2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

火山災害

2015年8月22日 (土)

諏訪之瀬島が噴火(#1048)

Suwanose
諏訪瀬島全景(資料)


昨日8月21日午後10時22分頃、鹿児島県、トカラ列島の諏訪之瀬島(すわのせじま)御岳が噴火したとの観測情報が入りました。

噴煙が約1200メートル上空まで上がっているのが確認されているそうです。

【非常に活発な火山島】
諏訪瀬島は、鹿児島県の屋久島南西から奄美大島北方まで続く、トカラ(吐喝喇)列島の中程にある火山島です。

桜島や口永良部島の噴火報道に隠れてほとんど注目されていませんが、有史以来何回も爆発的噴火を繰り返している非常に活発な火山島で、現在でも桜島と同様に、日常的に噴火を繰り返しています。

1813年には溶岩流が海岸まで到達する大噴火を起こしており、その際に全島民が島外避難して、その後しばらく無人島になっていました。現在は25世帯ほどが居住しています。

8月21日の噴火は7月30、31日の噴火に続くもので、噴煙が上空1200mほどに達したとのことです。しかし噴火の規模がそれほど大きくないこと、居住人口が少ないことから、噴火後も噴火警戒レベル2(火口周辺規制)のまま据え置かれています。


【火山帯が活発化か】
諏訪瀬島は、九州の霧島連山、桜島、口永良部島などに連なる、いわゆる『霧島火山帯』と呼ばれる火山フロントの中にあります。

2011年1月に噴火した霧島の新燃岳、震災前から活動が活発化していて、現在大規模噴火が危惧される状況の桜島、2015年5月に中規模噴火を起こして全島避難となっている口永良部島に続いて、諏訪瀬島の活動も少し活発化しているように見えます。


『霧島火山帯』は、その南側のユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境界線である琉球海溝に沿って火山が並んでいる、火山フロントです。

東日本大震災前から『霧島火山帯』の活動が活発する傾向が見られていましたが、それに加えて、震災による地殻変動の影響も受けている可能性があるので、近隣の他の火山も含めて、当面は活動状況を注視する必要があるでしょう。

霧島・新燃岳、桜島、口永良部島そして諏訪瀬島と並ぶ一連の火山活動が活発化していることは、決して偶然とは考えられません。


■当記事は、カテゴリ【火山災害】です。

2015年8月15日 (土)

桜島に大規模噴火のおそれ(#1043)

Live
8月15日午前10時50分時点の桜島ライブ映像(鹿児島大学ライブカメラ映像からキャプチャさせていただきました)

桜島(鹿児島県)の火山活動が、急激に活発化しています。8月15日午前10時15分、気象庁は桜島の噴火警戒レベルを、レベル3からレベル4(避難準備)に引き上げました。


【地震と山体膨張を観測】
桜島は、本日8月15日の午前7時頃から、桜島南岳地下を震源とする火山性地震が急増しています。また、島内に設置した傾斜計や伸縮計の計測によると、急激な山体膨張が発生しており、今後さらに変動の規模が大きくなることが予想されます。

これは、桜島の地下でマグマの圧力が上昇中で、その圧力で周囲の岩盤が割れて発生する火山性地震や、山全体を膨らませるような山体膨張が起きている状態であり、大規模噴火の兆候と考えられます。

今後、地下深くのマグマ溜まりからマグマが上昇してくると、火山性微動や低周波地震が観測される可能性がありますが、急激な大規模噴火に繋がる可能性も高くなっています。


【速やかな避難を】
現時点では、噴火警戒レベル4(避難準備)ですが、実際に大規模噴火が発生すると、高速の火砕流が短時間で山麓まで到達したり、大量に降灰して避難が困難になる可能性もありますから、影響を受ける地域の方は、現時点から避難を開始することが望ましいでしょう。

なお、地元の方はある程度対応や装備が整っていると思われますが、お盆時期で現地にいる観光客や帰省客など、噴火に慣れておらず、装備も不十分な方々は、すぐに避難を開始すべきです。

噴火が始まると、周辺の空港はもとより、鉄道も甚大な影響を受ける可能性があり、身動きできなくなるかもしれません。自動車も、降灰による道路の閉鎖や視界不良により、移動が困難になる可能性があります。


【様子見の段階ではない】
いかなる場合も、火山近隣に留まって「様子を見る」ような状況ではありません。短時間で急激な噴火の兆候が見られているので、実際に大規模噴火が発生するものと考えるべき状況で、可能な限り速やかに安全な場所に移動すべきです。


■当記事は、カテゴリ【火山災害】です。


2015年6月30日 (火)

箱根山の噴火警戒レベル引き上げ(#1020)

6月30日、神奈川県の箱根山でごく小規模の噴火が発生したと思われ、気象庁は箱根山の噴火警戒レベルをこれまでの2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げました。

周辺の居住地の一部には、避難指示が発表されています。

箱根山では、今年の4月から噴気孔がある大涌谷周辺を震源とする火山性地震が増加や噴気の増加などが認められていましたが、29日の夜から有感地震の回数が増えはじめ、30日早朝から連続的に発生しています。

さらに、地下でのマグマの動きに伴う火山性微動も観測されました。

このような動きの中、大涌谷の噴気孔周辺に火山灰の堆積が認められたために、ごく小規模の噴火が起きたと判断されました。

気象庁によれば、今後大涌谷周辺の半径700m程度に噴石の飛散などの影響を及ぼす程度の小規模噴火が起きる可能性があるため、噴火警戒レベルが3(入山規制)に引き上げられました。

現時点では大規模噴火に発展するような兆候は見られていませんが、近隣の方は自治体からの情報に留意し、すぐに避難できる体制を取られることをお勧めします。


■当記事は、カテゴリ【火山災害】です。

2015年6月11日 (木)

浅間山の噴火警戒レベル引き上げ(#1008)

6月11日、気象庁は浅間山(群馬・長野県境)の噴火警戒レベルを、レベル1の「活火山であることに留意」から、レベル2の「火口周辺規制」へ引き上げました。


【火山性地震とガスが急増】
浅間山は、今年4月から火山性地震が多い状態が続いていましたが、ここ数日さらに増加傾向が見られていました。

マグマの上昇を示す二酸化硫黄ガスの噴出も、11日には8日観測量の3倍以上と急増したため、噴火警戒レベルが引き上げられたものです。

今後、火口から2キロ程度まで噴石などが飛散する噴火が起こる可能性があるので、火口周辺への立ち入りが規制されました。


【関東最強の活火山?】
私事ながら、管理人は群馬県出身でして、実家からは浅間山が良く見えます。子供の頃、昭和48年(1973年)2月の噴火を目の当たりにしました。

冬の澄み切った空に湧き上がる灰色のカリフラワーのような噴煙(下画像)とかなり激しい降灰に、火山の強大なエネルギーを感じました。それ以来、浅間山は管理人の中では“関東最強”の活火山となっています。それでも、噴火の規模としては小規模だったのですが。
Asama

それ以降も、ごく小規模なものも含めれば7回も噴火を繰り返している、非常に活発な火山なのです。

今回の警戒レベル引き上げにおいては、ここ数十年の噴火を上回るような規模になるような兆候はありませんが、当分の間は状況を注視する必要があります。


【火山活動が活発化しているが】
最近、全国的に火山活動が活発化している印象があり、「浅間もまた噴くか!」という感じではあります。

しかしその一方で、2000年に雄山噴火で全島避難となった伊豆諸島の三宅島は、去る6月5日にそれまでの噴火警戒レベル2から、レベル1の「活火山であることに留意」に引き下げられました。

雄山噴火以来14年ぶり、2008年の噴火警戒レベル制度運用開始から初めて、レベルが平常状態に引き下げられたのです。


また、宮城県の蔵王山では今年4月から火山性地震が増加していましたが、最近は活動が沈静化してきており、近いうちに現在の「火口周辺危険」が解除される見込みです。

なお、蔵王山では噴火警戒レベルが適用されていないので、「火口周辺危険」という事実上噴火警戒レベル2に相当する規制が行われています。

このように、火山活動が活発化しているように見える中でも沈静化している山もありますから、一概に危機的状況とも言えません。

“地震・火山大国”であるわが国にとって、ある意味でこれくらいが普通の状態なのかもしれません。

印象だけで騒がず、ここぞとばかり危機をアオるメディアにも惑わされず、それぞれの火山の情報に留意しながら必要ならば必要な対策をするという、冷静な対応が必要です。


■当記事は、カテゴリ【火山災害】です。

2015年5月29日 (金)

【緊急情報】口永良部島が大規模噴火(#994)

5月29日午前10時07分、鹿児島県の口永良部島に噴火警報が発表されました。

噴火警戒レベルは最高度の5、大規模噴火の危険が切迫しています。

速やかに避難し、安全の確保が必要です。


続報。口永良部噴火の第一報が入りました。

続報。火砕流が海岸まで到達。

続報。口永良部島全島に島外避難指示発表。口永良部島の居住者は130人ほど。

続報。口永良部島新岳の噴火は午前9時59分頃、噴火警戒レベル3から5への変更は、噴火後の午前10時07分。

続報。午前10時15分現在、居住者に被害情報なし。引き続き確認中。

続報。火砕流は火口から南西と北西方面に流れる。居住地には到達せず。気象庁は午前10時28分【噴火は継続中】と発表。居住者の大半は火口西側の避難場所で島外避難待機中。


以上で速報追記を終了します。

なお、ここしばらく口永良部島も含めた九州南部から南西諸島周辺での火山、地震活動が活発化しています。周辺部では引き続き火山、地震災害への警戒を厳にする必要があります。

■午後12時40分追記
正午時点で、全住民の無事を確認。

■当記事は、カテゴリ【火山災害】です。

2015年5月 6日 (水)

箱根山の噴火警戒レベルが引き上げ(#982)

Hakone_3
箱根山周辺規制図(気象庁ウェブサイトから転載させていただきました)

箱根山の火山活動が活発化の傾向を見せています。5月5日には、それまでより深い地下5km付近を震源とする震度1の有感地震が発生しました。


【箱根山の活動は“次の段階”に】
これは火山活動が活発化し、次の段階に入ったためと思われます。

当初は、地下で熱せられた水及び水蒸気の供給量が増えたために、その圧力によって地表近くで火山性地震が発生したものと思われます。

このため、想定される危険は普段より強い水蒸気の噴出程度の現象でしたので、噴火警戒レベルは「平常」のレベル1のままでした。

しかし、深さ5km付近で地震が発生したということは、それまでより深い場所で水蒸気の圧力上昇、もしくはマグマの発泡が起きている可能性が出てきたのです。

マグマへの地下水の供給量が増える、もしくはマグマが上昇して新たな水脈に触れるなどして水蒸気圧力が上がっているか、マグマが上昇して加わる地圧が下がることによって、マグマ内のガスが発泡して圧力が上がっていかのどちらかの現象が起きている可能性があります。

マグマの発泡とは、炭酸飲料の栓を抜いた時に発泡するのと同じ現象で、マグマに加わる圧力が下がると、とけ込んでいた火山ガスが泡状に気化する現象です。

ただし、5月6日時点では大規模なマグマの上昇を示す低周波地震などは観測されていません。


【水蒸気爆発以外もあり得る】
いずれかの理由によって地下の圧力が上昇していることが考えられるために、噴火警戒レベルは「火口周辺規制」のレベル2に引き上げられました。

現在最も懸念されるのは、噴気が強まっている大涌谷付近での水蒸気爆発です。地下の水蒸気圧力がさらに高まれば、現在噴気が強まっている大涌谷周辺、すなわち圧力の抜け道付近の地面を吹き飛ばすような爆発が起きる可能性が出てきました。

現時点では、最大でも大涌谷周辺2km程度に噴石が到達するかもしれないという規模が想定されています。その場合でも、風向きにもよりますが、はるか遠方にまで火山灰が降ることが考えられます。

今後さらに活動が活発化した場合は、別の懸念も出てきます。

地下のマグマがさらに上昇して来た場合、前記のように火山ガスの発泡による圧力上昇によって地表から噴出したり、さらに大規模になれば、噴火にまで発展する可能性があるのです。

その場合、現在噴気が上がっている場所はもとより、それとは全く違う場所で噴気や噴火が発生する可能性も出てきます。

地下の岩盤の状況によって、現在の噴気口とは別の『圧力の抜け道』ができてしまうかもしれないわけです。

ただ、一般的には最も圧力が抜けやすい場所、すなわち現在の噴気口付近から噴出する可能性が最も高いと言うことができますが、その他の場所での噴火の可能性も想定しておかなければなりません。

いずれにしろ、今後さらに活動が活発化するのならば、現在以上に火山性地震の増加、地温上昇、圧力による山体膨張などの兆候が出るはずです。

それらは継続的に監視されていますので、当面は気象庁など関係機関からの発表に注意してください。

もし新しい火口ができる場合は、過去数万年の間に噴火したことがある火口跡付近に加えて、全く別の火口が形成される可能性もあるということも頭に入れておく必要があります。

それは多くの場合、主な火口や火口跡を取り巻く山腹か山麓(山裾)と考えて良いでしょう。


【具体的に何をすべきか】
このような段階になっていますから、噴火によって直接の被害を受ける可能性のある範囲にいる方は、速やかに危険地帯から避難する備えを始めておかなければなりません。さし当たって、火口周辺の半径2キロに及ぶ現在の立ち入り規制区域には居住者はいないようですが、想定以上の噴火規模になる可能性も考えておくべきです。

避難時に必要な備品は地震避難時に必要なものと共通ですが、重点を置くべきは、火山灰対策です。目や呼吸器、コンピューターなどの電子機器を火山灰から守らなければなりません。その基本は、前記事でも触れています。


火山噴火の場合は、危険範囲から脱出できさえすればすぐに救援が受けられますから、地震避難よりはある意味で楽ではあります。

しかし、大量の降灰や付帯的な地震による避難道路の寸断や避難車両の集中による大渋滞も想定して、できる限りオプションの避難方法も考えておかなければなりません。

また、避難が必要な状況はいつ起こるかわかりませんから、ご家族などとそれぞれの避難方法、避難場所、集合方法なども打ち合わせしておきましょう。火山災害でも『てんでんこ』は必要です。

地震に比べて通信手段が失われる可能性は低いのですが、局地的にしろそれが起きないとも言い切れません。


【希望的観測は一旦捨てよう】
管理人は、以前の記事で『富士山より箱根山系の方が・・・』などとつぶやいたこともあるのですが、現実を直視していれば、それは当然のことなのです。

何百年も噴火していない、兆候も見えない富士山に対して箱根山は活発に活動している活火山ですし、以前から若干ながらも噴火に繋がるかもしれない兆候は出ていました。

とはいえ、今回の活動活発化が大規模噴火に発展する可能性は、現時点では高くありません。それは今後の推移次第であり、このまま収束して行く可能性が高いのかもしれません。現実に、箱根山は活発化と収束を過去から何度も繰り返してきました。

しかし、ここは一旦希望的観測を捨てて、巨大噴火が起きるかもしれないという前提で、できる備えを進めておくべき状況でもあります。

『最悪の状況を想定する』ことが危機管理の鉄則であり、それに従って備えを進めておくことが、”その時”にあなたと大切な人を救うのです。


■当記事は、カテゴリ【火山災害】です。


2015年5月 5日 (火)

箱根山の活動が活発化(#980)

箱根山の火山活動が、若干活発化しているようです。


【5月3日時点より活発化】
本日5月5日の午後3時までに火山性地震が98回発生し、午前6時台には震度1の有感地震が2回(M2.2と2.6)発生しています。今後、マグニチュード2以上、震度1以上の有感地震が増加した場合、箱根山の噴火警戒レベルが現時点のレベル1(平常)から、より高度に変更される可能性があります。

気象庁の発表では、箱根山で有感地震を観測したのは2011年3月、すなわち東日本大震災直後以来だとしていますが、実際には前記事の通り、2013年2月10日に震度5強程度の強い地震が大涌谷周辺のごく狭い範囲で発生しています。

この地震は非常に局地的であり、大涌谷から約8km離れた箱根町役場に設置された気象庁の震度計では、震度1以上の有感地震を観測していません。このため、地震としては『無かったこと』にされているのです。しかし現地は確かに強い揺れに襲われ、箱根山ロープウェーが停止したり、一部の建物に被害が出たりしたことは事実です。

公式記録に残されていないからと言って、あれだけ大きな地震を『無かったこと』にしてしまう気象庁も、それを平然と報道してしまうメディアにも大きな不信感を感じざるを得ません。過去のことはともかく、同様のことがまた起こる可能性は十分にあるのです。

いずれにしろ、今後の推移をより注意深く監視する必要があります。


【箱根山が噴いたら何が起こるか】
今回箱根山で見られている兆候が、現時点では大規模な噴火に結びつきそうだという訳ではありませんが、もし仮にある程度の規模で噴火したとしたら、地理的条件などから何が起こるかを考えてみます。


箱根山周辺は、我が国有数の観光地です。そして、箱根山の北側山麓に東名高速道路が、東側山麓と海の間の狭い範囲に、東海道新幹線、東海道本線、国道1号線が集まっていて、東西日本を繋ぐ交通のチョークポイントとも言うことができます。

箱根山は、東京都心から西南西方向約76kmに位置します。そしてこれから夏に向けて、南寄りの風が多くなる季節です。

非常に大雑把ですが、箱根山周辺の状況は以上のようになっています。


まず、言うまでも無く観光業へのダメージは甚大です。しかし、それは当ブログのテーマではありませんので、ここでは触れません。

次に、交通への影響が考えられます。仮に、多量の噴煙が上がるような規模の噴火となった場合、噴煙が北側に流れれば東名高速道路に、南側に流れれば東海道新幹線、東海道本線、国道1号線に火山灰が降り、通行や運行を支障する可能性があります。

そうなると東西日本の物流が影響を受け、しばらくは経済的混乱があるかもしれません。特にこれからの季節は南寄りの風が増えるため、北側を通る東名高速道路が降灰の影響を受ける可能性が高くなります。

噴煙がさらに大量に上がれば、これからの季節の南寄りの風に乗って、火山灰が関東地方にまで到達することもあるでしょう。東京都心から南関東、北関東の一部くらいの範囲で、ある程度の降灰は予想できます。

しかし、関東地方では交通や生活を大きく支障するレベルにはならないでしょうから(そうなったら大噴火です)、主に健康面への対策を考えておくと良いでしょう。

 
【火山災害対策の基本とは】
ここで、箱根山に限らない火山災害対策の基本を考えておきましょう。

溶岩流や火砕流などの直接的被害を受ける範囲以外では、火山灰対策が主眼となります。火山灰は灰と呼ばれているものの、その実体は『マグマの粉』です。

主成分はマグマが急冷されて固まったガラス質で、顕微鏡で見ると表面はギザギザになっています。下画像は顕微鏡画像の一例です。
Volcano_ash
このような性状のため、目に入ると角膜を傷つけたり炎症を起こしたりします。また、呼気と共に吸い込んでしまうと、気管支炎などの呼吸器障害を引き起こします。

コンピューターなどの電子機器に吸い込まれると、静電気で内部に付着して誤作動を起こします。

このようなことから、一般的な対策の主眼は吸い込まない、目に入れない、家に入れないということになります。

そこで、まず用意しておくべきは呼吸器を守るマスクです。しかし一般のマスクでは粉塵の濾過能力はあまり高くなく、周りに隙間もできやすいので、下画像のような粉塵用のマスクがお薦めです。
Photo
とりあえず、画像いちばん左の紙繊維製カップ型マスクならば安価で機能的にも十分ですし、濡れなければはたいて繰り返し使うこともできます。


次に、目を守ること。火山灰が降っていたり舞い上がっている環境では、コンタクトレンズの使用は厳禁です。コンタクトレンズ使用中に火山灰が目に入ると激しい痛みや炎症を引き起こしますし、角膜も傷つきます。かならずメガネを使用してください。

さらにそのような環境では、目を守るグッズも欲しくなります。目の周りを覆うようなスポーツサングラスでも、火山灰が直接目に入らないようにする効果がかなり見込めますし、スキー・スノボ用ゴーグルならば、さらに高い効果があります。
Survive_019

水泳用ゴーグルも、代用品としてとても優秀です。代用品とはいえ、密閉性ではこれを超えるものはありません。ビジュアル的に気にならなければwお薦めです。度入りレンズもありますので、目が悪い人でもある程度対応できます。
Gogle

もちろん工場作業用などの防塵ゴーグルも良いのですが、見かけや通気性、曇り止め性能などを考えると、スポーツ用などを流用する方が現実的ではないかと思います。

曇り止めと言えば、小型電動ファンで強制通気させて曇りを止めるゴーグルもありますが、これは粉塵などを積極的に吸い込んでしまいますから、火山灰対策としては不可です。


火山灰は、家の中にも入って来ます。そして前記のようにコンピューターや他の電子機器を故障させる以前に、とにかく不快です。降っている最中や積もった灰が舞い上がるような状況では、家の中への侵入をできるだけ防がなければなりません。

そのために大活躍するのが、養生テープ。
Annex_021
ガムテープでは粘着力が強すぎ、キレイに剥がせないこともあります。他にガムテープの上に重ねて貼れない、塗れた場所には貼りつかないという問題もありますが、養生テープならばすべて問題ありません。

養生テープで家のドアや窓周り、換気扇の開口部、通気口などを目止めすることで、隙間からの火山灰の侵入を防ぎます。

火山灰が積もったり付着するのを避けたい場所や物を覆ったり、ドアの開閉に伴う家の中への火山灰の侵入を防ぐためなどには、ブルーシートがあると便利です。
Annex_001


【火山灰対策専用品はない】
ここで挙げたグッズは火山灰対策として有効なものですが、何も火山灰専用ではありません。当ブログ読者の方ならご存知かと思いますが、すべて過去記事で登場しているものばかりです。

ゴーグルは災害後の粉塵対策、マスクは同じく粉塵と放射線環境対策、養生テープとブルーシートは汎用性が非常に高いので災害対策グッズの基本でもありますが、当ブログでは過去に放射線環境対策用として紹介しています。火山灰でも放射性塵でも、家の中への侵入を防ぐためにやることは一緒です

■当記事は、カテゴリ【火山災害】です。


2015年5月 4日 (月)

火山性地震の要警戒情報二題(#979)

昨日5月3日、火山に関係する事象及び発表がありました。


【鳥島近海で津波発生】
5月3日午前1時51分ごろ、本州のはるか南、八丈島から南へ約180kmの鳥島近海で、『ごく浅い』場所(地下5km程度より浅い)を震源とするマグにチュード5.9の地震が発生し、小規模ながら津波が発生しました。伊豆諸島各地で最大50cm程度の津波を観測しましたが、幸いに被害は発生していないようです。

この地震の震源付近では、通常ならば震源深さが10kmより浅い地震が起きるようなメカニズムはあまり考えられません。東日本大震災後にも、同様の地震は発生していないはずです。

気象庁がこの地震の地震波を解析したところ、通常の断層型地震ではなく、火山性地震らしいということです。気象庁の見解によれば、海底火山活動の影響によって海底が急激に隆起したために、地震と共に津波が発生したのではないかと考えられています。なお、その火山活動が噴火や噴気などに発展したかどうかは、当記事執筆時点では確認されていません。

今後、今回の震源付近で海底火山活動が継続した場合、さらに大規模な地震や津波が発生する可能性もありますから、当面は活動状況を注視する必要があります。

なお、今回の震源はフィリピン海プレート内であり、東日本大震災の直接的な影響による活動である可能性は高くないと思われます。しかし、東日本大震災による大規模地殻変動は、広い範囲に大きな影響を及ぼしているために、広い意味において影響を受けていないとは言い切れません。


続いてもう一件。

【箱根山で火山性地震が増加】
5月3日の気象庁発表によると、神奈川県箱根町の大涌谷付近の浅い場所を震源とする、火山性地震が増加しています。

4月1日以降、大涌谷付近の火山性地震は約150回発生しており、特に4月26日以降は急増しているとのこと。

このため、箱根町では遊歩道『大涌谷自然研究路』を大涌谷から300mの範囲で、周辺のハイキングコースも大涌谷から半径3kmの範囲で閉鎖しました。

気象庁によれば、5月3日時点では『直ちに噴火する兆しは見られない』として、噴火予報は『平常』(レベル1)のままとしており、規制区域以外の温泉街などには特に影響は無いとしています。


【大涌谷付近では震度5強も】
箱根町の大涌谷付近では、2013年2月10日に局地的な強い地震が発生しています。大涌谷付近のごく狭い範囲では震度5強程度に達し、建物被害も出ました。この地震も火山性地震(マグマの上昇による地震)だったと思われ、気象庁の公式記録にも地震としては記録されていません。

気象庁の震度計は大涌谷から8km程離れた箱根町役場に設置してあるものの、そこでは有感地震(震度1以上)を観測しなかったために、地震の記録としては残されていないのです。この地震は、それくらいごく局地的な地震でした。

この地震の前にも、前月の1月11日頃から約1ヶ月に渡って、火山性地震が増加していたとのことです。

今後の火山活動の状況によっては、同様の強い地震が発生するかもしれません。また、噴火に繋がる可能性も皆無ではありませんので、こちらもしばらくの間は活動状況を注視する必要があります。

箱根山系は東日本大震災前より火山活動が若干活発化しているという説もありますので、より注意深い監視が必要かと思われます。


■当記事は、カテゴリ【火山災害】です。


2015年4月24日 (金)

南米チリで大規模噴火(#974)

Photo_2

日本時間の4月22日、南米、チリ南部のカルブコ火山が大規模に噴火しました。

カルブコ火山(スペイン語でボルカンカルブコ)はチリ南部の人口約17万人の都市、プエルトモントから北西方向に約35kmにある2000m級の成層火山で、54年ぶりの噴火だそうです。

街に近くて見通しが良いために、壮絶な噴火映像ばかり話題になっていますが、我々が注目すべきは、そこではないのです。


【巨大地震後には火山噴火が】
当ブログでも何度も触れていますが、人類の観測史上、マグニチュード9クラスとそれに近い規模の地震が発生した後には、例外なく近隣の火山が噴火しています。それも、ひとつの例外を除いて地震発生から1年半までの間に噴火が起きています。その唯一の例外となっているのは、東日本大震災です。

チリでは、2010年2月にマグニチュード8.8の巨大地震が発生しており、日本にも三陸地方に約1m程度の津波が到達しました。今回のカルブコ火山噴火も、その地震の影響と考えることができます。しかし、地震後の噴火は今回が初めてではありません。

地震発生から約1年4ヶ月後の2011年6月、チリ南部のコルドンカウジェ火山群にあるプジェウエ山が約50年ぶりに噴火しました。

さらに今年2015年3月には、同じくチリ南部のピジャリカ山が15年ぶりに噴火していますから、すでに3回目の大規模噴火となるのです。どちらの火山も震源域近と地殻プレート境界に近く、巨大地震の影響を受ける場所にあります。

ちなみに、前記のプジェウエ山は1960年5月にチリ南部沖で発生した、人類の観測史上最大となるマグニチュード9.5の直後にも噴火しています。その時の噴火は、地震発生からたった38時間後でした。


【誰もが気になるあの山は】
プレート境界型巨大地震の後には震源域近隣の火山が噴火する。それはある意味で“当たり前”なのですが、東日本大震災後には、震源域周辺にあるどの火山も、事実上沈黙を続けています。震源に近い宮城県の蔵王に、小規模噴火の兆候がわずかに出ているくらいです。

あのような巨大地震の後に、何故噴火の兆候すらほとんど無いのか。震災の影響によってこの先どこかが噴火することがあるのか、それとも噴火が無くて、人類初の経験となるのか。それは専門家にも判然としません。ただ、基本的にはいずれどこかが噴火するという前提で考えておかなければなりません。

ちなみに、特に専門家の見解は見当たらないものの、管理人としては小笠原諸島の西之島の噴火が震災の影響を受けたものではないかと考えています。

それでも、噴火したのは震災から3年も経ってからでした。しかし現在も続く西之島噴火は、規模、期間共に陸上で起きていたら巨大被害をもたらすレベルなのに、遠い海上の無人島のせいで、誰も気に留めていないようですが。

では、富士山はどうなんだと。富士山は、1707年に発生した現在で言う東海地震の49日後に、最後の噴火をしています。ということは、再び東海地震が発生した時には、噴火の可能性が高まると考えて良いでしょう。プレート境界型大地震の後の噴火が、我が国でも過去にはしっかり起きているのです。

東日本大震災による地殻変動の影響を富士山が何らかの形で受けていることは確実ですが、現時点では噴火に繋がるような具体的な兆候は皆無です。それに、東日本大震災震源域付近の地殻プレート構成と富士山近隣の地殻プレート構成が異なっているために、連鎖噴火する可能性は理論的にも説明できません。

一部で言われるような富士山噴火の「兆候らしきもの」は、ほとんどが裏付けのないデマ、個人的印象、エセ科学そして商業メディアのアオリです。地温が上がって氷穴の氷が溶けたとか山体膨張して亀裂が入ったとか言われていますが、それらを裏付けるような観測データは、現時点では全く無いのです。


【日本列島付近と似た構造】
話をチリに戻しましょう。南米大陸西岸のチリ周辺の地殻構造は、日本列島周辺と似ています。陸側のプレート(南アメリカプレート)に対し、海側のプレート(ナスカプレート)が東向きに動いてきて、南アメリカプレートの下に潜り込んでいます。

南米大陸周辺の地殻プレート構成と、巨大地震震源とカルブコ火山の場所を図にまとめてみました。縮尺の関係で割愛しましたが、上記のプジェウエ山とピジャリカ山は、カルブコ山の北方に位置します。
Photo_3

チリ南部の沿岸では、この他にもかなり大規模な地震が多発している、世界有数の“巨大地震の巣”です。図には、人類の観測史上最大となる、マグニチュード9.5の震源域もオレンジ色で示しました。


このように、地殻プレート境界域で巨大地震が発生すると、境界に沿って並んでいる火山のどこかが噴火するということが、少なくとも人類の観測史上はあまねく繰り返されて来ました。

しかし、東日本大震災の影響を最も受けているはずの、北海道の太平洋岸から東北地方の各火山は、あれから4年以上経つというのに、ごく一部の軽微な噴火兆候を除いて不気味なほど沈黙したままです。

今回のチリ、カルブコ火山噴火は、文字通り“対岸の火事”ではありません。本来ならば、とっくに日本で起きているはずの出来事なのです。


■当記事は、カテゴリ【火山災害】です。


2014年12月17日 (水)

北海道・十勝岳に噴火兆候

Photo
【資料画像】十勝岳62-2火口からの噴気


12月16日、北海道のほぼ中央部に位置する十勝岳の噴火警戒レベルが平常時の1から『火口周辺規制』の2に引き上げられました。

小規模の水蒸気爆発に繋がる可能性があるとのことで、立ち入り規制されたのは、噴石の飛散などが予想される『62-2火口』の周囲1キロの範囲です。


十勝岳はここ数年、噴気、山体膨張、火山性微動が増加し、徐々に活動が活発化する傾向が見られていました。

今年の夏から秋にかけて、さらに山体膨張や火山性微動が観測され、さらに活動が活発化していると判断されたため、今回の噴火警戒レベル2への引き上げとなりました。


十勝岳の活動自体は、東日本大震災以前から活発化の傾向が見られていましたが、震災による影響がそれを加速した可能性もあります。

位置的にも、震災による地殻変動の影響を受けてもおかしく無い場所でもあります。


現時点では大規模な噴火は予想されていませんが、当面は活動状況への注視が必要です。


■当記事は、カテゴリ【火山災害】です。


より以前の記事一覧