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2019年10月

2019年10月21日 (月)

巨大台風襲来の時代に【その1】(#1383)

台風15号における災害の検証をしようと考えているうちに、もっと強力な台風19号の襲来を受けました。このため予定を変更して15号、19号による災害を総合的に考察していくことにします。


2019年10月、東日本を中心に襲来した台風15号及び19号によって、各地に大きな被害が発生しました。被災された皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。被災地へボランティアに入る余裕は残念ながら無いので、義援金等で支援させていただいております。

■本当に変わりはじめた
当ブログ管理人としては、この《大災害》に接し、やはり静観はできません。久しぶりに記事を更新しようと考えたのですが、15号から19号への“連続攻撃”によって、今まで考えが及ばなかったようなことまでが浮き彫りにされ、そこから得られる考察や教訓は膨大ですから、正直言ってどの切り口から始めようか、というだけで混乱しそうです。

明らかなことは、当ブログで何年も前から指摘してきたこと、地球規模の気候変動によって、これから気象はどんどん容赦なくなって行くということが、ついに目に見える形で始まった、ということでしょう。昨年(2018)9月の台風24号襲来に際し、管理人は記事内でこう述べました。

この2018年は、後年になって『あの年から変わったよね』と言われる年になるだろうと。

しかし、恐らく後年までより多くの人の記憶に残るのは今年、2019年ではないかと考えを改めました。今年の台風をはじめとする気象災害は、それほど大きな変化だったと考えます。

■とりあえず下世話な話から
台風19号が東日本に接近している中、管理人はネットニュースである情報に接しました。ホームセンターから『養生テープ』が消えたと。管理人はほとんど民放のテレビを観ないのでどこがネタ元かわかりませんが、暴風によるガラス破損を防ぐためにはガラスに米印にテープを貼るのが有効であり、そのためには『養生テープ』が最適である、という情報がテレビで流れたそうで。で、皆がホームセンターに殺到したとか。

しかし、昨年2018年の台風24号襲来時から、ガラスに米印にテープを貼って破損及び崩落防止、という話はネットを中心にかなり拡まっていたと感じます。管理人は、それを受けて当ブログの記事を書きました。2018年9月29日の記事です。(下記リンク)

台風24号襲来に備えて(#1357)

その中で、これは完全に管理人自身の経験からのオリジナル内容、すなわちどこからの受け売りではない内容として、『養生テープ』が強度、剥がしやすさ、価格などから最適であると書きました。布ガムテープは強度は抜群ながら比較的高価、濡れた場所には貼り付かない、剥がすと糊が残りやすいなどの理由から、全く不向きなのです。

あれからほぼ1年経って、それをいきなり『防災のプロ』の誰かさんが言い出したようで、過去に何度もやられたように、素人のブログからのネタパクリを、またやられたのかなと。

例によって、別に管理人に先見の明があったとかを自慢したいわけではありませんし、どんな形だろうと正しく有効な災害対策が拡まることは、管理人の望むところです。しかし、これもいつも指摘している通り、メディア露出の多い『商業ベースの防災のプロ』のレベルがあまりに低くて、実はロクに使えなくてもとりあえずキャッチーなネタばかり流して災害対策でござい、という輩の多さに辟易としているわけです。あの『水のう』とか『水害避難時には長靴を履くな』とかが典型的ですね。

今年の連続台風では、非常に広範囲に大きな被害が出ましたが、そんな情報がどこかで本当に役に立ちましたか?どこかで『水のう』で浸水を防げたのですか?長靴を履いて避難して、危険な目に遭った人がいるのですか?ちょっと浸水対策すれば長靴ほど水害対処に有効なアイテムはない、ということを当ブログでは昔から指摘してきたのですが。

■自分で考えよう
この先、気象災害はさらに多発するようになるでしょう。台風だけでなく豪雨、豪雪、竜巻、落雷、それに伴う洪水や土砂災害などが、さらに頻発すると考えなければなりません。

そんな時代には、直前になって話題になった対策など、ほとんど実行できないでしょう。何故なら、特に今回の台風19号で見られたとおり、大都市圏が広域災害に見舞われる可能性が、急速に高まっているからです。大都市圏=人が多い。多数の人が同じ方向や方法に殺到することは、それ自体がすでに災害なのです。

今回、台風上陸前日には被災予想地域のスーパーやコンビニから保存が効く食品がほとんど消えました。ホームセンターからは養生テープやカセットガスコンロ、ブルーシートなどが消えました。ガソリンスタンドは、深夜まで給油待ちの長い行列ができていました。それは、テレビなどで「台風にこう備えろ」と聞いてから動き出した人が非常に多かったことを示しています。

手前味噌ながら、台風19号では管理人居住地にも避難指示が出るような状況になったのですが、新たに備える必要は何もありませんでした。当たり前のように、普段から備えてあるものを引っ張り出しただけです。車の燃料は、直前にはスタンドが混雑することを見越して、台風上陸3日前には満タンにしました。

ちょっと考えれば、ちょっと手間をかければできることであり、それをやってあっただけです。それは、防災ヲタだったり防災士だったりするからではありません。災害を本気で怖れていて、自分が被災した時にできるだけひどい目に遭いたくないから、備えておけばよかったなと後悔したくないから、ただそれだけです。

災害の情報も教訓も、いくらでもあります。でも、自分で情報を選んで行かないと、本質とかけ離れたロクでもない情報に踊らされて、その結果ひどい目に遭うのはあなたやあなたの家族、大切な人なのです。

そのために、当ブログのテーマのひとつであるThink yourselfを実践してください。あなたの災害対策は、あなたが正しい情報に基づいて考えたことが最良なのです。

次回からは、具体的な考察と対策を考えて行きます。


■当記事は、カテゴリ【気象災害】です。

2019年10月 1日 (火)

台風15号と千葉大停電《その3》(#1382)

2019年9月に関東地方を直撃した台風15号により、関東各地では軒並み観測史上最高やそれに近い風速が観測されました。この台風は、いわゆる『風台風』だったと言えそうです。

そのため、千葉県を中心として電柱の倒壊や倒木による電気設備の損傷などのために広い範囲で停電となり、かなり深刻な状況だったものの、被害の全貌を電力会社や行政が把握するのに『想定外』の時間がかかってしまったのです。


■装備が役に立たない!■
それでも、電力会社は早期の復旧を目指して、台風通過後早い段階から復旧作業を始めました。ところが、損傷が想像以上に酷かったことに加え、『想定外』の障害が行く手を阻みました。道路をふさいだ大量の倒木です。

復旧部隊が被災地へ到達するためには、まずは道路の『啓開』作業が必要でした。通常、災害時にその役を担う中心となるのは国土交通省管轄の道路管理部隊です。2011年の東日本大震災では、東北地方を南北に貫く国道4号線から太平洋側の被災地への道路を短時間で啓開して救援部隊の展開を可能にした、『くしの歯作戦』を成功させました。

しかし今回は勝手が違ったのです。道路を塞ぐのが土砂や瓦礫ならば、パワーショベルやブルドーザーなどの重機を装備した道路啓開部隊が活躍できるのですが、今回の敵は倒木、それもかなり太く長い杉の木が中心です。通常の重機ではなかなか歯が立たないのです。道路を塞いだ倒木に対しては、まずチェーンソーなどで切断したあと、主に人力で移動しなければなりません。大量のチェーンソーとマンパワーが必要ですが、それらをすぐに手当てできる状況ではありません。

倒木を除去するためには、パワーショベルのアームに装着する巨大なカニばさみ状の『グラッパー』というアタッチメントが有効ですが、これは主に建物の解体用などで、通常はあまり装備されていませんから、重機があっても啓開が進まない、という状況も起きました。

このため、電力会社の復旧工事部隊はあちこちで足止めを食ったのです。


■応援が来ない!■
さらに悪いことに、東京方面から千葉県に向かう大動脈である東関東自動車道や東京湾アクアラインが、台風通過後もしばらく通行止めでした。このため千葉県内に向かう一般道は大渋滞となり、管理人が聞いた話では、台風の翌日には東京都内から成田空港まで9時間以上かかったとか。そこからさらに房総半島を南下するためには、どれだけ時間がかかったのでしょうか。

発災数日後には遅ればせながら自衛隊への災害派遣も要請され、電力会社の応援部隊も全国各地から集結してきたものの、効率よく被災地へ進入することはかなわず、広範囲に渡る通信のダウンでその先の状況把握もできない、という状態がしばらく続きました。


■着いたら着いたで■
遅ればせながら自衛隊に災害派遣要請が出され、装備とマンパワーに優れた自衛隊が投入されて、やっとのことで被災地に進入した復旧部隊を待っていたのは、『想定外』の損傷でした。

過去最高レベルの暴風に加えて、幹が空洞化する病害のせいで多発した倒木のせいもあって電柱の倒壊や送電線の切断が酷く、復旧には想定以上の時間がかかることがわかってきたのです。報道で、電力会社が発表する復旧予想日がどんどん伸びていったのが、この頃です。

ここまでの経緯を見ると、被害の内容や規模も含めて『想定外』の連続が早期復旧を阻んだと言えます。


■これは複合災害である■
被災地では、家屋の損傷に加えて電気、水道、通信の途絶が広い範囲で発生しました。そして、状況をさらに過酷にしたのが、酷暑です。

台風通過後の関東地方は、気温が35℃を超えるような日が続きました。その中で電気と水道が途絶することで、熱中症による死者も出てしまいました。そこまで行かなくても、健康を害した人が多発していたはずです。

さらに発災数日後には強い雨も降り、屋根に損傷を受けた家屋では、被害が拡大しました。雨漏りを防ぐブルーシートが不足し、屋根にかけるための作業員も不足しました。屋根などの高所作業には特別な資格が必要で、通常のボランティアは作業できないのです。ボランティア保険でも、高所作業によるケガなどは補償されません。

この台風では、これら諸々の悪条件が複合的に重なることで、通常の台風被害とはかなり異なった被害状況となりました。被害の数字的規模だけ見れば、激甚災害とまでは言えません。しかし、住民にとっては大規模地震などの巨大災害後に匹敵するような、過酷な状況となりました。

そしてそれは、決して今回の被災地だけのことではなく、日本中どこでも起こることなのです。

次回は、改めてこの災害の経緯をまとめて、今後我々が対策するために生かせる教訓を考えて行きます。


■当記事は、カテゴリ【気象災害】です。

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