2018年12月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

日記・コラム

2018年12月 7日 (金)

同時に起きないとは誰も言えない(#1360)

今年は、12月にしては異常な暖かさが続いたと思ったら、いきなりガチな冬がやってきました。


雪が多そうです


気象庁の発表によれば、2018〜19年の冬は、基本的には暖冬傾向だそうですが、その一方でエルニーニョ現象の影響により、各地で多めの降雪が見込まれるとのこと。

つまりは、雪国にはドカ雪が、そうで無い場所にも結構な量の雪が降る、ということを覚悟しなければならないようです。

でも、雪国のドカ雪や太平洋側のまとまった雪は、かなりの確率で予測することができますから、対処する時間はそれなりにありますし、その他の冬の気象災害も、サプライズ的に襲って来ることは、まずありません。だから、極端に怖れる必要は無いはずです。

そうなると、冬のサプライズ災害は、さし当たって大規模地震くらいなのかなと。ならば、予測できても被害が拡大しやすい豪雨や台風のリスクも高い夏場よりは、多少はのんびりできるのでしょうか。

いや、そうではありません。


いちばん怖いこと


怖いのは、複合災害です。

過去の地震災害で、冬に起きた例は何故か少ないのです。ざっと思い起こすと、1995年1月17日に発生した、阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)と、2011年3月11に発生した、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)くらいでしょうか。

でも阪神・淡路大震災は関西地方の太平洋側ということで、寒さ自体が大きな脅威というほどではなく、東日本大震災は、寒さが緩んでこれから暖かくなるという時期だったので、厳冬期というわけでもありません。

雪深い場所が大きな被害に遭った地震の例はさらに少なく、思い起こされるのは東日本大震災の翌日未明、2011年3月12日に発生した、震災の誘発地震とされる長野県栄村地震(長野県北部地震)くらいでしょう。

しかし、大半の報道が東北地方に集中したために、この地震における被害の実態は、あまり知られていません。『忘れられた被災地』と呼ばれる所以でもあります。

なぜ真冬の大地震が少なかったのかは、根拠に乏しい諸説がはびこってはいるものの、つまるところ、


単なる偶然


にすぎません。真冬の雪や冷たい雨の中で大規模地震が発生する、もしくは直前や直後に複合する可能性は、常にあります。

今年9月に発生した北海道胆振東部地震も、厳冬期に起きていても全くおかしくなかったのです。

想像してください。たとえば昨冬、関東地方などで交通がが大混乱した大雪の中で、大規模地震が発生したら。あの中でインフラが止まり、家が損傷し、屋外で帰宅困難になったら。

「そんなことあるわけない」と楽観できる方には、何も申しますまい。でも、それがリアルな恐怖と感じるならば、まだやれることはたくさんあります。


考えが甘い!


当ブログでは、開設当初からある問題を指摘し続けてきました。

それは、巷で言われる災害対策や、いわゆる『防災グッズ』に、あまりにも防水・防寒の要素が欠落している、ということです。

非常持ち出しリュックに防水性能が無い、中身に雨具が入っていないか簡単なビニール合羽のみ、手袋は濡れや冷えを全く考えていない軍手がひと組だけ、現実には大して防寒性能は期待できないアルミレスキューシートがあれば安心的な発想など、枚挙に暇はありません。

3月とはいえまだ厳しい寒さだった東日本大震災の教訓があっても、それが十分に広まっているとは、全く言えません。

管理人が当ブログを広告が表示されない有料ブログサービスで展開している大きな理由のひとつは、そんな半端な防災グッズの広告が、当ブログに表示されるのが許せないからでもあります。

過去がどうだろうと、それが起こる可能性があるのなら、そしてもし起きたら大変な目に遭う、致命的な結果にもなり得るのが現実ならば、常に最悪を想定して備える必要があります。


改めてご覧ください


というわけで、冬の複合災害、特に大規模地震と寒さや雪の複合に対処するための方法を記した過去記事を、あらためてご覧いただき、皆様の備えの参考にしていただければ幸いです。

近々に防水・防寒関連の過去記事リンク集をお送りします。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


2018年11月20日 (火)

ありがとう!170万PV(#1358)

最近はすっかり放置プレイ状態、でもどっこい生きてる『生き残れ。Annex』でございます。


ありがとうございます

ふと気がつけば、累計PVが170万を突破しておりました。これほど更新していないのに、マメに巡回していただいている法人アカウントの皆様(履歴は定期的にチェックしております)、時々多数の記事をまとめて閲覧していただいている皆様、記事をSNSなどで拡散していただいている皆様なども含め、当ブログを閲覧していただいている皆様に、心より感謝申し上げます。

当ブログが、皆様の防災・減災のために、少しはお役に立てているでしょうか。


そろそろアレかなと

こんな状態の当ブログではありますが、現在も連日数百、時には千を超えるPVを頂戴しております。そしてここに至り、2012年1月のスタート以来170万という、当初は想像だにしなかった数のPVをいただきました。

ほとんど何もしなくても忘れないでいてくださる皆様がいることに、さすがにこの放置プレイ状態が心苦しくなってきた管理人です。

とはいえ、かつてのような更新ペースはなかなかできない状態ゆえ、まずは過去記事の中から、是非とも多くの方にお読みいただきたいと考える記事を、多少の加筆修正も含めて【再掲載】という形でお送りして行こうと考えております。

そして、できる限り新規記事もお送りして行ければと。


狼少年かよw

過去何度もこんな事を言いながら放置を続けてしまっているので、「ああ、またか」と思わるかもしれませんが、管理人また何か書きたいなというモチベーションが、多少は高まってきております。

単純に、モノを書くのは楽しいですし。実は管理人、過去にはフリーランスのライターとして、いくつかのネット記事も書いているんですよ。防災分野はもちろん、得意のクルマ、バイク、鉄道、航空機などをちょこちょこと。今はその余裕はありませんが。

そんなわけで、まずは過去記事再掲載から始めます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2018年6月18日 (月)

大阪で“想定外”の地震(#1356)

2018年6月18日の午前7時58分ごろ、大阪府北部、高槻市直下の深さ10kmを震源とするマグニチュード5.9の地震が発生し、大阪市北区や高槻市などで最大震度6弱を観測しました。

当記事執筆時点ではまだ被害の全貌がわかっておりませんが、被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。


改めてあのことを


大阪市北部という場所でこんなに大きな地震が起きるとは、ほとんどの方が想定もしていなかったはずです。それはもちろん、専門家でさえ。

それでも、こういうことが起きます。もちろんこれが初めてではなく、1995年の阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)など“想定の範囲外”の典型でしたし、2008年の岩手・宮城内陸地震など、気象庁による30年先までの地震発生確率ではたった0.5%という、事実上「まず起きない」とされた地域でした。

昨日、6月17日に群馬県南部で発生したマグニチュード4.7最大震度5弱の地震も、その震源域では現在の気象庁が観測を始めた1923年(大正12年。関東大震災の発生年)以来、一度も地震が起きたことが無い場所でした。

そういう現実を前に我々が改めて考えなければならないことは、既に言い尽くされたあの言葉です。

いつどこでなにが起きてもおかしくない

ということ。長いこと地震が起きていない、滅多に起きないという場所でもこうなのです。過去に起きている、頻発している場所の危険度がどれだけなのかということを、改めて心に刻み込まなければなりません。


あの連中が動き出す


こうなると、メディアやエセ科学者は、お約束のように「日本列島が地震活動期に入った。次は○○だ」という論調になり、その○○は大抵は東京など関東地方なわけです。何故なら、本能的恐怖をアオるのがもっとも『数字』、つまり視聴率や書籍の売り上げ向上に繋がり、最大の人口を抱える東京を初めとする関東地方をネタにするのが、最も効率が良いからです。

例によって、明日には『△△教授』みたいのがメディアの取材に応えた記事が出始めるでしょうが、過激なコメントをしている奴は、おしなべて大ウソつきか根拠なしの手前勝手な思い込みを吹聴しているだけ。

一見、まともな学究の徒と思いたい『教授』とかでも、特にメディア露出が多い連中の中にはロクでもない阿呆や大ウソつき、カネのためなら科学もネジ曲げる輩が少なくないことを知っておかなければなりません。

ちなみに、当ブログでもおもしろネタとして注目しているw、『地震予知芸人』村井は、昨日の群馬県南部地震を神業的精度で外したのに続き、さらに大阪地方はノーマークと、理屈がどうの以前に、少なくとも全く役に立たないということを見事に露呈しているわけです。

それでも、御用メディアが『驚異の的中率』をアオると、それなりのカネになるわけだからやめられない。でも、あんなもの信じていると、情弱と言われても仕方ありませんね。

それが恥ずかしくない層がいるから、あんな商売が成り立つのでしょうが。

ある人が言いました。

「たとえ数%でも予知できる可能性があるなら、あの手の“予知”でも信じたい」と。

でも、それは理屈としても大きな間違いです。例えば、今日行く先の地震発生確率が高いとされるから警戒度を高めよう、という発想自体は良いのですが、現実には無警戒の場所でも起きる。

そして、地震発生確率の高い場所は、過去の活動や活断層の存在により、“予知”などしなくてもわかっている。

ならば、行く先によって警戒度を変える、それも根拠に乏しい“予知”に依存するなど、全くのナンセンスです。

どこにいても完全な安心など無い以上、どこでなにが起きてもおかしくないという考えの下に、いつでも一定の警戒態勢と防災装備を維持すること、これしかないのです。

■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2018年6月 5日 (火)

これからのこと(#1355)

4月1日にエイプリルフールネタをアップして以来、なんと2ヶ月以上も放置プレイ状態にしてしまいました。でもその間もずっと安定したアクセスを頂戴していて、ふと気がつけば161万8千PVを超えています。こんな状態ではありますが、改めてご愛読に感謝いたします。


方向転換します


これだけ放置しておいてなんですが、管理人は当ブログの更新を完全にやめたり、閉鎖したり、ましてや関係の無いネタで引っ張る(そういうの多いですよね)ようなことは考えておりません。

ただ、前にも書きましたが、まず管理人の本業が多忙になった中、これまでの記事で一通りのことを書いてしまって、これは皆様に伝えたい、ということが残っていないように感じております。要は、時間を割いてでもどうしても書きたいことが、あまり思いつきません。


そこで始めた東京都の防災本第二弾、『東京くらし防災』のレビューというかツッコミシリーズですが、幸か不幸か『東京くらし防災』の出来が想像以上に良くて、あまりツッコミどころが無いだけでなく、「これはイイネ」という部分も多いのです。

管理人、改めて気付きました。自分はロクでもないものにツッコむ時にはモチベーションがアガリまくるのですが、良いものを褒めるのは、ホント向いてないなと。ヤル気が起きないw

どうにも、シリーズして完結させるのは難しいかもしれません。そこで、とりあえず現行のシリーズを、少し方向転換します。

『東京くらし防災』の内容や構成をイジるのではなく、その内容の優れた点のうち、管理人が皆様に「ここは押さえておいて欲しい」という部分を、記事内容に沿ってピックアップして行きます。

それならば、本当に大切なことを伝えたいという当ブログの主旨にもマッチし、管理人のモチベーションもそれなりにアガります。

しばらくそうこうしながら、次のステップを考えて行きます。


そんなわけで、それほどペースは上げられませんが、時々は覗きに来ていただければ幸いです。

■当記事は、カテゴリ【日記・ コラム】です。

2018年2月12日 (月)

続・陸自戦闘ヘリ墜落について(#1350)

前記事(#1349)から続きます。

その後の報道では、事故機のローターヘッド(メインローター取り付け部)は、メーカーで組み立てられたアセンブリを組み付けた状態だったとのこと。

ローターヘッド部の破断が事故の主原因であることがほぼ疑いない以上、部品自体の不良か、組み付け状態の不良があったことは間違いありません。

しかし、現時点ではメーカー側もしくは陸自側の問題かを断定できる状態ではありませんが。


よくもまあデタラメを


事故直後、管理人はたまたまフジテレビのニュースを観たのですが、実に香ばしい大ウソつきが登場しておりました。

”軍事に詳しい”とされる自局の解説委員が登場して、墜落時の映像を見ながらコメントしていたのですが、要約すると、

「テイルローターの機能が失われると、パイロットは操縦棹を前に倒して降下しながら加速して、機体のコントロールをしようとしたかもしれない」と。

資料映像でも、同型機画像のテイルローター部分をアップにして、いかにもそこが主原因の可能性が高いような印象でした。まあ、自局のエラい解説委員様がそう言うのだから、そういう映像になるのでしょうが。

でも、お詳しい方はもうおわかりですよね。前述の通り、テイルローターの機能喪失ならば機体は水平回転を始めますし、事故機はそうならずにすぐに落下を始めている。すなわち、テイルローターが主原因の可能性は無いのです。

なお、解説委員が言う操作とは『オートローテーション』という技術で、これは主にエンジンが停止した場合に、機首を下げてまっすぐ降下しながら速度を上げ、メインローターを風圧で回転させて揚力を得ながら着陸する方法です。

それができれば、かなりの速度で着陸することにはなりますが、人家を避けるなどの操縦は十分可能なのです。

ちなみに、一般的なヘリはメインローターとテイルローターは機械的に連結されているので(事故機もそう)、エンジンが止まればメイン、テイルともパワーがかからなくなるので、トルク反動は発生しません。だからこそ、『オートローテーション』でまっすぐに降下できるのです。

仮に、テイルローターの破損などで機体が回転を始めてしまった場合は、エンジンからローターにパワーを伝えるクラッチを切って、メイン、テールローター両方を自由回転の状態にすることで、『オートローテーション』に入れることができます。

しかし、事故機は水平回転せずに急激に落下を始めているし、それ以前の問題として、頭の上で回転しているメインローターが吹っ飛んだことを、パイロットがわからないわけがない。

この事故においては、パイロットは全く為す術が無かったのです。解説委員の発言は、万策尽きても最後まであきらめなかったはずという、パイロットを擁護するニュアンスがあったのかもしれませんが、事故原因解説としては、噴飯もの以外のなにものでもありません。

要は、映像からわかることを無視したか理解できなかったか(おそらく後者)で、とりあえず『オートローテーション』の半端な、そして全くピント外れの知識をひけらかしただけでしょう。

航空の専門家ではないにしても、解説委員、しかも”軍事に詳しい”とされる人間がこの程度ですよ。それとも、事故原因を粉飾してとりあえずお茶を濁すという、自局の人間ならではの意志でもあったのでしょうか。

何にしても、為す術もなく民家に突っ込んで行く数秒間、乗員の無念を思うと落涙を禁じ得ません。ご冥福をお祈りします。


冷静に考えよう


米軍ヘリの部品落下や異常着陸が続いている最中、今度は自衛隊もかと、誰もが感じるでしょう。

いずれも、機体の整備や運用の問題が根底にあります。それらを是正し、異常事態を根絶しなければなりません。管理人のようなマニアでも、空から何か落ちてくれば死にますし、そんな目には遭いたくない。

なんでこんなことを書くかというと、こういう事故が起こると、マニアは知識をひけらかせるので喜ぶ、という偏見が必ずあるからです。

なにしろ、問題には原因があります。それを正さなければなりません。ただ感情的に米軍が自衛隊がと非難しても、何も解決しません。天災は防げませんが、人災は防げるのです。

こじつけではありませんが、そういう理性的な姿勢こそが、防災の基本だと考えます。

それにしても、これに限らず、一部の『専門家』のレベルの低さには、呆れるのを通り越して悲しくなります。大ウソつきや能力不足の『専門家』をきちんと批判し、ご退場いただくのも我々の声ではありますが、それ以前に、各界の良識ある『専門家』の皆様も、もっと声を上げていただきたいと、切に願う次第ではあります。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2018年2月 8日 (木)

陸自戦闘ヘリ墜落について(#1349)

佐賀県で、陸上自衛隊の戦闘ヘリコプター、AH64D(愛称・ロングボウアパッチ)が民家に墜落して乗員2名が死亡するという、ショッキングな事故が起きました。やはり書かずにはいられません。今回はこの事故の考察と、バカ丸出しの『専門家』について。

航空機、ミリタリーマニアの管理人ですから、かなりマニアックな内容となりますが、基本的にはとてもシンプルなことなのです。


なぜ事故は起きたか


事故の第一報を聞いた瞬間、管理人はローター(回転翼)のトラブルを想像しました。なぜなら、

■AH64型戦闘ヘリコプターは米国を始めとする西側各国で大量に配備されてるが、特に構造、設計上の弱点と言える部分に起因する、ある種の類型的な事故がす多発するようなことは起きていない。

■墜落地点周辺にはに空き地が多いのに民家を直撃していることから、瞬間的に深刻な操縦不能に陥ったことが明らか。

ヘリコプターがそのような状態に陥る原因は、ひとつしか考えられません。それは、ローターの破損です。

そのような事故は、低空飛行時に電線などとの接触によって発生することが多いのですが、報道によればかなり飛行高度があったとのことで、その可能性は排除できました。

そして、近くの自動車教習所で撮影された墜落時のドラレコ画像を見て、それは確信に変わりました。映像から読み取れることは、

■通常の水平飛行をしている最中に突然姿勢を崩し、その後はあたかも“石のように”ほとんどまっすぐ落下し、最後には“木の葉のように”不規則な回転をしている。最初にテイルローター(機体尾部の小回転翼)の機能が失われれば、機体はトルク反動ですぐに水平回転を始めるので、事故機のトラブルはメインローター(主回転翼)に発生し、瞬間的にメインローターが失われたと考えられる。メインローターが機体に残っていれば、竹トンボが姿勢を保つのと同じ原理(ジャイロ効果)により、“木の葉のような”不規則な回転はしない。

ちなみに、トルク反動のわかりやすい例は、回転椅子に座って両手を広げ、例えば時計回りに身体を回転させようとすると、回転椅子は反時計方向に回る、ということです。

ヘリコプターは、メインローターから離れた尾部でテイルローターを回し、メインローターの回転と逆向きにかかる回転力であるトルク反動を打ち消しているから、機体は回転せずに飛べるのです。(二重反転式ローター、圧縮空気噴出式など例外もありますが、トルク反動を打ち消している点で同様です)

■落下の最中、薄い黒煙のようなものが見える。通常のヘリならば、飛散した部品がエンジンカバーを突き破ってエンジンを損傷することも考えられるが、戦闘ヘリであるAH64Dのエンジンカバーは、23ミリ機関砲弾の直撃に耐えられる以上の装甲が施されているので、その可能性は排除される上、破断したローター部品がエンジン吸気口から吸い込まれてエンジンを損傷する可能性も、構造的にまず無い。よって、異常姿勢での急降下によってエンジンへの吸気が乱れ、コンプレッサーストール(異常燃焼の一種)が発生して黒煙が出たものと考えられる。または、急に負荷を失ったエンジンが異常回転して損傷したかもしれない。いずれにしろ、エンジントラブルが原因ではない。

目撃者の証言からも、空中でローターが飛び散ったというものが複数ありました。これらのことから、ヘリにとって最も恐るべき事態、空中でメインローターを失うという、信じられないようなことが起きてしまったことがわかります。


整備不良か?


その後の報道では、事故機はメインローターのマスト(取り付け軸部分)を交換した後の試験飛行だったとのこと。交換した部分にトラブルが起きたのですから、組み付けもしくは部品の不良によって、ローター破断が起きた可能性が非常に高いということがわかります。

手前味噌ながら、専門家ではないただのマニアの管理人でも、これくらいまではわかるのです。航空機に詳しい皆様も、ほぼ同様のご見解になるかと。

しかし、そうではない輩もいるのです。

次回はさらなる考察と、やはり現れたエセ『専門家』についてです。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2018年1月 9日 (火)

新年のごあいさつ(#1347)

今更ながらではございますが、皆様あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

かなり長いこと更新できずにおりましたが、決して自然消滅させたりはいたしません。もし終了する時は、その旨をきちんとお知らせいたします。

これからも、かなりスローペースになりそうではありますが、ぼちぼちと更新して行きたいと考えております。

当ブログは、2012年1月12日に第1号記事をアップして以来、まもなく7周年を迎えます。

正直なところ、これだけ長くやると、ひと通りの内容を書き切ってしまったという感が、無きにしもあらずではあります。

それでも、世に防災の間違い、ウソ、インチキのネタは尽きませんし、状況もいろいろ変化していますので、またボチボチとやって行こうと考えております。

改めまして、本年もよろしくお願いいたします。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2017年10月30日 (月)

【ミサイル攻撃の基礎知識12】できることはごく僅か(#1346)

前回は、核爆発の際に起きることをざっくりとまとめました。今回からは、小説の登場人物の行動を例に、核爆発への対処方法を考えます。


大前提として


これは言わずもがななのですが、実際に核攻撃を受けた場合、爆心から比較的近い距離で被爆したら、何をやってもほとんど無駄、というのが現実ではあります。

爆心付近では、深さ数十メートル以上で、NBC(核、生物、化学兵器)防護性能のある専用シェルター内にでもいない限り、生き残ることはほとんど不可能でしょう。

市販の家庭用シェルターなどではひとたまりもありませんし、仮に最初の爆発を生き残っても、その後の大火災や濃密な残留放射線から生き残ることは困難です。

これから述べる対策は、あくまで爆心からある程度の距離があった場合に効果を発揮”するかもしれない”というものです。

その『ある程度の距離』とは、核爆発の規模や周囲の地形、地物などの状況に左右されるもので、何km離れたら助かる、という話ではありません。

現代の核爆弾は、15〜20キロトン(TNT火薬1万5千〜2万トンと同等の爆発エネルギー量)と言われる広島型原爆の何十倍、何百倍ものエネルギーを放出します。

それはもちろん、爆風の威力だけでなく、熱線や放射線の威力もはるかに大きい、ということでもあります。

マニアックなことに触れれば、最先端の核爆弾は、放射線、熱線、爆風の威力が用途によってある程度コントロールされているものもあります。

しかし、少なくとも現在の我が国に飛んでくるかもしれない核爆弾は、そういうタイプでは無いことは確かです。


ある程度の距離が前提


前記事で述べた通り、核爆発において最初に放出されるのが放射線です。それとほぼ同時に火球が発生し、超高温の熱線が放射されます。そして、音速を超える爆風(衝撃波)と、吹き飛ばされたものが襲ってきます。

広島や長崎で、原爆が『ピカドン』と言われた所以です。火球が放つ閃光がピカっと光った直後に、爆風がドンと襲って来たわけです。

まず、この段階をいかに生き残るか。繰り返しますが、これから述べる方法は、”たまたま”あなたの居場所が爆心からかなりの距離があり、放射線も熱線も爆風も、ある程度減衰した状態で効果を発揮するものです。


ある事実から学ぶ


以下は、広島で起きたひとつの事実です。

爆心から何kmも離れたある学校では、始業前に(広島原爆の起爆は午前8時15分)、教員が職員室に全員集まっていました。

その時、広島市の中心部の方角で、強烈な閃光が発せられました。『ピカドン』のピカです。すると、ひとりを除いた全員が、「何事だ?」とばかりに席を立って窓を見ました。

その数秒後、爆風が襲いました。コンクリート造りの校舎自体は爆風に耐えたものの、窓などの開口部から突入した超音速の爆風が室内を吹き抜けて立ち上がった全員を吹き飛ばし、全滅しました。

その中でひとりだけ生き残った教員は、閃光を見た瞬間、反射的に窓の下に身を伏せたのです。

その教員は、中国戦線での従軍経験があったので、攻撃(らしきもの)を受けたと判断した瞬間、まず遮蔽物の陰に身を伏せるという行動が身についていたために、爆風に吹き飛ばされず、ガラスなどの破片も浴びなかったのです。

加えて、当時は全く意識されていなかったことですが、コンクリート壁の陰に伏せたことで、起爆後1分ほどの間に照射される、強い放射線もかなり遮蔽されていたはずです。

この人の行動が、不時の核攻撃における唯一絶対の対処方法と言っても過言ではありませんが、これも、熱線が致命的ではなくなり、爆風がある程度減衰する距離と、それに耐えた校舎という遮蔽物があってこそだったわけです。

次回は、この事実を前提として、小説の中での防護方法を解説します。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

2017年10月16日 (月)

【ミサイル攻撃の基礎知識11】核爆発で何が起きるか(#1345)

ここまで、弾道ミサイル攻撃下における3つのシチュエーションを小説形式で書いてきましたが、小説はここまでにします。

バッドエンドはいくらでも想像できますが、それを描くことにあまり意味は無いし、胸くそ悪くなるだけです。かと言って、下手なハッピーエンドはもっと意味がありませんし。

というわけで、ここからは小説で描いたシチュエーションの解説編とします。

なお、管理人は子供の頃から広島・長崎への原爆攻撃に関する興味を持っており、手前味噌ながら、蓄積した知識は、かつて広島の平和記念資料館を訪れた際、案内の語り部と同等以上の解説ができると感じたくらいではあります。


核爆発の効果


原爆や水爆など、核爆発が起きた場合の被害は、主に下記の6つの要素によります。
■放射線
■熱線
■爆風(衝撃波)
■電磁波 (EMP)
■放射性降下物(フォールアウト)
■残留放射線

それぞれについて、ざっくりと解説します。


放射線


起爆の直後、百万分の1秒から約1分の間に、強力な中性子線やガンマ線が照射されます。

中性子線やガンマ線は生物の細胞を破壊して、死亡または重篤な障害を発生させるため、爆心地付近で強力な放射線の直射を受けた生物は、瞬時に死滅します。

広島型原爆の場合は、爆心から1km程度で直射またはそれに近い状態だった人は、致死量をはるかに超える放射線を瞬時に浴びました。

中性子線やガンマ線を効果的に防ぐ物質は、身の回りのものでは水だけと言っても良いでしょう。厚いコンクリート壁は、中性子線やガンマ線をある程度減衰させる効果があります。


熱線


起爆直後には、いわゆる『火球』が発生します。

広島型原爆の場合、火球は起爆1秒後に直径約280mに拡大し、その中心温度は約100万℃、表面は太陽の表面とほぼ同じ6000℃で、猛烈な輻射熱により、爆心付近の地表温度は3000~4000℃に達しました。

広島では、原爆は『原爆ドーム』のほぼ直上577mで起爆しましたが、火球は最終的に地表にまで達して、猛烈な圧力と高温で、爆心付近のすべての可燃物を瞬時に焼き尽くしました。人間は、文字通り“蒸発”したような例もあったのです。

火球からの輻射熱により、爆心から1.2km程度以下で直射を受けた人間は瞬間的に内臓にまで達する重度の火傷を負い、その多くが死亡しました。

3~4km離れていても、木材が瞬時に黒こげになるレベルで、ほとんどの可燃物が発火、人間の素肌は重い火傷を負いました。


爆風


次に起きるのが、爆風(衝撃波)です。

その速度は音速を超えて秒速440m程度に達し、頑丈な鉄筋コンクリート造りなどの建物以外は、ほとんどのものを吹き飛ばします。破壊され、吹き飛ばされたものは超音速で他のものに衝突し、連鎖的に破壊を拡大します。

頑丈な建物でも、窓などの開口部などから爆風が突入し、内部を破壊します。

広島の『原爆ドーム』は、ほぼ直上のごく近くから爆風を受けたため、屋根と床のほとんどが吹き抜けてしまったものの、垂直の壁だけが辛うじて持ちこたえた状態です。

なお爆心付近は、衝撃波の拡散によって気圧が極端に低くなるため、次の瞬間には爆心に向かって吹き戻す、逆向きの爆風も発生します。 爆心に立ち上るキノコ雲は、この吹き戻しの爆風が爆心で衝突して起きる、強い上昇気流によるものです。

爆風の威力は、爆発の規模によって大きく異なります。現代の核爆弾は、広島型の数倍から数十倍以上の威力を持っていると考えられます。


電磁波


核爆発に伴って、強力な電磁波が発生します。

これはEMP(Erectric Magnetic Pulse)と呼ばれ、これを受けた電子部品は不可逆的に損傷します。すなわち、現代ではあらゆるものに搭載されてる集積回路が一瞬で全滅してしまい、交換する以外に対処方法は無いのです。

広島・長崎の時代には集積回路が存在しなかったので大きな問題となりませんでしたが、あらゆる機器やインフラに集積回路が使われている現代社会では、EMPこそが恐ろしい問題です。

地表近くでの核爆発では、EMPが影響する範囲はある程度局限されますが、上空数万mで核爆発を起こした場合、地上への被害は事実上無いものの、強力なEMPの影響が地表付近の起爆よりもはるかに広い範囲、爆発の規模によっては国家レベルの範囲に影響し、電磁波防護されていないあらゆる電子機器を破壊します。

コンピューター制御によるほとんどの機器やインフラが停止し、迅速な復旧もできなくなった時に何が起きるかは、想像を絶します。


放射性降下物


地表付近で核爆発が起きると、放射能汚染された物質が上空に大量に吹き上げられ、後にそれが広い範囲に降り注ぎます。これを放射性降下物(フォールアウト)と呼びます。

典型的なものが、広島に降った『黒い雨』です。これは核爆発と大火災で発生した強い上昇気流が積乱雲を発生させ、局地的な豪雨となったものです。 その際、上空に吹き上げられた、放射能汚染された塵埃が雨に混ざって降り、黒い雨となりました。この雨により、直接の被害が無かった地域にまで、放射能汚染が広がったのです。

福島第一原発事故の後、上空に吹き上げられた放射性物質が自然の雨に混ざって降ったのも、フォールアウトの一種と言えます。

雨が降らなくても、上空の気流に乗って拡散した放射性物質が広い範囲に降下します。旧ソ連のチェルノブイリ原発事故では、気流に乗った放射性物質がヨーロッパの広い範囲に拡散・降下して汚染が広がりました。


残留放射線


地表付近での核爆発後は、一帯の地物が強い放射能を帯びますので、その地域に留まったり、外から入って来た人に対しての放射線障害が拡大します。

このため、十分な防護装備が無い場合は外部から救援に向かうことも難しくなり、被害を拡大することになります。

■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。


2017年10月13日 (金)

【ミサイル攻撃の基礎知識10】シミュレーション・X day03(#1344)

【ミサイル攻撃の基礎知識09】シミュレーション・X day02(#1343)からの続きです。


破綻


近年は外国人観光客が必ず立ち寄ると言われる人気スポットとなった、渋谷駅前のスクランブル交差点にも、“その時”は突然やってきた。

午後8時過ぎ、その人混みがピークを迎えようとしていた時、街の雑踏を圧するような音量であの警報音が鳴り響き、交差点を見下ろす巨大スクリーンに、黒字に白い文字が浮き上がった。

『ミサイル発射。ミサイル発射。この地域に着弾の恐れがあります。』

青信号で交差点を渡りかけた人々が巨大ビジョンを呆けたように見上げて立ち止まり、ポケットやバッグの中で不気味なうなりを上げるスマホを取り出しては、それが訓練でも間違いでもないことを確かめた。次の瞬間、海外では「なぜ誰もぶつからないのか不思議」と言われる秩序が、一気に破綻しはじめた。

スクランブル交差点上は、呆然と立ちすくむ者、急に走り出す者、逆方向に戻る者、完全に混乱して右往左往する者が入り交じり、ぶつかり、押し退け合い、転び、叫び、つかみ合った。

歩行者信号が赤になってもパニック化した群衆は道路上に留まり、我先に突っ込もうとする車のホーン音が渦巻いた。

多くの者は広大な渋谷地下駅へ逃げ込もうとして階段に殺到したが、混乱を極めた階段の前は、ほとんど前へ進むことができなくなっていた。


衝突


道玄坂では、スマホの警報を聞いた人々が坂の両側に並ぶ店から飛び出して車道上にまであふれ、ここでもホーンの嵐になった。

一部の者は、道玄坂上の首都高3号線の高架下や、国道246号を挟んだセルリアンタワーに逃げ込もうとして坂を駆け上がり、また一部はマークシティビルに続く登り坂に殺到し、また一部は道玄坂下のビル群に逃げ込もうと坂を駆け下り、無秩序の流れがあちこちで衝突した。

公園通りでは、坂下のビル群に向かおうとする者と、坂上の代々木公園やNHKに逃げ込もうとする者の流れが衝突した。

ビルの上階にいた者は、その多くが地下を目指した。エレベーターは無理に乗り込もうとする者で定員超過となって動かず、階段に殺到した。

しかしほとんどは階段にたどり着くことさえかなわず、幸運にも階段を降りられても、すでに地下は人であふれ、殺到する者と押し戻そうとする者が衝突し、絶叫が渦巻いた。

誰もが地下、そし“頑丈な”遮蔽物を求めて駆けた。しかし、今回はミサイルの部品が降って来るだけではない。誰もリアルにイメージはできなかったが、核爆発に晒される可能性が高いのだ。


理由


日本本土へのミサイル攻撃に、この時間が選ばれたのには理由があった。

多くの人が自宅、学校やオフィスにおらず、逃げ場が少なく危険物にあふれた繁華街に最も出ている。そしてまだ日が暮れたばかりで、夜明けまで長い時間の暗闇が続く時間帯。

暗闇はそれだけで避難も対処も救援も遅らせ、混乱に拍車をかけて、自動的に被害を拡大する。最も“効率的”に被害を極大化する時間帯、それが今なのだ。

そんなことに気付く者はほとんどいなかったが、少なくとも攻撃者の目論見は、おそらく想像した以上の効果を上げつつあった。

残された時間は、あと2分もない。


■当記事は、カテゴリ【日記・コラム】です。

より以前の記事一覧