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地震・津波対策

2016年5月 1日 (日)

【熊本・大分の皆様へ】『家の中の地震対策』リンク集(#1192)

Furniture
こうなる前に、手軽にできることはたくさんあります


今回のリンク集は、過去シリーズ記事『家の中の地震対策』です。


家の中は凶器だらけ


地震対策には、まず建物の耐震性が最も大切です。

でも、それが十分であっても、家の中には地震の時に凶器となるものが、いくらでもあります。

今までも、「家具を固定しろ」とか「初期消火に備えよ」とかいろいろ言われていますし、そう言うだけなら簡単です。でも、果たしてそれは本当にできるのですか?実際にやった方ならば、その難しさはおわかりでしょう。

自分でやったこともない、受け売り、口先だけの『防災の専門家』が山ほどいる中で、家の中の危険防止のために、“本当に役に立つ”ことは何かを考えたシリーズのリンクをお送りします。

これも当ブログスタート直後、2012年当時の記事なので、今見るといろいろ詰めの甘さなど多いのですが、具体的な考え方や技術は、ご参考にしていただけると思います。


シリーズ『家の中の地震対策』リンク集


家の中の地震対策【1】

家の中の地震対策【2】

家の中の地震対策【3】

家の中の地震対策【4】

家の中の地震対策【5】


家の中の地震対策【6】

家の中の地震対策【7】

家の中の地震対策【8】

家の中の地震対策【9】

家の中の地震対策【10】

家の中の地震対策【11】

家の中の地震対策【12・最終回】


■当記事は、カテゴリ【地震・津波対策】です。

2016年3月16日 (水)

最初の、しかし忘れがちな危険とは(#1157)

過日、管理人はある防災イベントに参加してきました。数人のチームで街を歩きながら、大地震を中心とした災害の際に、街のどこに危険が潜んでいるかを見つけて行くのがミッションです。

そこで改めて感じたことがあるので、記事にしました。


最初の危険は落下物


繁華街やビル街の屋外で大地震に遭ったら、最初に襲ってくる危険は、落下物です。割れたガラスや看板類などが落ちて来ることは、すぐに想像できます。

最近の店舗ビルは正面がガラス壁になっていたり、全面ガラス張りのビルも珍しくありません。そのようなガラス壁は、もちろん耐震性が考慮されてはいるのですが、絶対に割れないとは言えません。

管理人自身も、震災後の仙台市内や石巻市内などで、家電量販店やパチンコ店の大型ガラス壁が崩壊しているのを、実際に見てきました。津波によるものではなく、震度6強程度の揺れで崩壊しているのです。

厚さ1cm程度の厚いガラスの断面は、まさにカミソリと言えるような鋭さです。あんな破片を浴びることは、想像したくもありません。

しかも、高い場所から大きなガラスの破片が落ちて来る場合には、必ず尖った方が下になるのです。これは紙飛行機と同じ原理で、それが空力的に一番安定する状態というわけです。その直撃を受けたら、ヘルメットやバッグ類で防護しても、貫通を防げない可能性もあります。

ですから、地震を感じたら、そのような場所から速やかに離れる、頑丈な建物の中に入る、外の状態を確かめずに飛び出さないなどの行動が生死を分けます。

ここで、動画をご覧ください。東日本大震災のニュース映像を集めたもので、激しい揺れや津波などのショッキングなシーンが含まれます。

この動画の開始から33秒では、落下物の恐怖が映し出されています。音声では「看板が落ちて来ている」と言ってますが、それだけでは無いのです。


意外に見落とされているもの


動画の中で、看板と一緒に落ちて来ているもの。それは外壁材です。多くの場合化粧タイルですが、吹きつけのモルタルが剥がれて落ちて来ることもあります。

そういう目で、あなたの周りのビルを見回してください。ガラス壁以上に、外壁に化粧タイルを貼った建物が多いことに気がつくはずです。

特に、古い建物の場合はタイルが浮いたり剥がれかけていることも多く、そこへ地震が起きれば、簡単に剥がれて落ちて来るでしょう。しかし、新しい建物でも、外壁材の剥離落下はかなり起きているのです。

そんな中で、管理人が最も危険だと思うタイプの建物をお知らせしておきましょう。管理人は、勝手に『しましまビル』と呼んでいるもので、地震を感じたら真っ先に離れますね。
Img_0960
ちょっと古いビル街だと、こういう窓と壁がしましまになった四角いビル、結構ありませんか。

これは昭和30年代末期から40年代くらいに流行したデザインで、このデザインを見ただけで、旧耐震基準(既存不適格)建物であることがわかります。中には耐震補強を施しているビルもあるかもしれませんが、中小のビルでは大抵そのままです。

ましてや、窓枠がアルミサッシではなく鉄製だったら、建築当時から何も手が入れられていないことは間違いありません。ですから、まず倒壊の危険が大きいのです。阪神・淡路大震災で倒壊したビルのほとんどは、この時代のものです。

しかもこの『しましまビル』は、窓の間の壁面が、画像のように化粧タイル仕上げになっていることがとても多いのです。化粧タイルは、鉄筋コンクリートの躯体(建物本体)に、モルタルで貼り付けてあるだけですから、長年の震動によるヒビや浸水などで、落ち易くなっていることも多いのです。

築40年を超えるようなビルの化粧タイルは、強い地震が来たらまず落ちるものだと考えておくべきで、さらに、新しい建物でも決して絶対安全ではない、と思っていなければなりません。

上のyoutube動画で、看板と壁材を落としているビルは、そんなに古いものではなく、1981年以降建築の新耐震基準建物のようです。あの時、東京都内は最大震度5強。新しいビルでも、その程度の揺れでも落ちることがあるということの証明でもあります。


もう一度確かめよう


繁華街やビル街で強い地震に遭ったら、まず最初の危険は落下物です。

ところが、東日本大震災時の都内の映像では、ビルから出たものの、最も危険な歩道に集まっている人の多いこと。たまたま、何も落ちて来なかったに過ぎません。

本当に強い地震が来たら、まずその段階をクリアしなければ次の段階に進めない、すなわち地震発生直後に死亡または重傷ということです。水とか食料とか言っている場合ではありません。

ですから、改めて皆様の周りの危険を見回してください。そして、まずそこから逃げるための行動を、場所に応じて常に考えていてください。上の動画を見てもわかる通り、判断し、行動する時間は数秒しかありません。

そして、あなたの頭上に落ちて来るのはガラス、看板類、そして化粧タイルなどの壁材なのです。

※今回から、小見出しのスタイルを変えてみました。


■当記事は、カテゴリ【地震・津波対策】です。


2013年12月12日 (木)

☆再掲載☆高層ビル編14【首都圏直下型地震を生き残れ!39/54】

■当記事は過去記事の再掲載です■


今回は、このテーマの最終回として、特に高層ビルにおける、そしてその他の多くのケースに対応できる地震対策を考えます。

まずは、強い地震の際に最大の凶器となる、アップライトピアノの対策です。数百キロの重量があるアップライトピアノの地震対策は「移動防止」と「壁への衝突防止」、この二点に集約されます。

高層ビルで予想されるような周期の長い大きな揺れの場合、ピアノのような重量物も床の上を激しく移動しようとしますから、その動きを抑えなければなりません。そのために、脚の下に移動防止機能や衝撃吸収機能のある「インシュレーター」を装着することが必須です。

ピアノの移動を抑えたら、次にピアノがその場で揺れることで、背後の壁にぶつかる動きを抑える必要があります。数百キロもあるピアノが転倒する場合、揺れによって背後の壁に衝突する反作用で、揺れが増幅されるケースがほとんどだからです。背後に壁が無い場合、アップライトピアノは後ろ向きに倒れやすい重心位置になっていますので、その動きを抑える必要があります。

しかしピアノのような重量になると、ここまで述べて来たような家具用の器具や方法では、あまり効果が期待できません。もちろん、ピアノにボルト穴をあけたり、表面に何か器具を取り付けることは現実的ではありません。そんなピアノのためには、専用の器具があります。この器具の原理は、ピアノの下に敷く底板とピアノの構造部材をクランプして一体化させ、ピアノが単体で揺れる動きを抑えるものです。

ピアノをお持ちでしたら、是非ピアノ専門店や楽器店に相談して、アドバイスを受けてください。ピアノは、大地震の際には、家具以上に恐ろしい「凶器」に変わるということをお忘れなく。阪神・淡路大震災では、周期1~2秒という「短周期地震動」を中心とする震度7の揺れが発生しましたが、その中で未対策のアップライトピアノが数秒以内で転倒したり、激しく移動して壁に衝突するような例が多発したのです。


次に、家具への対策以外に、是非用意しておいていただきたいものについてです。それは、特に中高層マンションやアパートで威力を発揮します。

それが、これ。
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当ブログでは「家に備える防災グッズ」シリーズの筆頭で採り上げた、大型バールです。家に備えるものとしては、750~900ミリ程度のサイズをお勧めします。

中高層ビルでは、大規模地震による大きな長い揺れや、前述の「二次モード振動」の発生により、構造にゆがみができる可能性があります。その際、マンションやアパートの頑丈なドアが変形したドア枠にかみこんで、開かなくなることが考えられます。「地震の際にはまずドアを開けろ」と言われるのは、これを防ぐためです。

しかしそれができずに、ドアが開かなくなってしまった場合、強制的に開ける器具があれば安心です。このサイズのバールをてこに使ってこじ開ければ、大抵の場合は問題無いでしょう。それがだめなら、通路側の窓を開け、窓格子を破壊して脱出することもできます。

自分や家族が脱出できたら、他の部屋の救助に使います。中に救助を要する人がいるのにドアが開かないような場合、ドアをこじ開けるのはもちろん、窓格子の破壊、ガラスの破壊、残ったガラスの除去、石膏ボードや羽目板の破壊、倒れた家具の移動や破壊、崩れた梁などが落ちるのを防ぐ支柱など、多くの用途に使えます。ですから、これは「一家に最低一本」、必ず備えておくべきものだと考えます。ホームセンターやネットショップで、安いものは一本2000円前後からあります。

なお、バールには軸が中空の軽量タイプもありますが、災害対策用としては、より強度が高い無垢鉄製のものをお勧めします。無垢鉄製の方が安価でもあります。

加えて、「家に備える防災グッズ」シリーズでお勧めした自動車用ジャッキやノコギリがあれば、さらに多くのケースに対応できるでしょう。そして、このような器具を使うケースを想定し、頑丈な革手袋やヘルメット、防護ゴーグルなどが一緒に置いてあれば、なお良いでしょう。このような備えが「生き残る」確率も、そして「生き残らせる」確率も高めるのです。

ここまで「高層ビルで生き残れ」と題して、14回に渡って様々な対策を述べて来ましたが、文中で何度も繰り返しているように、これらの対策は高層ビル専用ではありません。いかなるケースでも有効な対策の中で、高層ビルで予想される地震被害に対して特に効果的と思われるものをピックアップしたものです。ですから、高層ビルを仕事場や住居にされている方以外も、是非参考にしてみてください。

今回で、「高層ビルで生き残れ」編は終了します。次回からは、「旅行編」の再掲載を始めます。


■このシリーズは、カテゴリ【地震・津波対策】です。

2013年12月 6日 (金)

☆再掲載☆高層ビル編12【首都圏直下型地震を生き残れ!38/54】

■当記事は過去記事の再掲載です■

今回は、その他の方法について考えます。

前回記事(11)で、家具の転倒対策の多重化について考えましたが、過去に「家の中の地震対策」シリーズなどで述べて来た通り、それぞれの器具がその性能を十分に発揮できる環境は、意外に少ないのです。そこで、できるだけ多くの環境に対処できる、最大公約数的な方法を考えてみます。そこで最も確実なのは、一番多くのケースで設置が可能である「転倒防止クサビ」を中心に、そのバックアップをするという方法です。

ここで、前回記事に掲載した模式図を再掲します。
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この図では「転倒防止クサビ」を使っていませんが、前回は何も説明せずに、家具と壁の間に、さりげなく「クッション」を入れてあります。これは、家具が揺れて壁に衝突する衝撃を分散、吸収して、転倒する方向へ加わる反発力を弱めるためのものです。具体的な方法については後述しますが、家具と壁の間に隙間がある場合は、家具の揺れを抑制するために効果的です。

「転倒防止クサビ」を使う場合、家具は最初から壁によりかかっていますのでこの方法は使えませんが、可能であれば何らかのクッションを挟むことで、より効果がアップするわけです。前回記事では、「転倒防止クサビ」と併用するものとして「アンカーベルト」をお勧めしたのですが、背後の壁が石膏ボードや漆喰壁で、「アンカーベルト」のボルトを植え込むための十分な強度が無い場合が多いのが現実です。

そこで、現実的に最も効果的と思われる組み合わせを考えました。それが下図です。なお、わかりやすくするために誇張して描いています。
Photo
「転倒防止クサビ」を設置した上で、その角度に合わせて「粘着式アンカー」を併用する方法です。「粘着式アンカー」の粘着面は、いわゆる「耐震ジェルマット」とほぼ同じ、厚みと粘りがあるジェル状のマットですから、衝突に対する緩衝効果があります。さらに家具に貼り付けてあるジェル面でも、水平方向の動きを抑制しますから(これが本来の機能ですが)、「転倒防止クサビ」との相乗効果で、家具の揺れを効果的に減殺することができます。

家具が転倒するとは、家具が傾くことによる重心の移動と、それが壁に衝突した時の反発力で増幅されることによって動きが増幅された結果ですから、この組み合わせはその両方を最初から抑えてしまう効果が大きく、家具を建物の揺れと強制的に同調させます。平たく言えば、家具が暴れづらいということです。

問題点は「アンカーベルト」に比べて数倍のコストがかかることですが、命(と、家財)を守る出費と考えれば、それほど高いものでは無いと思いますが。「粘着式アンカー」にもいくつか種類がありますが、管理人も使用している「ガムロック」(下画像の二個セット、家具一台分)で、2500円前後です。ネットショップで購入できますが、商品レビューを見ると、東日本大震災被災地でも、十分な効果を発揮したようです。
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なお、言うまでもなく管理人はいかなる業者などとも一切関係はありません。また、あくまで個人の経験と考察からお勧めしているものですから、これがベストだとは言い切れません。管理人個人のお勧めとしてご理解ください。

次回に続きます。


■このシリーズは、カテゴリ【地震・津波対策】です。

2013年12月 2日 (月)

☆再掲載☆高層ビル編11【首都圏直下型地震を生き残れ!37/54】

■当記事は過去記事の再掲載です■


今回は、家具類の多重的な転倒防止対策を考えます。

大地震発生時、特に高層ビルにおいては、「長周期地震動」の発生によって、非常に長い時間にわたって大きな揺れが続くことが考えられます。転倒防止器具がひとつだけでは、揺れが収まるまでの間ずっと、転倒防止効果を発揮し続けられるとは限りません。

激しく揺れている最中、転倒防止器具には非常に強い衝撃荷重が繰り返しかかりますから、途中で外れたり、破損したりすることも考えられますから、できる限り多重化することをお勧めします。フェイルセイフ(予防安全)の発想です。すべての家具類にそのような対策ができれば理想的なのですが、優先順位としては、まず人一番無防備な状態におかれる寝室と、子供の安全のために子供部屋から始めましょう。次に居間、その次に台所または応接間という順番でしょうか。

では、どのような組み合わせが効果的なのでしょうか。前回記事で述べた器具のうち「突っ張り棒」は、管理人の考えでは、揺れによって一番外れやすいものだと思います。特に床が畳やカーペットの場合、どうしても家具に建物と異なる揺れがある程度は発生しますし、前述のように、建物の条件によっては理想的な突っ張り力がかけられない場合も多いからです。

その場合のバックアップとしては、「アンカーベルト」のように、家具が転倒につながる動き(前回記事の「1」の動き)を強制的に押さえるものが良いでしょう。
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他に「アンカーベルト」と同等の効果が期待できるものとして、「粘着式アンカー」(下写真。商品名「ガムロック」など)が、設置も簡単で、家具にボルト穴を開ける必要もありません。
Jpg
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コスト的には「アンカーベルト」の数倍となってしまいますが、その効果と手軽さを考えると、お勧めと言えます。

食器棚などの上下二段式の家具の場合は、上下段を結合する器具をつけていないと、いかなる転倒防止器具でもその効果は半減してしまいます。必ず上下段を固定する器具を併用してください。なお、「アンカーベルト」は金属性のチェーンよりも、ナイロン製ベルトの方が微妙な長さの調節がしやすく、衝撃吸収効果もある程度期待できますので、管理人としてはナイロンベルトをお勧めしたいと思います。

一方、「突っ張り棒」と併用してはいけないものは「転倒防止クサビ」です。これは家具を少し傾けて、後ろの壁によりかからせるものですから、「突っ張り棒」の効果を減殺してしまいます。「突っ張り棒」は、垂直方向に力がかかっているときに最大の効果を発揮するからです。さらに、家具が傾いていると器具や天井板にかかる力が不均一になり、器具の外れや破損、天井板の破損にもつながりやすくなります。
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「転倒防止クサビ」と併用すべきなのは、「アンカーベルト」や「粘着式アンカー」です。設置のポイントは、まずクサビを設置し、その角度に合わせてアンカーを設置することです。家具が少し傾いて重心が壁側に寄っていることで、揺れによってアンカーにかかる力をかなり小さくできます。クサビ単独の場合、家具は転倒しずらいものの、揺れ自体はかなり発生します。そこでアンカーと併用することで揺れを最初から押さえてしまい、その効果をアップさせるわけです。
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なお「転倒防止クサビ」の使用は、一体型の家具に限ります。上下二段式の家具の場合は、クサビ単独ではほとんど効果がありません。上段だけ倒れてきます。他の器具と併用したり、上下段の固定器具をつけている場合でも、固定器具の部分に非常に大きな力がかかりますから、激しい揺れで固定部分が破損し、転倒する可能性があります。

このように、その特性に見合った器具を組み合わせることにより、ひとつが破損した場合のバックアップ効果だけでなく、機能の相互補完によって、その性能は何倍にも高まるのです。

一応、ここでは高層ビルの大きく長い揺れに対応するための方法として紹介していますが、その他のいかなる場合でも、もちろん有効な方法です。どこでも可能な限り「安全の多重化」を進めることで、精神的にも余裕が生まれてくると思います。平常時には、それが一番大きな意味があることではないでしょうか。

また、当ブログではとにかく「生き残る」ことを主眼において考えていますが、例え家に不在の時でも、家具が倒れないということは、家財を傷つけたり失ったりすることもなければ、後片付けもいらないということです。それが、多少の出費と手間で実現できるのです。

次回は、その他のケースや器具について考えます。


■このシリーズは、カテゴリ【地震・津波対策】です。

2013年11月23日 (土)

☆再掲載☆高層ビル編10【首都圏直下型地震を生き残れ!36/54】

■当記事は過去記事の再掲載です。

今回は、前回(高層ビル編09)で解説した家具の動きを、効果的に押さえる対策を考えます。

でもその前に、ちょっと補足を。前回の解説と実験動画の倒れ方が違うじゃないか、というご指摘があるかもしれません。それはあの実験で加えた揺れが、高層ビルに「長周期地震動」が加わった状態を再現しているからです。地上よりはるかに振幅が大きく、ゆっくりした揺れであり、そんな揺れは、短周期の揺れよりも、家具を倒したり移動させたりする力がはるかに大きいのです。

逆説的な言い方ですが、それだけ高層ビルにおける「長周期地震動」は、危険が大きいということでもあります。前回記事で解説した転倒メカニズムは、どちらかというと「短周期地震動」で顕著になります。1995年の阪神・淡路大震災で起きた、ピアノが倒れたり「吹っ飛ばされた」という事例は、ほぼすべてが背後に壁があったが故なのです。

しかし、揺れの周期に関わらず、家具の転倒対策の方法に違いがあるわけではありません。転倒の仕方は共通しているからです。ただ、高層ビルの場合は、揺れの特徴と長い持続時間のために、特に「多重化」が望ましいということになります。それを、これから解説します。

さて、ここで前回記事の図を再掲します。
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揺れる家具の図の上辺に緑色の線を入れてありますが、そこがポイントです。家具が転倒する場合、その「支点」は床に接している長辺の部分です。これに対し、上辺は「作用点」であり、「支点」からの距離が一番遠い場所です。すなわち、、てこの原理により、最も小さい力で家具の揺れを押さえられる部分であるわけです。

では、どのような動きを押さえたら良いのでしょうか。それは、図中の「1」。つまり、家具の上辺が最初に壁から離れようとする動きです。すべての家具転倒対策は、この一点に集約されると言っても過言ではありません。力学的に最も小さな力で、転倒につながるいちばん最初の動きを押さえる、これができれば良いわけです。

では、その具体的な方法ですが、その前に、ぜひやっておきたいことがあります。それは「低重心化」。家具の上に物を置かないのは当然として、重い物をなるべく下の方に収納し、上の方を軽くします。つまり、家具をなるべく自己復元力の高い状態、言うなれば「起きあがり小法師」に近づけてやることで、倒れにくくなるわけです。これは、上記「1」の動きで働く力を小さくすることでもありますので、転倒対策の効果もより大きくなります。


家具転倒防止器具として代表的なものは、天井との間に入れる、いわゆる「突っ張り棒」、壁と家具をベルトなどで結着する器具、家具前面の下に挟み込むクサビ状の器具の三種類だと思います。

まず「突っ張り棒」は、家具を天井と床と一体化させる、つまり造り付け家具の状態に近づけるものです。これが効果的に働くための条件は二つ。天井と家具に十分な力がかけられることと、圧力がかかる部分が動かないことです。そのためには、地震動が加わった際に、天井と天板が破損しない強度を持っていることが必要です。加えて、天井と家具天板の距離が近いほど、その効果が増します。

しかしそのような条件を満たせるケースが意外に少ないことは「家の中の地震対策」シリーズで述べ、その対策も述べましたので参照してみてください。
■家の中の地震対策【7】はこちらから
注意しなければならないのは、この器具が効果を発揮するためには、「一体型」の家具でならないということ。食器棚や書類キャビネットによくある、上段と下段を積み重ねたタイプの場合は、上下段の異なる揺れが発生するによって器具が外れることがありますから、上下段が固定されていることが前提です。そのための器具もいろいろ市販されています。

次に、家具の上部と壁をベルトやチェーンなどで結着するアンカーベルトです。これの問題点も「家の中の地震対策シリーズ」で述べています。(上記リンクの記事内にあります)それらの問題をクリアできれば、かなり効果的に家具の転倒を防ぎます。家具が上図「1」の動きをするのを、最初の段階で止めてくれるわけです。この器具も、家具の上下段が固定されていないと、十分な効果を発揮しません。下段だけが外れて倒れる可能性もあります。

最後は、家具前面底部に挟み込む、クサビ状の器具です。これは家具の前を7~10ミリほど持ち上げて家具を後ろの壁に「寄りかからせる」ことで、上図「1」の動きと逆の力を働かせるものです。わずかな重心の移動ですが、底部から一番距離のある家具上部では、てこの原理によってその何十倍もの距離を移動しなければ、転倒するほどの重心の移動が起きないわけで、イメージ以上の効果を発揮するものです。最も安価で、簡単に設置できるのも魅力です。

この器具の問題点は、床が畳やカーペットなど固くない場合は効果が減殺されるということ、激しい揺れの最中に器具がずれてしまう可能性があることと、器具の性能を超える揺れなどの条件が加わった場合には、なすすべが無いということです。

このように、どんな器具でも一長一短があるわけですが、間違いなく言えるのは、どれも家具が転倒するまでの「時間稼ぎ」の効果は、確実にあるということです。

さらに、複数の器具を組み合わせることで、転倒防止効果を何倍にも高めることができるのです。次回は、効果的な器具の組み合わせと、その他の方法について考えます。


■このシリーズは、カテゴリ【地震・津波対策】です。

2013年11月12日 (火)

☆再掲載☆高層ビル編09【首都圏直下型地震を生き残れ!35/54】

■当記事は過去記事の再掲載です■


今回は「家具はなぜ倒れるか?」について考えます。もちろん、これはあらゆる場面に共通する問題ですが、高層ビルの大きな揺れに対抗する場合に、特に重要になりますので、このテーマ内で述べることにします。

地震の際に、家具はどのように倒れるのでしょうか。まずそこから行きましょう。実は、これは地震で建物が破壊されるメカニズムと、基本的には同じ理由なのです。そこには建物と家具の「固有振動周期」が関係しています。地震による建物の揺れと、それによる家具の揺れの周期が異なるために、家具は安定を失って倒れるのです。

では、家具がどのような過程で安定を失うかを解説します。まず最初の動きが、下図の1の状態。地震の揺れで、家具の上部が、「慣性力」によって壁から離れる動きをします。揺れが最初からとても強ければ、このまま一気に転倒することもあります。脚払いを受けたような状態です。なお、下図はわかりやすくするために、家具と壁の間隔を誇張しています。
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しかし多くの場合、次の段階があります。一旦バランスを取り戻そうとして壁の方向に戻った家具は、慣性力によって、つまり勢い余って壁側に傾き、壁に接触します。上図の2の状態です。家具と壁の間に隙間があれば家具の上部が、完全にぴったりくっついている場合は、全体が壁に押しつけられます。

このとき家具の動きと壁、すなわち建物の動きが全く同期していれば、同時に壁が後ろに「退がる」ことで慣性力を吸収し、一旦は安定状態に戻ります。しかし建物と家具の振動周期は異なりますから、壁と家具は衝突し、家具に押し戻す、あるいは弾き飛ばすような反発力を加えます。その反発力によって、今度は反対側、つまり部屋側にさらに大きく傾くか、転倒します。

そこで転倒しなかった場合、家具は再びさらに大きな速度で壁側に傾き、壁と衝突します。速度が大きいということは運動エネルギーが大きいということですから、壁に加わる衝撃力も大きくなり、その分大きな反発力で跳ね返されます。このような動きを繰り返すことで、家具の揺れ幅はどんどん大きくなり、最後には転倒して3の状態になります。これは理科で勉強した「慣性の法則」と「作用と反作用」の連鎖なのです。

家具の背後に壁が無い場合には、家具と床の揺れの周期が異なることで、家具の揺れが増幅されて転倒します。ですが背後に壁があることで、より早い段階で、より重量のある家具でも転倒しやすくなるわけです。阪神・淡路大震災のような強い地震では、数百kgの重量があるアップライトピアノでさえ、このような動きの連鎖よって転倒してしまいます。特に高層ビルにおいては、低層建物より振幅の大きな揺れがより長時間続きますから、対策はより厳重にしなければならないわけです。

このメカニズムをご理解いただいた上で、前掲の実験動画をもう一度、家具の動きに注意してご覧いただければと思います。

家具の転倒を防ぐ最も効果的な方法は、家具の「固定」です。しかし本当に固定と呼べるものは、造り付けの家具だけです。ごくわずかの隙間があれば、つまり家具を手で押してわずかでも動けば、その動きが地震によって増幅されます。

家具の転倒対策とは、すなわちこの動きを防ぐこと、言い換えれば「建物と家具の振動周期を強制的に同期させる」、もっと平たく言えば、「家具と建物を一緒に揺らす」ということなのです。

そのための効果的な方法は、次回へ続きます。

■このシリーズは、カテゴリ【地震・津波対策】です。

2013年11月 7日 (木)

☆再掲載☆高層ビル編08【首都圏直下型地震を生き残れ!34/54】

■当記事は、過去記事の再掲載です■


今回は、特に高層ビルで想定される地震被害に対応するための、具体的な対策を考えます。

ここまで述べて来たように、超高層を含む高層ビルの中層階以上では、地震の揺れが増幅されたり、独特の揺れが発生することで、低層建物に比べて室内の被害が大きくなる傾向があります。このため「安全の多重化」が、低層建物に比べてより重要度を増すのです。

まずオフィスですが、とにかくキャビネット類の転倒防止とデスク、コピー機などの移動防止、そしてガラスの飛散対策、これに尽きます。しかし、会社ぐるみで対策を進められない場合も多いのが実情です。ならば、個人の行動でリスクを減らすことを考えましょう。一般に、オフィスには住居に比べて空きスペースが多く、応接・商談スペースなどあまり物がない場所もありますし、頑丈なデスクもあります。オフィスが狭いなら狭いで、整然とした配置ゆえの、生存空間が確保できる場所も見つけやすいはずです。そこでの考え方と行動は、当シリーズ「首都圏直下型地震を生き残れ!」の【4】~【7】、「オフィス編」で述べましたので参照してみてください。
◎首都圏直下型地震を生き残れ!【4】☆オフィス編はこちらから


これに対し、様々な家具類がある一般住居の場合は、オフィスに比べて格段に対策が複雑になります。ですから重要なポイントを押さえ、優先順位を考えて対策することで、最小の手間で最大の効果を発揮させなければなりません。まず管理人が考える最重要ポイントは、前記事で述べた通り、最も無防備な「寝ている時」です。理想的なのは何も無い部屋にベッドや寝床だけがある状態ですが、なかなかそうも行きません。

そこでの考え方は、ベッドや寝床の上から全く動けなかった場合でも、揺れが収まるまで身体の安全を確保しなければならないということです。そこで、倒れる可能性のある家具がある部屋で寝る場合の究極の方法は「耐震ベッド」や「耐震フレーム」の設置です。これはベッドや寝床を強固なフレームで囲んでしまう方法で、家具の直撃など問題にせず、もし建物が倒壊した場合でも、高い確率で生存空間を確保できるものです。様々なタイプがありますので、上記キーワードで検索してみてください。

同じような考え方で、例えば子供部屋のベッドを頑丈な二段ベッドやロフトベッドにすれば、周囲の倒壊物から効果的に防御することができます。その場合、ボルトで組み立てる鉄パイプフレームよりも、太い木製フレームの方が、揺れに対抗する力も周囲からの打撃にも強いと管理人は考えています。

それができなければ、家具の配置が重要です。前掲の実験動画でもわかるとおり、家具は基本的に長手、つまり一番長い辺の方向に倒れます。タンスは、その方向に引き出しが飛び出して来ることもあります。ですから、その方向に倒れても下敷きにならない場所に寝るか、倒れる家具を確実にブロックできる配置にします。その場合に有効なのが、前述の耐震フレームや、頑丈な二段ベッドなどではあります。しかし、二段ベッドやロフトベッドはともかく、耐震フレームの設置はあまり現実的でないかもしれません。

そうなると、最も必要なのが家具の固定ということになります。でもそれ以前に、家具の上に物を置かない、というのが鉄則です。タンスの上に衣装ケースがあったり、ガラスの人形ケースがあったりしませんか?これなどどちらの方向に飛ぶかもわかりませんし、家具固定用の「突っ張り棒」や壁にボルトを植え込んで固定するアンカーベルトを使っている場合は、それに激しく衝突して吹っ飛ばしたり、ボルトを引き抜いてしまうかもしれません。

ひとつの方法として、服などを入れた段ボール箱を、家具と天井との隙間に詰めるという方法も紹介されていますが、これが効果を発揮するためには、段ボール箱がほとんど変形しないくらいにものが詰め込まれていること、家具と天井の隙間が1センチの違いも無くぴったりのサイズであること、天井板が衝撃で外れない構造であることの三条件が揃っていることが必要です。

もし揺れで段ボールがずれたりすれば、物が詰まった重い箱は、あっと言うまに凶器に早変わりしてしまいます。段ボール箱と天井の間に詰め物をするという方法も考えられますが、揺れによって力が加わる面が増えるということは、それだけ「ずれる」部分を増やし、揺れに対する脆弱性を増すことになりますから、それも含めて管理人としてはあまりお勧めしたくない方法です。

では、家具の具体的な固定方法はということになりますが、効果的な転倒防止対策のためには、その前に「家具はなぜ倒れるか」について知っておく必要がありますので、次回はその点について考えます。


■このシリーズは、カテゴリ【地震・津波対策】です。

2013年11月 4日 (月)

☆再掲載☆高層ビル編07【首都圏直下型地震を生き残れ!33/54】

■当記事は過去記事の再掲載です■


今回は、高層ビルでの地震対策における「考え方」ですが、特に後半部は、高層ビルに限らないすべての災害対策に共通するものですので、どたなもお読みいただれればと思います。

前回記事のyoutube動画、ご覧いただけたでしょうか。ご覧いただけない方がありましたら、ごめんなさい。高層ビルの中層階以上で強い地震波を受けると、あのような状態になる可能性が高いのです。

イメージとしては、家具類が動くというより、物体は慣性の法則で静止しつづけようとしているのに、床の方が激しく動くので、仕方なく床の上を滑ったり転がったりしてしまう、という感じです。特にオフィスのキャスターつきコピー機の動きがすさまじいですね。あの動きは、揺れの速度と揺れ幅そのものと言っても良いでしょう。あのような場合の対策として、どなたもまず「家具類の移動・転倒防止」を考えられたと思います。もちろんそれは正解ですが、果たしてそれだけで良いのでしょうか。

家具類の移動・転倒防止方法としては、チェーンやベルトで壁と結着する、脚の下に防滑パッドを入れる、天井との間に突っ張り棒を入れる、床との間にくさび状の器具をはさみ、壁によりかからせる、ジェル状の防震パッドを入れるなどの方法があるのはほとんどの方がご存じでしょうし、当ブログでも過去に「家の中の地震対策」シリーズで紹介しています。

ただし、当ブログではその問題点も指摘して来ました。一戸建てでも集合住宅でも、そして特にオフィスでは、それらの器具の能力を最大限に生かせる環境は、意外に少ないのです。つまりそれらの対策をしても、ある程度の時間は持ちこたえても、最終的には揺れに「負けて」しまう可能性が高いと思われます。さらに問題がもうひとつ。あの実験動画は、高層ビルにおける大地震のシミュレーションとして最もリアルなのは間違い無いのですが、現実と異なる可能性がひとつだけあります。それは揺れの持続時間。

実験では、強い揺れがせいぜい数十秒程度で収束していますが、強く長い「長周期地震動」が発生し、ビルが共振現象を起こした場合など、あのような揺れが数分間にわたって続くこともあり得ます。その間、すべての移動・転倒防止対策が完全に機能しつづけるとは、あまり思えません。どこかに破綻が生じる可能性が高いと思われます。

また、内陸直下型地震のような「短周期地震動」が加わった場合、中層階では「二次モード振動」の発生により、さらに速く、周期の短い強い揺れに襲われることもあります。東日本大震災で、壁の破損などの被害を受けた高層マンション中層階居住者の証言では、「ぐるぐる回るように、振り回されるような揺れだった」というものがあります。「二次モード振動」が発生した場合、ビルが身をくねらせるように揺れますから、ビルの構造など様々な条件により、一定方向の揺れではなくなることもあるのです。

これらのことを考えると、家具類をとりあえず「固定」すれば安心、とは言えないのはおわかりいただけるでしょう。
では、どうするか。まず最初に考えなければいけないのは、人が無防備な状態をできるだけ無くす、ということです。前出動画のような場合でも、家具がある程度「固定」されていれば、動画のようにすぐに倒れかかって来ることは無いでしょう。でも、もしあの人が「動けなかった」としたら。赤ちゃん、幼児、お年寄りや病人はもちろん、酔っていたり、第一撃で怪我をしてしまったり、気を失ってしまったりしていたら。そうでなくても、気が動転して動けなくなることは、十分に考えられます。

人が一番無防備な状態は、寝ている時ですから、まず最初に、寝室や寝床周りの危険を「取り除く」ことが必要です。できれば、危険なものが周囲に無いのが理想ですが、様々な事情でそう簡単なことではないでしょう。しかしまずは「防災の断捨離」をするという考えで、家の中を見直してください。「生き残る」ためには、思い切りも必要です。危険なものをできるだけ取り除いたら、その次に、残ったものの危険を減らすのです。そこで重要なのが「予防安全」(フェイルセイフ)の考え方です。

旅客機の操縦系統は三重、四重になっているのが普通ですが、これはどれかが故障しても、常に代わりの系統で操縦が続けられるようにするという、「予防安全」の典型的な事例です。このように、「あれがダメならこれ、それもダメならその次」というふうに、「安全の多重系」を構築するのです。特に高層ビルにおいては、揺れが長時間続くことが考えられますから、危険の「第二波、第三波」への対策が重要です。

そしてその中に、「ヒューマンエラー」の可能性も織り込まなければなりません。これは、人間が「その場で期待される行動をしない、あるいはできない」ケースを想定するということです。例えば、赤ちゃんが寝室で寝ている時に大地震が来たら、台所にいるお母さんは真っ先に赤ちゃんを助けに行くのが当然だから、その間だけ家具が倒れなければ良い、という前提ではいけないということです。

これはエラー、つまりミスでは無いのですが、何らかの事情で望まれる行動ができないことを想定するのです。この場合には、揺れが収まるまで赤ちゃんに危害が及ばない状態を作っておかなければならないということになります。平常時でも人間はとんでもないミスをするものです。ましてや緊急時に冷静な行動ができる人など、そうはいないのです。あなたも、もちろん管理人とて例外ではありません。その前提で、対策を考えていかなければなりません。

では、その考え方を具体的にどう生かしていくかについては、次回へ続きます。


■このシリーズは、カテゴリ【地震・津波対策】です。

2013年11月 1日 (金)

☆再掲載☆高層ビル編06【首都圏直下型地震を生き残れ!32/54】

■当記事は過去記事の再掲載です■


それでは今回から、高層ビルにおける地震対策の実際について考えます。とはいえ、特に新しい話が出てくるわけでもありません。あくまで、既存の手段をより効果的に組み合わせるということになります。

まずは、改めて高層ビルでの危険や障害をまとめてみましょう。
■多くの場合で、低層建物よりも揺れが大きくなる。
■「長周期地震動」が発生した場合、特に上層階では振幅の大きな揺れが長時間続く。
■直下型地震などの「短周期地震動」の場合は、中層階の揺れがひどくなることもあり、建物構造が損傷を受けることもある。

以上が地震の揺れに関する特徴です。次に避難行動などの障害ですが、
■地上への脱出に時間がかかる。
■周辺部での大火災や、下層階で火災が発生した場合、逃げ遅れやすい。
■停電、断水下で物資を上層階へ運ぶのが困難。
以上のようなことが考えられます。

なお、高層ビルのオフィスにおける災害対策は、当シリーズの「オフィスで生き残れ」編の内容とほどんと共通となりますので、ここでは主に高層、超高層ビルの住居における対策について考えます。

では、高層ビルに「長周期地震動」が加わると未対策の室内はどうなるか、防災科学技術研究所の実大三次元震動破壊実験施設(Eディフェンス)による実験の映像をご覧いただくのが一番かと思いますので、youtube映像をリンクさせていただきました。
■youtube実験映像はこちらから

リンク先映像の実験では最大の震動を加えているのではないと思われ、オフィスのデスクやリビングのソファなどが動いてはいませんが、さらに大きな揺れになった場合は、それらが床の上を高速で動き回ることも考えられます。少なくとも、キャスター付きのものはすぐに高速で動き出し、固定していない家具類は揺れの初期で一気に倒れることがわかります。

高層ビルに「長周期地震動」が加わった場合、条件によってはこのような揺れが3分以上続くことになるのです。物だけでなく、人はどうするべきか。それも考えてみてください。家具や重量物の動きからも想像できるように、揺れが最も大きい時には、立っているのはもちろん、四つん這いになるのも困難な状態になります。

■このシリーズは、カテゴリ【地震・津波対策】です。

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