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2019年1月21日 (月)

《再掲載》【防災の心理05】その時、あなたに何が?(#1367)

さて、ここで前回記事【防災の心理04)】での想定をもう一度ご覧ください。
【想定】12月中旬、晴れ、北風が強い寒い日。平日の午後4時、皆様それぞれの居場所で、直下型の震度6強が発生。古い木造建物は軒並み倒壊し、新しい建物でも何らかの損傷を受け、未対策の大型家具類はほとんど転倒、散乱。揺れのピークでは歩行移動は不可能、四つん這いになるのがやっとというレベルの揺れ。停電、断水が発生。固定、携帯電話、メールは不通、ネットもダウン。大きな余震が何度も起きている。


この状況下で、あなたは地震発生から1分後、5分後、30分後、1時間後にどのような状況に置かれ、何をしているかをお考えいただけたでしょうか。皆様の置かれた状況によって、様々なパターンがあると思います。

実は、これには「正解」というものがありません。しかし、明らかな「誤り」はあります。忘れてならないことは、これは心理テストの類ではなく、具体的な災害対策を進める上での基礎データのひとつとなるものだということです。「誤り」の例としては、例えばこんな感じでしょうか。あるママさんの場合。

■1分後
自宅キッチンで料理中に地震。すぐにコンロの火を消して玄関へ。ドアを開けてから、幼稚園から帰宅していた子供の部屋へ行き、子供の手を引いて玄関から外へ。
■5分後
揺れが収まったので一旦家に戻り、用意してあった非常持ち出しを持って、ヘルメットをかぶって避難所となる小学校へ向かう。
■30分後
小学校の体育館に入り、備蓄の水と食品の配給を受ける。余震が続いて怖い。でも、被害が拡大するほどではなく、なんとかなりそうだ。避難所には続々と人が集まり、体育館はすぐに満杯になる。
■1時間後
余震が続いている。あちこちで火事が起きているようで、黒煙が何本も上がるのが見える。避難所に怪我をした人が来たので、手当を手伝う。

ある会社員男性の場合。
■1分後
ビルの7階にあるオフィスでデスクワーク中に地震。すぐにデスクの下に入り、強い揺れが収まるのを待つ。キャビネットが倒れ、窓ガラスが割れる。自分も破片を浴びて少し切り傷を負うが、大したことは無い。会社の救急箱を遣って手当をする。
■5分後
周囲の社員に声をかけ、ビルから脱出を試みる。普段から防災グッズを入れてあるバッグは忘れない。怪我で歩けない人がいるので肩を貸しながら非常階段を降り、屋外へ脱出。ビルの前には落下物で怪我をした人が数人いたので、応急手当を手伝う。
■30分後
怪我人の手当が一段落したので、広域避難所に指定された公園へ向かう。公園は周囲のビルから避難して来た人で溢れかえっている。怪我人も少なくない。
■1時間後
公園で待機したまま、日が暮れて来た。余震が続き、ビルに戻るのはまだ危険と判断する。かなり寒いが、皆が持ち寄った燃料を使い、あちこちでたき火が焚かれ出したので、なんとか寒さをしのげた。

さて、これらのどこが「誤り」なのでしょうか。大地震に遭遇した瞬間に身を守る行動をし、用意してある防災グッズを持ってすぐに避難行動を始め、怪我人の救護まで手伝っています。ある意味で、理想的な行動ですよね。被災時にはこうあるべきだという行動と言っても良いでしょう。

でも、もうお気づきの方も多いと思いますが、「理想的」で「こうあるべき」だからこそ、「誤り」なのです。残念ながら皆様がどのようなシミュレーションをされたかを管理人が知る術はありませんが、このような内容を考えられた方、比較的多かったのではないかと思うのです。さて、皆様はいかがだったでしょうか。

次回は「誤り」の理由と、なぜそのような考えになるのかについて考えたいと思います。実は、そこに人間の心理が絡んで来るのです。

■当記事は、カテゴリ【防災の心理】です。

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