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日記・コラム

2017年7月17日 (月)

【ありがとう!】もうすぐ150万PV(#1333)

150
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2012年1月に第1号記事をお送りして以来約5年と半年、お送りした記事は、当記事で1333本目。

そして間もなく、通算PVが150万PVの大台に乗ります。これまでの、皆様のご愛読に感謝します。

当ブログのような、エンタメ性が皆無のブログがこれだけ閲覧していただけていることに、管理人は無上の喜びを感じております。

幸か不幸か、こういうブログは他にほとんどありませんよね。防災関係ブログは数多けれど、こんなに変態的でマニアックな奴はw


発信しつづけたい


当ブログは、世間の防災情報があまりにも大ウソや“本当は役に立たない”トリビアだらけなのを危惧して、“本当に役に立つ”防災情報をお知らせすべくスタートしました。

約5年半やって、直接的ではないにしろ、多少は“本当に役に立つこと”を広められたのではないか、そう感じています。そして、専門家や学者でもロクでもない奴がこんなにいる、ということも、かなり知らしめられたのではないでしょうか。

でもこの世界、まだまだいい加減な奴、能力の低い奴が、肩書や立場を利用して適当なこと言ってはメシのタネにしていますから。

そういうことをゴリゴリとほじくりつつ、これからも“本当に役に立つ”防災情報をお伝えして行きたい、そう考えています。

以前ほど頻繁に更新できなくなってはおりますが、今後ともお付き合いの程、よろしくお願い致します。


なんかやろうかな


150万PV記念企画的なもの、何か考えてはいるのですが、なんも浮かびませんw

もし何か思いついたら、やるかもしれません。←誰も期待してないってw

なにしろ、今後とも生き残れ。Annexを、よろしくお願い致します。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

【調布墜落事故】この報道の意図とは?(#1332)

過日、読売新聞ネット版にこんな記事が掲載されました。ちょっと長くなりますが、全文を引用させていただきます(下記太字部分)

【調布墜落機は速度不足…機首上げ過ぎも重なる】


2017年07月05日 08時55分 読売新聞
 東京都調布市で2015年7月、5人が乗った小型プロペラ機が墜落した事故について、運輸安全委員会が、機体の速度が通常より遅かったことや、機首が上がりすぎていたことなどが重なり、墜落した可能性があるとの調査報告書をまとめたことがわかった。近く報告書を公表する。

 事故は同年7月26日午前11時頃に発生。小型機が調布飛行場を離陸直後、同市内の住宅に墜落、炎上し、機長ら男性2人と、全焼した住宅に住む女性1人の計3人が死亡したほか、同乗の3人と住民2人の計5人が重軽傷を負った。

 関係者によると、同委員会は、現場周辺で撮影されていた事故直前の機体の映像など、様々なデータを分析。その結果、〈1〉通常より速度が遅い状態だった〈2〉過度な機首上げの状態だった――などの可能性が浮上したという。同委員会では、こうした要因が複合的に重なり、墜落した可能性が高いと結論づけた模様だ。


だからなんだという話?


管理人はかなりの航空機ヲタで、特に航空機事故には強いこだわりを持っており、航空機事故関連の記事もかなりアップしております。

2015年7月に東京の調布飛行場で発生したこの事故に関しても、下記リンクの関連記事をアップしております。コメント欄では、コメントを頂戴したプロの方々と、原因についてかなり専門的な、マニアックなやり取りもしておりますので、興味のある方はご覧ください。

東京・調布で小型機が住宅街に墜落(#1036)
【調布墜落事故】おかしな専門家が現れた(#1037)
【調布墜落事故】当ブログとしてのまとめ(#1038)

ところで、上記の記事はあくまで伝聞形式で、関係者からの情報を元に書かれたようです。報告書はまだ(2017年7月16日時点)公表されておらず、運輸安全委員会のウェブサイトでも、『調査中の案件』とされています。

記事には『近く報告書を公表する』とあるので、その内容が関係者から事前リークされた、ということなのでしょうが、肝心の事故原因については、全く言及されていません。記事では、事故原因として

機体の速度が通常より遅かったことや、機首が上がりすぎていたことなどが重なり、墜落した可能性がある

とされていますが、問題はなぜそうなったのか?ということなのです。


一体なぜ?


事故機に関しては、離陸滑走中や離陸直後の映像が残っています。

それを見た管理人の印象は、少なくとも離陸直後は「遅い、低い、エンジン音がおかしい」というものでした。埼玉県の桶川飛行場で軽飛行機の離着陸をたくさん見てきた管理人はそう感じ、それは現地で事故機の離陸を実際に見た人の印象とも重なるものでした。

ただ、事故機の映像という先入観を持って見たために、「きっと異常があるに違いない」という先入観に影響されていることも否めず、それは現場からの証言も一緒です。それでも、映像を何度見返しても、やはり普通の離陸とは違う、という印象は拭えません。

しかし、離陸滑走中の映像では、離陸距離も速度も、特に異常は認められなかったのです。となれば、浮揚直前または直後に何かトラブルが発生した、と考えるのが普通です。

なお、事故機は満席の5人搭乗で、理由は不明ながら飛行に必要な量よりはるかに大量の燃料を搭載していてかなり重かったこと、事故当日は非常に暑く、エンジン出力が上がりにくい状況であったこともわかっていますが、あくまで飛行可能な許容範囲内であり、それが直接的に事故に繋がる原因ではない、ということは明らかになっています。

その機体が、異常な低速で機首上げ角度が大きすぎるという状態に陥るには、それなりの理由が必要です。大まかに分ければ、エンジントラブルかパイロットミス、ということです。しかし、それについては、少なくとも報道では一切触れられていません。


何か隠されているのか?


とりあえず正式な報告書の発表を待ちたいとは思いますが、伝聞による報道でも、あまりにも意味が無い報道内容です。

上記リンクの過去記事コメント欄では、プロパイロットの方のご意見として、『離陸後に破裂音が聞こえた』という証言から、エンジンの異常燃焼(デトネーション)が発生し、エンジンが損傷して出力が急激に落ちたのではないか、というご意見を頂戴しました。これは、明らかになっている状況すべてと整合性のあるもので、管理人としてもその説を支持しています。

とにかく、パイロットが離陸直前または直後に全開状態のエンジンを絞るなどどいう異常な行動を取らない限り、離陸直後に飛行が維持できないほどの低速になることの説明にはなっていないのです。

残された映像からは、事故機は上昇どころか水平飛行も維持できず、何度も頭上げ操作(操縦輪を手前に引く)操作を繰り返しながら墜落に至った、ということもわかります。速度が足りなくて頭が下がってしまうのを、なんとか水平を維持しようとしているパイロットの必至の努力が伺われます。

そんな失速直前の状態では、ある意味過度な機首上げに陥ってしまうのは当たり前とも言えます。とにかく、そんな低速状態に陥った理由こそが、この事故の主原因ということに疑いはありません。

そして、それはエンジントラブルによる可能性が最も大きいと、管理人は考えています。

もしエンジンの異常燃焼が原因で、それが大幅な出力低下をもたらしたのならば、エンジン内部には確実にその痕跡が残りますので、エンジンを分解してみればすぐわかります。

事故機のエンジンは、米国の製造メーカーに送って分解調査されているので、それも明らかになっているはずです。

しかし、関係者からと思われるリーク報道には、まるでパイロットが操縦ミスをしたかのような印象さえ受ける、あくまで現象面の原因しか触れられていません。そこに、何か意図はあるのでしょうか。

もちろん、パイロットが何らかのミスをした可能性も捨てきれません。それにしても、記事はあまりに不十分であり、偏向したものに感じます。


まだ追いかけます


なにしろ、近いうちに正式な事故調査報告書が発表されるということなので、それを見てから判断しましょう。

専門の方、お詳しい方に限らず、またこの事故に関してのご意見を頂戴できれば幸いです。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2017年6月27日 (火)

当ブログのスタンス~大切なこととそれほどでもない事~(#1329)

■当記事は、読者の方からのご質問、ご意見にお答えするものです


過日、地震や防災について専門的に研究されている方からのご意見を頂戴しました。

的確なご指摘もあったものの、多少の誤解もあるようですので、当ブログの主旨と管理人のスタンスについて、改めて説明させていただくために、記事にいたします。


そんなことありません


まず、当ブログが自助に重きを置きすぎているのではないか?もっと『共助』を重視すべきではないか?というご指摘です。

この点については、端的にお答えできます。当ブログや管理人は、決して『共助』を軽視しているわけではありません。

要は『自助』を前提としない『共助』はあり得ないという考え方です。

『共助』については、阪神・淡路大震災では生き埋めになった生存者の8割が近隣住民によって救出された、という例がよく引かれて、『共助』の大切さが説かれます。

しかし、それは我が国に限ったことではなく、多少の考え方の違いこそあれ、大抵の国や地域の被災地でも行われていることです。

ある意味で、当たり前のことなのです。

逆に、ならば近隣住民の大半が救助活動に最大の力を注いだかというと、決してそうとは言えない。自分たちのことを優先せざるを得ない状況もあったでしょうし、「自分は大したことはできない」とか、中には「面倒に関わりたくない」と、参加しなかった人も確実にいます。

これが、生命に直接関わる緊急の救助活動ではなく、例えば食品などの備蓄になれば、自分たちの分の備蓄を削ってまで他に与える人の比率は、さらに下がるでしょう。

被災地からは、少ない食料を分けあって飢えを凌いだというような”美談”が伝わって来ますが、果たしてあらゆるケースでそうだったのでしょうか。

ましてや、システムとしての『共助』体制があるケースや、同じ地域、学校や職場などの集団ではなく、たまたまそこに居合わせた人の雑多な集団、例えば駅の群衆だったら、大半の人が自分の取り分を削ってまで他にも与えるかというと、大いに疑問です。

もちろん、そういう人も少なくないでしょう。でもその場合”持てる人”にばかり負担が集中し、せっかくの『自助』が破綻します。

「困った時はお互い様」というのは全くその通りなのですが、それはある程度の余裕が前提と考えなければなりません。

ですから、管理人の考え方は、基本的に『共助』はオプションであり、まずは周囲からの支援を受けられない前提での『自助』態勢を作らなければならない、ということなのです。

少なくとも”持てる人”が他に施すのが当然、なにも備えていなくも、近所に助けてもらえて当然、という考え方はしていませんし、もちろん勧めません。

集団内で、お互いが労力や『自助』の備蓄を持ち寄って効果的に配分するというのが『共助』の理想的な形であり、そのためにはまず『自助』の充実が必要、ということです。

近所付き合いが希薄な都市部においても、ある意味で楽観的です。なぜなら、普段あまり付き合いがなくても、実際の災害時には多くの人が近隣の支援をするはずだからです。

やらない人はやらないでしょう。でも、大災害という異常事態下では、自分のコミュニティ、場合によってはたまたまそこに居合わせた集団にさえ、間違いなく帰属意識が高まるからです。力を合わせてこの危機を乗り切ろうと。

ですから、決して人付き合いの希薄さを悲観して目を閉ざしているわけではありません。ただ、やれることをやらないで他人に期待するな、ということです。


あくまで現実に即して


次に、専門的なご指摘についてです。大前提として管理人は専門家ではなく、学術的見地からの誤りはかなりあることは認識していますが、問題はそこでは無いと考えます。

まず、免震構造について。アイソレーターとダンパーによる構造は免震ではなく制震構造だとのことですが、学術的にはともかく、一般的には大半が免震と言われています。例えば『制震マンション』という表現は見たことがありません。

また、制震構造の鋼材ダンパーが揺れのエネルギーを吸収するのは弾性範囲内の『変形』ではなく、それを超えた塑性化が前提のご指摘。

ちょっと乱暴に言ってしまえば、弾性限界内でも不可逆的な塑性化でも、少なくとも『変形』はするわけで、一般的な表現としてはそれほど問題無いと考えます。要はダンパーは揺れのエネルギーを吸収する、ということが肝要なわけです。

高層建築物の『2次モード震動』記事についても同様で、建物の構造が『ゆがむ』ことには変わりはなく、構造が塑性化するか、どの程度で破壊に至るかについては、素人としては埒外と考える、というか理解し切れません。


次に、長周期地震動についてのご指摘について。

用語自体がメディアの造語とされていますが、専門家の発表・資料にも頻繁に登場しています。

また、周期1~2秒の揺れは『やや短周期地震動』とのこと。概念は知っておりますが、そのような揺れが発生した阪神・淡路大震災や新潟中越地震などの報道や各種発表・資料においても、『やや短周期地震動』という表記を見たことがありませんし、『免震構造の弱点』記事で引用した研究発表資料の中でも、『周期1~2秒の短周期地震動』という表記が見られます。

また、資料によって極短周期、短周期、やや短周期、長周期地震動の数値が異なっているケースも散見されますので、専門家ならぬ素人としては「どれが正しいんだ?」というところでもあります。

このように、管理人の理解不足の部分も否定できませんが、あくまで世間や専門的資料でよく見られる現実的、一般的な表現をしており、大筋においては間違いでは無い、ということもご理解いただければと。


専門家では無いからこそ


このような答えでは、専門家のお立場からは不満というか、いい加減なこと言うなとお感じかもしれません。

しかし、敢えて乱暴に言いますと、素人にはそんな細かい違いは、大筋において間違いでなければ、それほど問題ではないのです。

管理人は市井のいち防災研究者に過ぎず、地震学や構造学の素養もなく、あくまで各種資料を読み込んだ上で、そのエッセンスを理解しているレベルの”ちょっと詳しい素人”に過ぎません。

そんな管理人の、ひいては当ブログの役割として考えているのは、小難しい専門的理論を、誰もが自分の身を守るために使える情報へと変換するトランスレイター(翻訳者)としての存在です。

しかも商業的意志や立場などに影響されない、ボランタリーの立場でです。

手前味噌ながら、世間にそういう人、少ないですよね。メディアに出る人はみんな銭儲けやしがらみだらけで、ブログなどは閲覧数稼ぎで、いい加減なことを言う奴の多いこと。

まあ、正義の味方を気取るつもりもありませんが、持ち出しでこういうことをやるバカがひとりくらいいてもいいんじゃないかな、そのくらいの気持ちでやってます。

今後へのご提案もいただきましたが、ビッグデータ活用などは素人の手に余るものであり、それは専門家にお任せします。

管理人と当ブログは、あくまで専門家の研究成果を拝見してかみ砕き、平易な形で多くの方にお伝えすること。それを旨として参ります。

最後に、ひとつお願いです。

専門的研究をされているお立場として、管理人のような素人ではなく、専門家の肩書きで無根拠の話や大ウソをバラ撒く連中に対して、専門的見地から批判の声を上げていただければと。

ああいう連中は、それこそ『専門家のツラ汚し』ではないですか?

■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2017年5月22日 (月)

【リクエスト編】ガチな訓練やりゃいいってものじゃない(#1326)

■当記事は、読者の方からのリクエストにお応えしてお送りします。


避難訓練や帰宅困難対応訓練を、自主的に行いたいとお考えの方も、少なくないと思います。

でも、いざ実際にやろうとすると、なかなかハードルが高いものです。


楽しくなけりゃやってらんない


例えば、職場や学校から自宅まで、交通機関が途絶した状況を想定した帰宅困難対応訓練。

普段歩いたことが無い長距離を、水、食料やトイレが制限される状況で、しかも夜間や悪天候の中を歩き通すという現実に即した形でやろうとすると、これはもう大変です。

ましてやヘルメットにリュック姿で普段の街を歩くなど、集団での訓練ならまだしも、個人や家族単位でやろうとすると、周囲の視線も気になるし、特に夜間には様々な危険も想定されます。

何より、長い距離をひたすら歩くなど、苦行以外の何物でもありません。とにかく、楽しくない。

敢えてリアルなシミュレーション訓練に同意してくれるメンバーがいれば良いのですが、普通はご家族などの同意を得るのも難しいかと。

管理人としては、そんなことはやる必要無いと考えます。管理人自身も、そういう訓練はやったことがありません。


段階を踏みましょう


そこで、管理人からの提案です。どんなことでも、いきなりリアルな状況に放り込まれては、戸惑いと苦しみだけが先に立ってしまうでしょう。

例えば、必ず何キロかを歩き通さなければならない、水、食事、トイレは制限される、歩きやすい靴や服装とは限らない、と最初から決めてしまうような。

いや、そこまでやらなくてもいいんです。もしやるにしても、いろいろ”逃げ道”を作っておくのです。

その第一段階として、まずみんなで『図上演習』を行ってみましょう。

具体的には、移動すべき経路を地図(できれば帰宅困難支援マップが良いでしょう)で確認ながら、なになに通りを歩くのか、どれくらいの距離があるか、周辺の街はどのような様子か、橋、繁華街や住宅密集地など災害時に通行困難になる可能性がある場所はあるか、その場合の迂回経路はあるか、迂回距離はどれくらいなのか、避難場所や帰宅困難支援施設はあるかなどを調べながら、ポイントを書き出して行きます。

ご家族などでワイワイと、みんなで意見を出しながらやると良いでしょう。まずその段階で、「災害で交通機関が止まったらこんなに大変なんだ」というイメージを共有できます。

この『図上演習』で、イザという時どう動けば良いかというイメージを作っておくだけでも、”本番”での不安を抑えて正しい行動をするために、大きな効果があるのです。


ユルユルとやりましょう


さて、そこで「実際に歩いてみるか」と提案しても、「えーっ」となることが多いかと。そんな苦行、できればやりたくないですよねw

そこで、まずは”ダウングレード版”から提案されてはいかがでしょうか。

出発点から移動すべき経路の一部、特に繁華街や通行困難想定ポイントなどを中心に、途中で交通機関を使うことを前提に、適当な距離で移動経路を設定するのです。

日常生活では5km歩くことなど滅多にありませんから、とりあえず最初はそれくらいからがよろしいかと。もちろん、やれるところまでやってみる、でもかまいません。

とにかく、絶対に完遂するではなくて、疲れたら切り上げるという前提が大切です。公共交通機関が無い場所ならば、疲れたらタクシー乗っちゃうくらいの前提で。

大切なことは、歩き通す力があるかどうか確認するのではなくて、どれだけ大変なことなのかを体験することなのです。


お楽しみも大切です


せっかく街を歩くのですから、経路のお店や観光ポイントも事前に調べておいて、ちょっと寄ってみても良いでしょう。普段は通らない、通り過ぎているだけの街を歩くと、いろいろ新鮮な発見がありますから、そこは気分で。

なんなら、寄りたい場所へ行くために経路を変えてもいいんです。それはそれで、街の様子や距離感を実感する体験になります。

歩きながら、災害時でもここは安全そうだ、危険になりそうだというようなことを、みんなで話しながら歩きましょう。

お子さんが一緒ならば、「大地震が起きたらここにはどんな危険がある?どうしたらいい?」というようなクイズをするのも楽しいでしょう。

災害時の徒歩移動は、言うなれば『大きな火事がおきた。回り道をして1000ポイントのダメージ』とか『帰宅困難支援施設で水をもらった。5000ポイント回復』というような、リアルロールプレイングゲームなのです。

そして、ミッションが終わったらおいしい食事をしながら、プチ反省会で締めくくりましょう。


どんなスタイルがいい?


街歩きをするのに、ヘルメット姿では恥ずかしいw普通の格好でいいんです。

とりあえず、両手を空けられてバランスが良いリュックが基本ではありますが、あとは歩きやすい靴と快適な服装で。そこで、快適な装備で無かった場合の負担を想像してみるのです。

重い手提げバッグを持って何時間も歩くなど、ぞっとしますよね。ならば、例えばビジネスバッグはリュックにもなるタイプにしようとか、これが夜ならば停電で暗闇だな、ライトは絶対だな、ということも実感できるわけです。

多少気分を出すならば、道中の食事はビスケットやエネルギーバーだけにしてみるとか、なんなら乾パンだけにして、あれがいかに”使えない”非常食品なのかを実感してみてもいいかとw

当ブログでは、非常食品として乾パンは全く推奨しておりません。

もちろん、辛くなったら休んでおいしいもの食べましょう。特に、十分に水分を補給することは絶対です。でも、そうしながらも”それができない状況”を想像しましょう。

辛いですよね。ならば、普段から何を備えておけば良いかも実感できます。そこで初めて、受け売りではない、あなた自身の体験からの知識となるのです。

あと、足のマメ対策として、絆創膏を用意しておきましょう。マメができた足で長距離を歩くのは、事実上不可能です。

できてからの対策だけでなく、マメができやすい場所に先に貼っておいてもいいでしょう。


長距離歩行の知識


長距離を歩くためには、それなりの技術があります。

最も良くないのは、何時間も疲れ切るまで歩いて、長時間休むこと。これは疲労感を何倍にもしてしまい、歩く気力を失わせます。

軍隊の行軍では、55分歩いて5分間小休止、それを3~4回繰り返してから、30分程度の大休止を行うというのが、最も疲労が少ない方法と言われていますが、それはあくまでかなり鍛えた人間の話。

一般人の場合は、30分歩いて5分の小休止でも良いでしょう。なにしろ、一定のリズムで淡々と歩くことが、長距離を歩くためには最も大切なのです。

小休止の間には、靴を脱いで足の裏をマッサージすると、疲労感の軽減に効果があります。また、小休止の間には背負った荷物を下ろすなとも言われます。身体から一度荷重を抜いてしまうと、再び背負った時の疲労感が強くなってしまうのです。

言うまでもなく、靴の種類で疲労は大きく変わってきます。歩行に適したスニーカーやトレッキングシューズなどでも大変だということを体験できれば、出先に平底の革靴やハイヒールだけしか無いという状況が恐ろしくなって来るでしょう。


夜間の訓練とは?


夜間の帰宅困難対応訓練は、果たして必要なのでしょうか。

実のところ、危険や負担が増す割りには、現実的なシミュレーションができるわけでもありません。何しろ、電気が生きていて暗闇ではないというのが最大の違い。

交通事故や犯罪に遭遇する危険も増しますし、繁華街には酔っ払いや得体の知れない人も溢れています。そんな中を、ご家族やお子さん連れで歩くというのは、あまりお勧めできません。

暗闇の中をライトひとつで歩く体験としては、きちんと管理された夜間登山や夜間トレッキングなどのイベントに参加するのも良いでしょう。普段の街では体験できない本当の暗闇の怖さや移動の難しさ、明かりのありがたさを知ることができるでしょう。

災害時は、それが街中で起きるのです。しかも、“人間の危険”がある。東日本大震災後の、計画停電の街を思い出してください。普段の街の姿とは全く違う、暗闇に何が潜んでいるかわからない、ある意味で“魔窟”が現出します。ならば普段から何を備えておいて、どんなことに気をつけて、どんな行動をすれば良いかがわかってきます。

そんなわけで、管理人としては特に夜間の帰宅困難対応訓練を行う必要は無いと考えます。平時の街は災害下とは状況が違いすぎますし、様々なリスクも大きくなるからです。

帰宅困難対応訓練を中心に、管理人の考え方をまとめさせていただきました。

■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


2017年5月 5日 (金)

【管理人ひとりごと】さてこれからどうしようか(#1325)

このところ、記事更新の間隔がのびのびになってしまい、申し訳ありません。

実は管理人、4月から新しい“本業”に就きまして、いまだバタバタの最中です。とりあえず、GW休みでほっと一息という状態です。

もうしばらくすれば、もっと早いペースで更新していけるかと考えております。もう少しお時間を頂戴できれば幸いです。


管理人の新しい仕事も、防災というか危機管理の考え方と行動が非常に重要になる世界ですので、個人的にはこれまで培った知識と技術を縦横に活かしつつ、一方で仕事の現場からフィードバックされるリアルな情報も、当ブログにも活かして参ります。

なにしろアウトドアにいることが非常に多い業種ですので、主に市街地において地震や暴風雨、場合によっては竜巻などの自然災害に遭遇する可能性が高まりますから、それへの備えはより厳重にしております。

そしてもちろん、交通事故を始めとする不慮の事故への対策も、より高いレベルで求められる世界なのです。


ご意見お聞かせください


当ブログがスタートして約5年、記事は1300本を超えました。

これまでの記事で、自然災害への対処方法の基本と考え方は、多くの角度から語りつくしたという気がしています。

もちろん、大切なことはこれからも繰り返し記事にして行きますし、アップデートしなければならない内容もかなり出てきていますから、そのような記事は随時お送りして参ります。

ただ、本来の『防災』における、新しい切り口はあるのか、それはどんなことなのか、これから何を主眼にして書いて行こうかということに関して、ちょっと迷っているのも事実です。

それはモノなのか、技術なのか、心理なのか、情報なのか。

自然災害対策なのか、テロ対策なのか、交通事故対策なのか。


そこで、読者の皆様から「こんな情報が欲しい、こんな話を聞きたい」という忌憚ないご意見を頂戴できればと考えております。過去の記事を切り口を変えてもう一度、またはもっと詳しく、などでも結構です。

ちなみに、エセ予知屋を叩くことは、言われなくてもやりますw


ご意見、ご要望がありましたら、どの記事でも構いませんのでコメント欄か、下記の当ブログ専用メルアド(管理人しか見ません)まで頂戴できれば幸いです。

すべてのご要望にお応えできないかもしれませんが、できるだけ反映させて参ります。

どうぞよろしくお願いいたします。

■■管理人直通メルアド■■
smc-dpl@mbr.nifty.com


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


2017年4月23日 (日)

THE CRISIS OF WAR !?(#1324)

朝鮮半島情勢が、一気に緊迫度を増しています。

真偽は未確認ながら、中国と米国が、北朝鮮に対して過去に無いレベルの圧力をかけているという情報があり、ひとつのヤマ場が4月末だという説もあります。

状況によっては、突然戦闘が発生したりミサイル等の攻撃が行われ、我が国も巻き込まれる可能性が出てきました。

日本政府も、弾道ミサイル攻撃への対処情報を広報するよう各自治体に要請し、既に多くの自治体ウェブサイトに情報が掲載されはじめています。

一気に、戦争の危機が高まっているのです。


これだけは知っておこう


当ブログでは、過去にシリーズ【東京防災ってどうよ】の番外編で、テロや武力攻撃に対処する方法をまとめています。

それらの記事は、『東京防災』の内容ではなく当ブログのオリジナルですので、番外編としています。

この先状況が急変したときにもパニックを起こさないように、最低限の対処法を知っておくべきです。

以下にリンクする3本の記事を、是非ご一読ください。


【東京防災ってどうよ番外編】テロ・武力攻撃解説【1】(#1244)

【東京防災ってどうよ番外編】テロ・武力攻撃解説【2】(#1245)

【東京防災ってどうよ番外編】テロ・武力攻撃解説【3】(#1246)


誰もがあまり緊迫感を持っていないかもしれませんが、朝鮮半島周辺は朝鮮戦争以来の危機にあると言っても過言ではないのです。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2017年4月 4日 (火)

不適格な“ベテラン”がはびこっていないか(#1322)

かなりの憤りを込めて、敢えて書きたいと思います。

8人もが死亡した那須の雪崩事故に関して、非常に杜撰な管理体制が明らかになって来ました。


完全に人災ではないか


正直なところ、管理人もそんなに詳しくニュースを追っているわけではありませんが、現時点での問題点を列挙してみます。

もし事実誤認がありましたら、ご指摘ください。

■大雪で登山訓練を中止した後、一部の教員の独断に近い形でラッセル訓練へ代替された。

■事故斜面は、地元の救助隊によると雪崩の危険が大きく、救助隊でさえ近寄ったことが無い場所とされるが、教員側にそのような認識は全く無かった。

■ラッセル訓練を行う前に、通常は行っている、雪崩の危険性を判断する『弱層テスト』が行われていなかった。

■生徒への事前の講習で、雪崩避難の方法、雪の上層に身体を浮き上がらせる動き、鼻と口を手で覆って呼吸を維持する方法など、雪崩対策の知識は一切与えられていなかった。

■雪崩ビーコンの装備は、最初から全く考慮されていなかった。

■雪崩発生時、引率の教員が「伏せろ!」と言い、それに従った生徒がそのまま巻き込まれた。

これだけでも、いかに杜撰な行動だったかが明らかです。

しかし、管理人はさらに別の問題を指摘したいのです。


エセ“ベテラン”の跋扈?


事故後、『登山のベテラン』とされる責任者は、自らの判断が致命的誤りだったにも関わらず、「絶対安全だと思った」と、何度も強調しました。

しかも、8名もの命が失われたことについては、「反省しなければならない」という、まるでちょっとした失敗のような言辞をしています。

あくまで自分のベテランとしての判断は正当であり、雪崩は“想定外”だった。しかし、その“想定外”を読みきれなかったことは反省するという、どこかで聞いたような言い訳に終始しているのです。

しかし、少なくとも事故に至る準備と行動においては、ベテランとしての知識も判断力も不足していたことを露呈しています。

果たして、責任者や引率者は、本当のベテランだったのでしょうか。


これも老害のひとつか


最近、中高年ライダーの事故が増えています。

そんな長年バイクに乗り続けているか、若い頃に乗っていてリバイバルしたようなライダーはそれなりに経験を積んでおり、ベテランと言われる人種ではあります。

確かに近年のスポーツバイクは高性能化が顕著であり、昔の感覚では手に負えなくなってきているのも一因でしょう。ただパワーが大きいだけでなく、総合性能が高くなって、昔よりずっと簡単に超高速走行ができてしまうので、ちょっとした判断ミスや反応の遅れが大事故に繋がるのです。

なにしろ、あまり“上手くない”ライダーが昔のレーシングマシンよりよハイパワーでスピードが出せるバイクに乗っているのですから、ある意味で事故が増えて当たり前なのです。昔より反応速度なども確実に落ちているのに。

それでも、ツーリングや街乗りが主体でライディング技術や判断力がそれほどでもない層でも、長年乗っていれば”ベテラン”とされ、それなりのステイタスを持つようになる。

いきおい初心者を指導したり、引率したりすることも増えるわけです。


一方で管理人は、最近は小さなバイクしか乗っていないものの30年来のバイク乗りであり、かつてはレースにも盛んに出場しました。仲間にもそのような人が多いのですが、今もビッグバイクに乗っているような人でも、事故を起こすような人は聞いたことがありません。

その大きな理由として、高い技術と判断力を要するモータースポーツまでやった人は、早い話が“自分の限界”を正確に把握しているからでしょう。今この状況でどこまで行けるか、安全マージンはどれくらいあるかを正確に判断できるわけで、だから事故も起こさない。


今回の雪崩事故における責任者の言い訳に、その辺りと似た関係性を感じるのです。

責任者にどんな経験があるかは知りませんが、決定的に欠落していたのは、あの状況の危険を正確に推し量る知識と技術であり、その判断を裏付ける経験値です。

しかし「絶対安全だと思った」と繰り返し主張することが、自分には正当な判断ができる実力が無かったということを証明しているにも関わらず、“ベテラン”としてのプライドは曲げない。

そんな、経験年数は長いけれど、高いレベルまで突き詰めた知識や技術が無い連中がベテラン面して判断を誤る、しかもプライドだけは高くて自分の誤りは認めないというようなこと、世の中のあちこちで、確実に増えているのを感じるのです。

皆さんも、思い当たるフシがあるのではないでしょうか。


平時には大きな問題とならなくても、状況がある“しきい値”を超えた時、判断する人間の実力不足は、致命的な結果となって跳ね返って来ます。

今回のあまりに痛ましい雪崩事故は、管理人としては、そんな“老害”のひとつと考えざるを得ないのです。

もっとも、歳には関係なく、エセ“プロ”だのニセ“専門家”なんてのも山ほどいますけどね。

■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2017年4月 1日 (土)

【エイプリルフールネタ】大変申しわけありませんが(#1321)

本日をもちまして、当ブログを閉鎖させていただきます。

防災に関するウソつきやインチキを叩きすぎたせいか、各方面からの妨害が酷く、これ以上存続させることが困難になりました。

これまでのご愛読に、心より感謝いたします。

またどこかでお目にかかれる日まで、さようなら。


すいませんウソですw

◼️当記事は、カテゴリ【4月バカ】です。

例年はもっと趣向を凝らすのですが、今年は時間が無くてこんな手抜きをやってしまいましたすいませんw

2017年3月30日 (木)

【人気記事の補足】もっと効果的に救援を要請するために(#1320)

当ブログは記事数が1300を超えまして、おかげさまで過去記事もかなり閲覧していただいております。

その中で、特に多くの閲覧をいただいている記事について、少し補足させていただきます。


過去記事閲覧数ナンバーワン


閲覧数ランキングの中で、常にトップに絡んで来るのがこちら。

誰でも送れる救難信号とは?

2012年2月の記事ですが、今でも閲覧数が毎月3位前後と、安定した人気をいただいております。

この記事は、手持ちのもので太陽光を反射して救難信号を発する方法について述べたものですが、実はそれよりもっと簡単な方法があるのです。


あれ、忘れていませんか?


災害で孤立した地域の人々が、地面に大きくSOSなどのサインを描いて救援を求める映像を見ることがあります。下画像は、東日本大震災でのものです。
Sos

もしそこに管理人がいたら、それに加えて必ずもうひとつのサインを作ります。

それは狼煙(のろし)

火を焚いて煙を上げる、古代からずっと受け継がれている長距離識別サインです。それを使わない手はありません。

地面にサインを描いただけでは、航空機からはほとんど直上にまで来なければ見えませんし、高高度からではそれでも見えません。 しかし狼煙が上がっていれば、条件が良ければ数十km先の高空からでも目視できるのです。

下画像は、長野県飯田市のお祭りで上げたられたのろしです。小さなものでも、空からはっきり視認できるのがわかります。
Noroshi

特に災害直後には、煙が上がっている場所には、ほぼ確実に捜索救難機が状況を確認しに来ます。

夜間は煙もサインも見えませんが、大きな火を焚くことで、そこに人がいるか、何かが起こっているということが上空からわかるのです。


パイロットにも便利


そのような場合、ヘリコプターでの救援を求めることが多くなりますが、狼煙はそんな場合にも有効です。

ヘリコプターが飛行場外に着陸する時に、判断すべき要素は3つ。進入経路の障害物、着陸する地面の状態と強度、そして風向きと強さです。

着陸地点の近くから狼煙が上がっていれば、上空から地表付近の風向きと強さが推し量れますので、パイロットの判断の助けにもなります。

ただし、ヘリコプターの接近、着陸時には猛烈なダウンウォッシュ(下降気流)が発生しますので、狼煙はその影響を受けない、着陸地点から十分に離れた場所で焚く必要があります。

着陸地点の近くで火が焚かれていたら、接近したら確実に吹き飛ばしてしまいますから、ヘリコプターは進入できません。


災害時以外にも、例えば山中で遭難して孤立した場合でも、狼煙はとても有効です。 森の中にいる人を上空から目視することは困難ですが、狼煙が上がっていれば一発で見つかります。

これは極論ですが、山中で孤立して捜索、救援が望めない時の最後の手段として言われるのが、これ。

山火事を起こせ

そうすれば、必ず誰かが見つけてやってきます。それで助け出されても後がいろいろ大変でしょうが、死ぬよりはマシ、ということで。

火を起こす道具が無くても、例えば良く晴れた日ならば、メガネのレンズと乾いた枯れ葉で火を起こせます。


狼煙の焚きかた


狼煙は、白煙でも黒煙でもOK。ただ、遠距離からの視認性は、黒煙の方が良いでしょう。

白煙を上げるには、火を大きくした後に生木や緑の木の葉を大量に投入します。 樹木が無い場所では、湿らせたダンボールや木材を入れたりしても良いでしょう。

黒煙は、プラスチックやゴム類を燃やします。破壊された車でもあれば、内装類やタイヤなどを外して燃やすのです。車ごと燃やすのは、燃料タンクが爆発する危険があります。

また、タイヤを燃やす際は、タイヤ本体のみで。ホイールごと燃やす場合には、必ず空気を抜いてからでないと破裂します。

どちらの場合も、常に火を焚いておいて、捜索が期待できる段になったら一気に火を大きくして、生木やプラスチック類を投入して濃い煙を上げるのです。


全く余談ですが


狼煙を上げるような状況では、ヘリコプターでの救援を受けることが多いでしょう。

校庭などにヘリポートのサインである、アルファベットのHを丸で囲んだサインを描いているようなこともありました。 下画像も、東日本大震災のものです。
H


ところでこのHサイン、ヘリポートを表すサインであると同時に、ヘリコプターの進入可能方向を示しているのです。 Hのたて棒2本が向いた方向のどちらか、もしくは両方から進入可能である、という意味になります。

もっとも、パイロットが飛行場以外に描かれたHの字の向きをそのまま信じることはなく、周囲の状況を確認してから降下しますので、実際には適当でも心配はありません。

しかし、特に自衛隊などの大型ヘリコプターは重量があるので、広ければどこでも着陸できるとは限りません。下手をすると、地面にめり込んでしまうのです。

そこで、救難ヘリを運用する組織では、災害の際に臨時ヘリポートになる可能性がある、校庭などの地面強度や障害物などを普段から調査していますので、そこはプロに任せておきましょう。

着陸に適さない場所でも大丈夫。救難ヘリは地面スレスレでホバリングしたり、ホイスト(ワイヤーロープ)で人や物資を吊り下げるなどで、必ず助けてくれるのです。

Photo_2
この画像はTVで生中継された東日本大震災の救難シーンですが、陸上自衛隊の大型ヘリが、着陸するだけの強度がない病院の屋上、しかもちょっと傾けばローターがフェンスに触れてしまう狭い場所で、床面スレスレにホバリングしながら救助している、神業とも言えるシーンです。

このような救難技術においては、我が国は世界最高レベルなのです。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム、災害対策マニュアル】です。


2017年3月29日 (水)

【那須雪崩事故】人災の側面が見え始めた(#1319)

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典型的な表層雪崩の跡が見られる現場


2107年3月27日、栃木県那須町のスキー場で、登山訓練中の高校生グループが雪崩に巻き込まれて8人が死亡、40人がけがをするという、痛ましい事故が起きました。


雪山訓練中の惨事


現場のスキー場は今期の営業を終了しており、しかも事故現場はコース外の林の中で圧雪などの整備は行われていない場所であり、普通の雪山と同じ状態でした。

現場周辺では前日から大雪で、それまでに積もった雪の上に、新雪が20~30cm積もっている状態の中、新雪を踏み分けてルートを作りながら進む『ラッセル』訓練が行われていました。

その隊列を前方から雪崩が襲い、48人が巻き込まれたのです。


雪崩のメカニズム


この雪崩は、いわゆる『表層雪崩』と呼ばれるものです。

積もってから時間が経った雪は、雪自体の重量や気温変化によってある程度押し固められ、その表面は日射で溶かされて、摩擦力が小さくなります。

その上に新雪が大量に積もると、古くて固い雪と柔らかい新雪の境界面がはがれて、新雪だけが滑り落ちやすくなるのです。

新雪に限らず、ある程度積もった雪でも、積もる途中で少し時間が開くなど、途中に摩擦力が小さな層(『弱層』と呼ばれます)があると、その面から上の雪が滑り落ちる『表層雪崩』となることもあります。


これに対し、斜面に積もった雪が全部滑り落ちるのが『全層雪崩』です。

これは、特に春先などで雪解けが始まってから起きやすいもので、その場合には、雪解けの水が雪と地面の間に浸透して、摩擦力が低下することで起きやすくなります。


一般的には、雪解けが始まっている3月末のこの季節には、降雪地では『全層雪崩』の危険が大きくなります。

しかしこの事故の現場では、積もってから時間が経った雪の上に、真冬よりは水分が多くて重い新雪が短時間で大量に積もるという気象条件によって、『表層雪崩』が起きやすい状態になっていたものと思われます。


雪崩に遭ったらどうする?


良く、”雪崩に遭ったら水泳のバタフライのように両腕で雪面を叩く”ようにして、できるだけ雪の表面へ身体を持ち上げろ、と言われたりします。

しかし、それなどほとんど机上の空論であり、実際にそれで助かった例などほとんどありません。もしあるとしたら、ごく小規模の雪崩だったのでしょう。


まず、もし雪崩と距離があったら、雪崩と直角方向に全力で移動して、流域から外れることです。 その際、大声で叫びながら、周囲にも雪崩の危険を知らせるべきです。

そして、雪崩と直角方向に逃げながら、僅かでも高い場所や岩の裏側など、直撃を受けづらい場所を探すのです。雪崩は水の流れと同じように、低い方に流れて行くからです。

最後の段階では、大きな木の幹に裏側から抱きついて身体を保持するだけでも、巻き込まれないための効果が見込めます。


できることはこれだけ


そして、雪崩に巻き込まれることが避けられなくなったら。

そこでできることは、ふたつしかありません。ここに記すのは、雪山のプロによる指導です。

まず、とにかくもがいて、少しでも雪崩の浅い場所へ身体を持ち上げるようにすること。顔だけでも雪面に出せれば理想的ですが、しかし激しい流れに巻き込まれたら、現実にはなかなか難しいのです。

もうひとつは、これだけは絶対にしなければならないことです。

それは、口と鼻を両手で覆って、顔の前にできるだけ空間を作ること。

それにより、雪が鼻や口に詰まって窒息することを防ぎ、顔の前に空気が残る空間を作るのです。運が良ければ、そこに外から空気が流れ込んで来ることもあります。

しかし、雪崩の後には雪が締まるので、実際に雪に埋まると身体はほとんど動かせず、深く埋まれば光も見えず、自分の体制も上下さえもよくわからなくなると言います。

そんな中で、顔の前と周辺の雪に残された僅かな空気が残っているうちに助け出されるかは、運次第。運良くごく浅く埋まった時以外は、自分では何もできないのです。

理屈の上では、そんな時にパニックを起こすと呼吸が荒くなって空気を無駄遣いして、さらに胸腔が広がってさらに苦しくなるので、とにかく冷静に救助を待てとは言われます。

でも、そこで冷静でいられる人、どれだけいるのでしょうか。考えるだけで、怖ろしいことです。

今回の事故でも、雪の中から声が聞こえた場所を仲間が掘り返して、生還した人もいたそうです。

冬山登山をする人たちですから、きっと皆が正しい雪崩対処法を行ったのでしょう。そして、近くに仲間もいました。

それでも、8人もが犠牲になってしまったのです。


運をサポートするもの


一般に、雪崩に埋まって生存できるのは、空気の供給がなければ5分以内、周辺の雪の中にある程度の空気があっても15~20分と言われますが、その間に救助側がサバイバーが埋まった場所を特定することは、現実にはかなり困難です。

それを補助する最良のデバイスが、『雪崩ビーコン』でしょう。

これをパーティの各人が装備していれば、雪崩に埋まった場合でも居場所を電波で発信しますから、受信機を持った救助側は、最短時間で場所を特定できます。

我が国でも、一部の山で冬季の入山時には『雪崩ビーコン』の装備が義務づけられています。

しかし、比較的高価なこともあり、あまり普及しているとは言えないのです。

今回の事故では、スキー場内での訓練ということもあり、『雪崩ビーコン』の装備は無かったようで、被害を拡大することにつながってしまったのです。 (3月28日夜の報道で、やはり雪崩ビーコン未装備であったことが報道されました)

冬山登山でなくても、スノボなどのバックカントリーツアーでも雪崩の危険は常にありますから、『雪崩ビーコン』を装備すべきなのです。


追記・3月28日の報道から


当記事の本文は、3月28日の午前中に執筆しましたが、その晩には、ニュースで『雪崩ビーコン』は装備されていなかったことに加え、信じられないような話が出てきました。

生還した生徒の証言として、雪崩が発生した際に、引率の教員が『伏せろ!』と叫び、それに従って伏せた生徒が、そのまま雪崩に埋まったと。

雪崩の際の対処法は当記事で述べたことしかなく、伏せるなど自ら深く埋まりに行くような自殺行為に他なりません。

引率の教員は冬山登山にも十分な経験を持つベテランだったそうですが、なぜそのような指示が行われたのでしょうか。

悪天候の中でラッセル訓練を強行したこと、訓練場所の選定も含め、残念ながらこの事故には人災の側面が見えはじめて来たようです。



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