれば「無駄なカネを使うな」と怒り出す始末。

いくら説得しても取り付く島もない状態が続いたので、その方は決意しました。もし大災害が起きても、旦那さんを全く当てにはしない。そこに居ようが居まいが、自分の子供と家は自分で守ると。高い防災意識が、夫婦の信頼関係にヒビを入れてしまったようです。


中学生のお子さんを持つ主婦の方。大地震発生時、台風接近時や竜巻発生の危険がある時の、学校の対応に不満持っていました。そのような場合、基本的にただ「下校させる」となっており、危険が迫っているような場合でも「校内待機」という選択肢が無かったからです。このため、状況によっては校内待機として、どのような状況で判断するかを明らかにするように求めました。

しかし学校側にそのようなマニュアルは存在せず、指摘に対しても曖昧な反応しかありませんでした。周囲の父兄を巻き込もうとしても積極的な人は少なく、学校側も含めて「面倒な人」という印象を持たれてしまったそうです。


30代の独身女性。東京・原宿の表参道を彼氏と一緒に歩いている時、東日本大震災が発生しました。初めて経験する激しい揺れに、歩道脇のビルからの落下物の危険をすぐに考え、彼氏の手を引っ張って車道を渡り、ケヤキ並木がある中央分離帯に避難しました。そこならば、落下物の危険はほぼありません。見事な判断です。

しかし周囲にそのような行動をする人はほとんどおらず、しかも肝心の彼氏は「心配しすぎだ」と彼女をなじりました。そんな彼氏の態度を目の当たりにして「この人とはやっていけない」と感じ、その後すぐに別れてしまったそうです。


30代の男性サラリーマン。地震の知識が豊富で、地震が起きると初期微動と主要動の時間差、揺れの方向、揺れの周期などから震央位置から規模、震源深さまで、数秒でかなり正確に推定するのが特技。仕事中に地震が起きる度に、「ネタ」として喜ばれていました。

通勤バッグの中には各種防災グッズが入っていて、例えば新人が入って来ると、「あの人のバッグの中を見せてもらえ、すごいぞ」とか「ネタ」として話題にされたりします。でも、感心されても真似する人はほぼ皆無。そんな場合、周りはいつも半笑いで、基本的に「変わった人」と思われているようです。


・・・という4つの実例をご覧いただきましたが、さて、あなたは「どちら側」ですか?当ブログをお読みいただいている皆様は、防災意識の高い方が多いかとは思います。それでも、例えばあなたの周りにこんな人々がいたら、ちょっと引いちゃうと感じられたりしていませんか?

そして、「その人たちはきっと極端すぎるんだろう。ほどほどにしておけばいいのに」と思われた方、多いのではないでしょうか。彼氏と別れた女性など、別れた原因はそれだけじゃ無いのだろうとも。いえ、本人は断言します。「それだけ」だと。そんな彼女を、極端すぎると思われたりしませんか?さらには、「防災ヲタ」の管理人の知人だから、同類ばかりなんじゃないか?とかw

念のため申し添えますと、この方々は、防災とは無関係の知人ばかりです。お気づきの方もいると思いますのでひとつネタバレしますと、最後の男性は、サラリーマン時代の管理人自身ですw


そうなんです。ほどほどにしておけば、周りから変な目で見られることは無いでしょう。では、ただ「災害から生き残る」という目的だけにフォーカスした場合に、その方々の行動や対策は必要にして十分かというと、これは管理人も含めて、とても十分とは言い切れません。元来、災害対策に完璧は存在しないのです。

実際の大災害では、運に左右される部分が非常に大きいのも事実。そしてその代償は「死」なのです。そのことが、災害対策を進める上で、心理的に大きな壁になっているのです。

次回も、そのことについて考えます。

■当記事は、カテゴリ【防災の心理】です。

同時に起きないとは誰も言えない(#1360)

今年は、12月にしては異常な暖かさが続いたと思ったら、いきなりガチな冬がやってきました。


雪が多そうです


気象庁の発表によれば、2018〜19年の冬は、基本的には暖冬傾向だそうですが、その一方でエルニーニョ現象の影響により、各地で多めの降雪が見込まれるとのこと。

つまりは、雪国にはドカ雪が、そうで無い場所にも結構な量の雪が降る、ということを覚悟しなければならないようです。

でも、雪国のドカ雪や太平洋側のまとまった雪は、かなりの確率で予測することができますから、対処する時間はそれなりにありますし、その他の冬の気象災害も、サプライズ的に襲って来ることは、まずありません。だから、極端に怖れる必要は無いはずです。

そうなると、冬のサプライズ災害は、さし当たって大規模地震くらいなのかなと。ならば、予測できても被害が拡大しやすい豪雨や台風のリスクも高い夏場よりは、多少はのんびりできるのでしょうか。

いや、そうではありません。


いちばん怖いこと


怖いのは、複合災害です。

過去の地震災害で、冬に起きた例は何故か少ないのです。ざっと思い起こすと、1995年1月17日に発生した、阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)と、2011年3月11に発生した、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)くらいでしょうか。

でも阪神・淡路大震災は関西地方の太平洋側ということで、寒さ自体が大きな脅威というほどではなく、東日本大震災は、寒さが緩んでこれから暖かくなるという時期だったので、厳冬期というわけでもありません。

雪深い場所が大きな被害に遭った地震の例はさらに少なく、思い起こされるのは東日本大震災の翌日未明、2011年3月12日に発生した、震災の誘発地震とされる長野県栄村地震(長野県北部地震)くらいでしょう。

しかし、大半の報道が東北地方に集中したために、この地震における被害の実態は、あまり知られていません。『忘れられた被災地』と呼ばれる所以でもあります。

なぜ真冬の大地震が少なかったのかは、根拠に乏しい諸説がはびこってはいるものの、つまるところ、


単なる偶然


にすぎません。真冬の雪や冷たい雨の中で大規模地震が発生する、もしくは直前や直後に複合する可能性は、常にあります。

今年9月に発生した北海道胆振東部地震も、厳冬期に起きていても全くおかしくなかったのです。

想像してください。たとえば昨冬、関東地方などで交通がが大混乱した大雪の中で、大規模地震が発生したら。あの中でインフラが止まり、家が損傷し、屋外で帰宅困難になったら。

「そんなことあるわけない」と楽観できる方には、何も申しますまい。でも、それがリアルな恐怖と感じるならば、まだやれることはたくさんあります。


考えが甘い!


当ブログでは、開設当初からある問題を指摘し続けてきました。

それは、巷で言われる災害対策や、いわゆる『防災グッズ』に、あまりにも防水・防寒の要素が欠落している、ということです。

非常持ち出しリュックに防水性能が無い、中身に雨具が入っていないか簡単なビニール合羽のみ、手袋は濡れや冷えを全く考えていない軍手がひと組だけ、現実には大して防寒性能は期待できないアルミレスキューシートがあれば安心的な発想など、枚挙に暇はありません。

3月とはいえまだ厳しい寒さだった東日本大震災の教訓があっても、それが十分に広まっているとは、全く言えません。

管理人が当ブログを広告が表示されない有料ブログサービスで展開している大きな理由のひとつは、そんな半端な防災グッズの広告が、当ブログに表示されるのが許せないからでもあります。

過去がどうだろうと、それが起こる可能性があるのなら、そしてもし起きたら大変な目に遭う、致命的な結果にもなり得るのが現実ならば、常に最悪を想定して備える必要があります。


改めてご覧ください


というわけで、冬の複合災害、特に大規模地震と寒さや雪の複合に対処するための方法を記した過去記事を、あらためてご覧いただき、皆様の備えの参考にしていただければ幸いです。

近々に防水・防寒関連の過去記事リンク集をお送りします。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


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