過日、管理人はある防災イベントに参加してきました。数人のチームで街を歩きながら、大地震を中心とした災害の際に、街のどこに危険が潜んでいるかを見つけて行くのがミッションです。
そこで改めて感じたことがあるので、記事にしました。
最初の危険は落下物
繁華街やビル街の屋外で大地震に遭ったら、最初に襲ってくる危険は、落下物です。割れたガラスや看板類などが落ちて来ることは、すぐに想像できます。
最近の店舗ビルは正面がガラス壁になっていたり、全面ガラス張りのビルも珍しくありません。そのようなガラス壁は、もちろん耐震性が考慮されてはいるのですが、絶対に割れないとは言えません。
管理人自身も、震災後の仙台市内や石巻市内などで、家電量販店やパチンコ店の大型ガラス壁が崩壊しているのを、実際に見てきました。津波によるものではなく、震度6強程度の揺れで崩壊しているのです。
厚さ1cm程度の厚いガラスの断面は、まさにカミソリと言えるような鋭さです。あんな破片を浴びることは、想像したくもありません。
しかも、高い場所から大きなガラスの破片が落ちて来る場合には、必ず尖った方が下になるのです。これは紙飛行機と同じ原理で、それが空力的に一番安定する状態というわけです。その直撃を受けたら、ヘルメットやバッグ類で防護しても、貫通を防げない可能性もあります。
ですから、地震を感じたら、そのような場所から速やかに離れる、頑丈な建物の中に入る、外の状態を確かめずに飛び出さないなどの行動が生死を分けます。
ここで、動画をご覧ください。東日本大震災のニュース映像を集めたもので、激しい揺れや津波などのショッキングなシーンが含まれます。
この動画の開始から33秒では、落下物の恐怖が映し出されています。音声では「看板が落ちて来ている」と言ってますが、それだけでは無いのです。
意外に見落とされているもの
動画の中で、看板と一緒に落ちて来ているもの。それは外壁材です。多くの場合化粧タイルですが、吹きつけのモルタルが剥がれて落ちて来ることもあります。
そういう目で、あなたの周りのビルを見回してください。ガラス壁以上に、外壁に化粧タイルを貼った建物が多いことに気がつくはずです。
特に、古い建物の場合はタイルが浮いたり剥がれかけていることも多く、そこへ地震が起きれば、簡単に剥がれて落ちて来るでしょう。しかし、新しい建物でも、外壁材の剥離落下はかなり起きているのです。
そんな中で、管理人が最も危険だと思うタイプの建物をお知らせしておきましょう。管理人は、勝手に『しましまビル』と呼んでいるもので、地震を感じたら真っ先に離れますね。

ちょっと古いビル街だと、こういう窓と壁がしましまになった四角いビル、結構ありませんか。
これは昭和30年代末期から40年代くらいに流行したデザインで、このデザインを見ただけで、旧耐震基準(既存不適格)建物であることがわかります。中には耐震補強を施しているビルもあるかもしれませんが、中小のビルでは大抵そのままです。
ましてや、窓枠がアルミサッシではなく鉄製だったら、建築当時から何も手が入れられていないことは間違いありません。ですから、まず倒壊の危険が大きいのです。阪神・淡路大震災で倒壊したビルのほとんどは、この時代のものです。
しかもこの『しましまビル』は、窓の間の壁面が、画像のように化粧タイル仕上げになっていることがとても多いのです。化粧タイルは、鉄筋コンクリートの躯体(建物本体)に、モルタルで貼り付けてあるだけですから、長年の震動によるヒビや浸水などで、落ち易くなっていることも多いのです。
築40年を超えるようなビルの化粧タイルは、強い地震が来たらまず落ちるものだと考えておくべきで、さらに、新しい建物でも決して絶対安全ではない、と思っていなければなりません。
上のyoutube動画で、看板と壁材を落としているビルは、そんなに古いものではなく、1981年以降建築の新耐震基準建物のようです。あの時、東京都内は最大震度5強。新しいビルでも、その程度の揺れでも落ちることがあるということの証明でもあります。
もう一度確かめよう
繁華街やビル街で強い地震に遭ったら、まず最初の危険は落下物です。
ところが、東日本大震災時の都内の映像では、ビルから出たものの、最も危険な歩道に集まっている人の多いこと。たまたま、何も落ちて来なかったに過ぎません。
本当に強い地震が来たら、まずその段階をクリアしなければ次の段階に進めない、すなわち地震発生直後に死亡または重傷ということです。水とか食料とか言っている場合ではありません。
ですから、改めて皆様の周りの危険を見回してください。そして、まずそこから逃げるための行動を、場所に応じて常に考えていてください。上の動画を見てもわかる通り、判断し、行動する時間は数秒しかありません。
そして、あなたの頭上に落ちて来るのはガラス、看板類、そして化粧タイルなどの壁材なのです。
※今回から、小見出しのスタイルを変えてみました。
■当記事は、カテゴリ【地震・津波対策】です。